地学 2学期期末試験問題 F1G

1997.12.13(土曜)1限実施 萩谷出題

 

T

 

次の文章中の空欄( 1 )〜( 10 )に、最適の語句・数値を用語欄から選び、解答用紙の指定された欄に記入し、設問に答えよ。

 

 地層は、地表での風化・浸食のプロセスで作られ、流水や風のはたらきで運搬されてきた砕屑粒子の集団が、低いところにたまったものと理解することができる。一般に、堆積時には地層はほぼ( 1 )にたまっている。また、地層の広がりは( 2 )である。

 地層の堆積した場所についての情報は、堆積構造や( 3 )の情報から読みとることができる。また、堆積した時代の判定には、通常( 4 )を用いる。離れた2点での地層の対比には、( 5 )を用いる。( 5 )は地層の中での同時間面を表し、火山灰層などが用いられる。

 

 地層と地質時代の認識は18世紀末から19世紀にかけて、ヨーロッパで発達した。産業革命以降、石炭などの( 6 )の採掘のため、地質学に対する社会的な要請が生じた背景がある。地質学の発達は、ライエルの唱えた「現在は過去の鍵である」という言葉に代表される斉一説(斉一観)を生み出した。これは聖書の記述を第一とする激変説と対立するものであった。当時はまだ聖書の教えを絶対とする宗教界の勢力が強く、ライエルの影響を受けて進化論を唱えた( 7 )たちは、19世紀半ば以降、激しい攻撃にさらされたことは有名である。

 一方で、( 4 )を用いた地層の対比がヨーロッパ各地で進み、地質時代がその時代に特徴的な化石を用いて区分されたため、過去には現在と異なる生物が繁栄していたことは、19世紀後半には次第に認められるようになった。

 特に恐竜化石の発見は注目を集め、人々に地質時代への興味・関心を呼び覚ますきっかけともなった。1890年代のアメリカのコープとマーシュによる、恐竜発掘競争は、そのような時代背景の中にある。また、コナン・ドイルの有名なSF小説The Lost World(邦題:失われた世界)は1912年に著されたものだが、この中では、地質時代の絶滅生物の話題に対する人々の熱狂ぶりが生き生きと描かれている。

 地球の年齢について、19世紀末にケルビン卿は火の玉として生まれた地球が現在の表面温度に冷えるまでの時間を計算し、5×107年程度である、と発表した。しかし地質学者たちは、現在の地表での地層の堆積速度などから、その数値は小さすぎる、と主張し、論争が続いた。この論争は、放射性元素(放射性同位体)の壊変と、それによる( 8 )の発生が発見されたことで終止符が打たれた。地球は形成以来単純に冷えてきたのではなく、一方では放射壊変の( 8 )を蓄積してきたのでもある。このつり合いによって、現在の地球内部の( 9 )が決まっているといってもよい。

 放射壊変の発見は、地質学に新たな局面をもたらした。放射年代の測定法が開発され、これにより地質時代は数値年代に置き換えることが可能になった。いわば、岩石の中に放射壊変の( 10 )が見いだされたのである。現在では、複数の方法で地球の年齢が約4.6×109年であると推定されている。

 

【語句欄】

 水平、垂直、有限、無限、示準化石、示相化石、生痕化石、鍵層、風化層、

 溶岩、埋蔵金、地下資源、タケノコ、アインシュタイン、ノーベル、マルクス、

 ダーウィン、圧力、熱、光、温度分布、化学組成、地磁気の向き、財布、

 めがね、時計、引き金

 

【設問】

A)古い地層と新しい地層が同じ場所にある場合、地層の逆転や断層などがなければ、常に新しい地層は古い地層の上に積み重なっている、という法則がある。これを何と呼ぶか。

B)生物進化について、環境変化適応地理的隔離絶滅という4つの単語を用いて簡潔に説明せよ。

 

U

 

地質時代についての以下の問いに答えよ

 

1)地質時代の表(4ページ図2)を参考に、以下の数値年代が含まれる地質時代の名称と、その地層に含まれる可能性がある化石を選択欄から選んですべて記せ。

 

a)5×104  b)2×107  c)1×108  d)3×108  (単位:年)

 

【選択欄】

恐竜、アンモナイト、フズリナ(紡錘虫)、三葉虫、ビカリア、人類、マンモス

 

2)地質時代区分で、先カンブリア代は地球史を通じて非常に長い期間にわたっているが、これはどのような事情からそうなったのか。簡単に説明せよ。

 

V

 

1)地表において質量mの物体に加わる重力

   と表せる。(g:地球表面の重力加速度、9.8m/s2

 一方、万有引力の法則から、

  (G:万有引力定数6.7×10-11 M:地球質量 R:地球半径6.4×106m)

上記の2つの式と数値を使って、地球質量Mを求めよ。

2)火星表面での重力加速度は3.6m/s2である。半径を3400km(3.4×106m)とするとき、火星の質量を求めよ。

 

W

 

1)地球の大気は、同じ地球型惑星の火星や金星と比べて、異なった組成を持っている。このような大気は地球史の中で、どのようにしてつくられたのか。説明せよ。

2)大陸の分裂や集合の歴史は、どのような証拠から読みとることができるか。簡単に説明せよ。

3)過去の気候条件を地層から読みとる方法をひとつ選んで説明せよ。

(ヒント:化石、氷河、砂漠、蒸発岩、珊瑚礁)

 

X

 

1)九州のある火砕流堆積物中に見いだされた炭化木片について、その中の放射性炭素(14C)の割合を調べたところ、本来の1/32に減少していることがわかった。この炭化木片が火砕流によってなぎ倒された当時の樹木であったとすると、火砕流堆積物の年代が求められる。14Cの半減期を5.7×103年として計算し、年代を求めよ。

 

2)図1にある地域の露頭写真を示す。

この写真で、Aの地層は化石から1×108

年前のものであることがわかった。また、

Bのレキ岩層からは2×107年前の化石が

見つかった。一方、Bのレキ岩層に含ま

れる花崗岩のレキについて、放射年代測

定を行ったところ、1.5×108年前の値が

得られた。

地層は逆転していないものとして、以下

の問いに答えよ

 

a)花崗岩レキの年代測定法としては、炭素

14を用いる方法と、K-Ar法ではどちらが

 適当か。

b)Aの地層、Bの地層の堆積した地質時代

はいつか。(古生代石炭紀)のように答え

 よ。

c)この露頭から読みとれる地史(地質学的

 事件史)を説明せよ。

 

 

以上

 

 

 

 

 

 

地学 2学期期末試験 F1G 解答用紙

1997.12.13(土曜)1限実施 萩谷出題

 

T(地質時代)

 

1)       2)       3)       4)       5)       

 

6)       7)       8)       9)       10)       

 

A)

 

B)

 

 

 

U

1) 地質時代名称   化石      地質時代名称   化石

 

 a)               b)             

 

 c)               d)

 

2)

 

 

 

 

 

 

V

1)(地球質量)

 

 

 

 

2)(火星質量)

 

 

 

 

W

1)

 

 

 

 

 

 

2)

 

 

 

 

 

 

3)

 

 

 

 

 

 

X

1)

 

 

 

 

2)

 a)

 

 b)A:

 

   B:

 

 c)

 

 

 

 

 

F1G 番号    氏名            得点