化学 2学期期末試験問題 F2A,B
1997.12.12(金曜)2限実施 萩谷出題
T
酸・塩基に関して、次の問いに答えよ。
1)酸性、アルカリ性を測定する指示薬を2つ挙げよ。
2)強酸と強塩基の例を物質名でそれぞれ2つずつ挙げよ。
3)天然にみられる、中和現象の例をひとつあげて、簡単に説明せよ。
4)25℃での0.1mol/lのHCl溶液のpHを求めよ。ただし、電離度は1としてよい。
U
爆発という現象は、化学反応や熱の発生により、気体が急激な膨張をおこすことである。これについて次の設問に答えよ。
1)身近な爆発現象の利用例を挙げよ。
2)家庭で使うガスコンロは、爆発を起こしうる都市ガスあるいはプロパンガス
を使用しているのに、爆発させずに安定した炎を出して使用することができる。
これは、どうしてか。説明せよ。
3)気体の状態方程式PV=nRT (P:圧力、V:容積、n:モル数、R:気体定数、T:温度)
を用いて、爆発のしくみを説明せよ。
4)火薬の爆発、都市ガスの爆発、火山の爆発の違いについて、説明せよ。
V
1)温室効果気体を2つ、物質名と化学式で答えよ。
2)大気の温室効果について、太陽放射と地球放射(赤外放射)の波長による
強度分布の違いをふまえて、その原理を説明せよ。
3)地球温暖化問題について、資料を参考に、原因と対策について説明せよ。
W
1)農業生産に関わる物質ひとつについて説明せよ。
(ヒント:肥料、作物の栄養素、植物体、農薬、根粒細菌)
2)建築材料や工業素材として用いられる物質ひとつについて、その物質名と、
天然の状態からの加工について説明せよ。
(解答例:ガラス、花崗岩地域の川砂や砂漠の砂から石英を集め、炭酸ナトリ
ウムなどの物質と混ぜて融かす。)
3)身の回りに見られる金属元素単体ひとつについて、その元素名、元素記号、
利用される特徴的な性質を述べよ。
4)地下資源の利用・加工の歴史について、あるいは地下資源の利用・加工に
かかわる現代の諸問題について、のいずれかを選び、論ぜよ。
以上
(資料)
現在注目されている、二酸化炭素の放出と地球温暖化の問題は、根本的には人類の産業活動に伴う化石燃料の消費により、それまで石炭・石油・天然ガスなどとして地中に押し込んであった炭素を、生物・大気・海洋などの間での炭素循環サイクルに加えてしまったことに、原因があります。産業革命以降に、大気に二酸化炭素として放出された炭素量は、現在の大気中の二酸化炭素総量と、ほぼ同じ量に達しています。増加分の炭素の約2/3は海洋が吸収し、1/3が大気にそのまま残って、大気中の二酸化炭素が250ppmから350ppm程度に増えており、なお現在も増加中です。二酸化炭素濃度が上昇しているのは、海洋への二酸化炭素の溶解速度よりも、人類の化石燃料消費の速度が速くて、追いついていないことに本質があると考えられます。
化石燃料は、過去の生物の遺骸がかたちを変えたものであるわけですから、地質時代に生物が大気から除去して地層の中に押し込んでくれていた、大量の炭素を、我々がいま急速に消費し、表層に戻してしまっているわけです。貯蓄を食いつぶしているようなものですね。
でも、そうやって地層の中に炭素を押し込んでいた時代には、逆のことがおこっていたのかもしれません。すなわち、大気中の二酸化炭素濃度がどんどん低下し、酸素濃度が上昇する。
古生代石炭紀(約3億年前)とか、中生代白亜紀(約1億年前)は、それぞれ石炭と石油が集中的に形成された時代ですが、これらの時代の大気組成は、かなり酸素濃度が高かったことが推定されています。厳密にはいろいろ議論があるのですが、だいたい30%あるいはそれ以上に達していたといわれています。
植物の上陸は、化石記録から古生代シルル紀頃(約4億年前)と考えられています。古生代石炭紀のシダ植物の大森林は、現在の北米からヨーロッパにかけて広く分布し、膨大な量の石炭層を形成し、大気組成に影響を与えたわけですが、それは植物の上陸からわずか1億年後のことです。植物の上陸はオゾン層の形成以後のことで、それは大気中の酸素が1%程度になった時点と考えられていますから、これはすごいスピードです。なんでこんなに急速に大気中の酸素が増加したのだろう。
それで気づいたのは、植物が陸上に上がることの重要性です。石炭層は海中では非常につくりにくい。海草が石炭を作るか、というと、非常に難しい。しかし、いったん上陸すると、セルロースで丈夫な体をつくり、太陽光を得るためにより高く幹や枝を伸ばし、という具合に進化していくので、遺骸が地層に残りやすくなる。シダ植物の場合湿潤な条件を好むので、湿地で植物体が分解されず石炭になる機会も多い。そうして、どんどん大気及び表層の炭素循環のサイクルから炭素を除去し、地層の中に押し込んでいった。その結果として酸素の多い大気が実現された。たぶん、酸素濃度の急速な増大は陸上動物の進化にも影響を与えたであろう。石炭紀後期は陸上脊椎動物の進化の上でもキーポイントなのだと考えられている。
そうしてみると、オゾン層の形成により植物が陸上に進出することが可能となった時点で、将棋倒し的に、酸素の多い大気形成と多様な陸上の生態系の発展が約束されていたのではないか。そういう必然性があったのではないか、ということです。
化学 2学期期末試験 F2A・B 解答用紙
1997.12.12(金曜)2限実施 萩谷出題
T
(指示薬)
1)
(強酸) (強塩基)
2)
3)
4)
U
1)
2)
3)
4)
V (物質名) (化学式) (物質名) (化学式)
1)
2)
3)
W
1)
2)物質名
加工法
3)元素名 元素記号
特徴的な性質:
4)
F2 番号 氏名 得点 .