F1F 地学 1学期期末試験問題
2000.7.7(金曜)2限実施 萩谷担当
問題T〜Xに答えよ。解答は解答用紙の指示された欄に記入すること。
T
次の問いに答えよ。
アポロ計画で有人探査機が月に初めて着陸したのは、およそ30年前のことである。アポロ11号から17号(13号を除く)の月面での調査と、持ち帰ったサンプルの研究から、科学的に重要な多くの新しい知見が得られた。
月の表面には、月形成後の隕石衝突・クレーター形成のショックで粉々になった岩石が固まった、角レキ岩という種類の岩石や、レゴリスと呼ばれる細かい岩石片の砂が多くみられる。しかし、本来の岩石は、地上から暗く見える部分の”海”と呼ばれる低地部分では玄武岩、”高地”と呼ばれる白く輝く部分は、主に斜長岩という岩石であったと考えられる。
月の”海”を構成する玄武岩のほとんどは、およそ38-30億年前の年代を示し、その時代に噴出したマグマが、月面の低いところにあるクレーターなどを埋めてたまり、固結したものと推定されている。
一方、”高地”を構成する岩石は、一般により古い年代を示すが、その中でも、斜長石という鉱物のみでできた、斜長岩という岩石は、約46億年前の太陽系形成直後の、非常に古い時代の情報を保持しているものと期待された。その後の研究で、月の斜長岩の放射年代は44億年前の年代を示すものが確認され、上記の考えが裏付けられた。
設問
1)宇宙飛行士が実際に地上で行った地質学の訓練内容を簡潔に説明せよ。
2)月の斜長岩は、どのような鉱物の集合体であるか。
3)マグマ中で晶出した結晶と、残液(マグマ)との分離により、マグマの化学組成が連続的に変化する作用の名称を答えよ。
また、その化学組成の変化が起こるために必要な、結晶とマグマに関わる条件は何か、選択肢から2つ選び、解答欄に記入せよ。
選択肢:密度の差、圧力の差、温度の差、大きい重力、濃密な大気
4)放射年代を求めるしくみを簡単に説明せよ。
5)アポロ計画の宇宙飛行士が、単に岩石試料を採取するだけの目的であれば必要のない、岩石の見方や記載の方法を学んだのはどうしてか。その必要性を説明せよ。
6)無人探査機による惑星探査と、アポロ計画のような有人探査の違いについて、それぞれのメリット・デメリットを説明せよ。
U
1)火成岩の分類について、分類の基準が明確にわかるように、解答欄に分類表を作り、岩石名を正しく記入せよ。
2)堆積岩の分類基準は、構成粒子の種類と大きさが重要である。堆積岩の中で、生物起源の物質から作られた岩石を2種類挙げて、それぞれの材料となった生物を記せ。
V
地球上で火山活動が起きる場所は限られている。どのような場所で火山活動が起きるのか、3つ挙げて、それぞれのプレート境界との関係、および噴出するマグマの種類について、簡潔に説明せよ。
W
花崗岩は地球上で重要な岩石である。その理由を説明せよ。
X
(以下、共通一次試験とセンター試験の過去問から引用)
次の文章を読み、下の問い(問1〜5)に答えよ。 (1987本試)
天然に産する鉱物の種類としては3000種ほど知られているが、地殻の大部分をなす火成岩の主な造岩鉱物は7〜8種類にすぎない。Aこれらの造岩鉱物の結晶構造をみると、酸素原子とケイ素原子からなる四面体のつながりが骨組みとなっており、その骨組みの間にFe、Mg、Ca、Na、KなどのB原子(イオン)が規則正しく配列し、結晶をつくっている。しかし、これらのC結晶の中での原子の並び方は、その結晶のおかれた温度や圧力などの条件によって変化する場合がある。また、石英のように常に化学組成が一定しているものもあるが、大部分の造岩鉱物では、D原子のうちのあるものが、これとほぼ等しいイオン半径をもつ他の原子によって少しずつ置きかえられ、その化学組成が連続的に変化している。
問1 下線部Aが成りたっていることの説明として最も適当な文を、次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@地殻には酸素が多く、次いでケイ素が多く存在し、ケイ素のイオン半径は酸素のそれよりも大きい。
A地殻には酸素が最も多く、次いでケイ素が多く存在し、酸素のイオン半径はケイ素それよりも大きい。
B地殻にはケイ素が最も多く、次いで酸素が多く存在し、ケイ素のイオン半径は酸素のそれよりも大きい。
C地殻にはケイ素が最も多く、次いで酸素が多く存在し、酸素のイオン半径はケイ素のそれよりも大きい。
問2 四面体のつながりが平面的な網目状になっている造岩鉱物は何か。次の@〜Bのうちからーつ選べ。
@輝石 A斜長石 B黒雲母
問3 下線部Bはどのような実験や観察を行うことによって知ることができるか。次の@〜Cのうちから最も適当なものな一つ選べ。
@X線の回折 A比重の測定 B化学分析 C偏光顕微鏡による観察
問4 下線部Cのような関係にある鉱物の組み合わせとして正しいものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@正長石−斜長石 A白雲母−黒雲母 B輝石−角せん石 Cダイヤモンド−セキボク
問5 下線部Dのような関係を何というか。次の@〜Cのうちから正しいものを一つ選べ。
@多形(同質異像) A自形 B固溶体 C斑晶
Y
次の問い(問1〜4)に答えよ。(1991本試)
問1 火山活動は、地下深部で岩石がとけて生じたマグマが地表に噴出する現象である。火山噴出物には、溶岩と火山砕せつ物に加え、火山ガスがある。火山ガスに含まれている成分のうち最も多いものはどれか。次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@H2O AHCl BH2 CN2
問2 溶岩の流れ方はその温度や化学組成によって異なり、いろいろな火山地形をつくる。このことを記述した文として最も適当なものはどれか。次の@〜Bのうちから一つ選べ。
@玄武者質マグマは粘性が小さいので、盾状火山をつくる。
A流紋岩質マグマは粘性が小さいので、溶岩円頂丘をつくる。
B安山岩質マグマは粘性が大きいので、溶岩台地をつくる。
問3 軽石や火山灰が大量に噴出して、円形に近い大型のくぼ地ができることがある。この地形はどれか。次の@〜Cのうちから最も適当なものを一つ選べ。
@カール A溶岩湖 Bカルデラ Cドリーネ
問4 地層のなかの火山灰は、しばしば対比に有効なかぎ層になる。その理由として最も適当なものはどれか。次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@運ばれてきた方向がわかる。
A厚さが一定である。
B短時間に堆積し、広い範囲に分布している。
C粒度の変化により、上下の判定ができる。
Z
次の文章を読み、下の問い(問1〜4)に答えよ。(1991追試)
ある地域に一つの深成岩体がある。地表面で、この岩体は、半径が約5kmの円形に近い輪郭をもち、鉱物の種類や量が岩体の周辺部から中央部に向かって変化している。周辺部から中央部に向かって、ほぼ等間隔に、A、B、C、Dの4個の岩石を採集し、偏光顕微鏡で調べてみた。その結果、各岩石に含まれる鉱物の種類と量(体積%)は、次の表のとおりであった。
問1 一般に、ある火成岩が深成岩であることは、どのような性質から判断されるか。次の@〜Cのうちから最も適当なものを一つ選べ。
@岩石の組織 A有色鉱物の種類 B岩石の色指数 C岩石の化学組成
問2 岩石Aの色指数はどれか。次の@〜Dのうちから正しいものを一つ選べ。
@5 A12 B17 C20 D63
問3 この岩体についての記述のうち正しいものはどれか。次の@〜Cのうちから一つ選べ。
@岩体をとおして、岩石の化学組成は変化しない。
A周辺部から中央部へ向かって、有色鉱物が増加する。
B周辺部から中央部へ向かって、FeやMgを含む鉱物が減少する。
C周辺部から中央部へ向かって、FeやMgを含む鉱物が増加する。
問4 岩石Dの名称はどれか。次の@〜Cのうちから最も適当なものを一つ選べ。
@玄武岩 A花こう岩 Bはんれい岩 C流紋岩
F1F 地学 1学期期末試験解答用紙
2000.7.7(金曜)2限実施 萩谷担当
T
1)
2)
3)
作用:
条件・
4)
5)
6)
U
1)(分類表)
2)(生物起源の堆積岩)
・ (材料)
・ (材料)
V
(火山活動の場) (プレート境界との関係) (マグマの種類)
・
・
・
W(花崗岩の重要性)
X
問1 問2 問3 問4 問5
Y
問1 問2 問3 問4
Z
問1 問2 問3 問4
F1F 番号 氏名 得点 .