固体地球(1)

高校1年地学 授業要旨 08

1997.5.10実施


地下の固体地球物質を知る

1)直接調べる …深層ボーリング コラ半島の例、油田など。10km以下。

2a)マントルの破片が地表にのし上げたところを調べる =オフィオライトophiolite
  大規模な構造を調べるのに向く 日本でも日高山地などに分布。岩石の変質が問題

2b)火山の噴火に伴って出てくる捕獲岩xenolithを調べる
  新鮮な岩石試料が得られる。産出地、試料のサイズが限られることが欠点。

 回覧:一の目潟のかんらん岩nodule かんらん石(黄緑、90%)+輝石(暗緑、>10%)+α

 =地下30-60kmにあったマントル物質の破片 密度大

 *おまけで、かんらん石標本:オリビンサンド(オアフ島)、玄武岩の斑晶などを回覧。

3)隕石などから類推

*参考;地球の体積を計算し、質量/体積で密度を求めて、岩石の密度と比較

4)地震波の情報を利用

*ものの内部を知るには、波をつかう。 →教卓をぶん殴る。音で中空であることを判断できる。

余談:カミオカンデでのニュートリノ観測。地下1300mの怪。陽子崩壊、スーパーカミオカンデ、超新星爆発のニュートリノ検出は、地球を突き抜けてきたものを観測…増倍管の検出位置から判断できた。その他、低温核融合の検証に使われた例。

地震波の種類  P波primary wave S波secondary wave 教卓を使って表現

 初期微動、初期微動継続時間∝震源からの距離、液体中をS波は通らない→核の存在

 雷のゴロゴロドッシャーンとの類似 …波の屈折、反射 遠回りしてくる波が後から届く
 →最初に到達する波と、その経路が重要。

 P波初動の方向から、地下の破壊の方向がわかる →教科書コラム

実験:生徒5人を縦に並べて、前後にどつく=P波 左右にゆする=S波
   前の生徒の肩をつかむ・・・固体中の伝播、手を離す・・・液体中での伝播(P波は伝わる)

 お風呂で液体中をS波が伝わらず、P波が伝わる原理の模擬実験の方法

モホ面の発見…次回に。


高校1年地学 授業要旨 09

1997.5.16実施


海水の総量を計算してみる →同日の化学の授業

地震波で地下のようすを知る

走時曲線

 震央距離を横軸、縦軸に地震波(P波)の到着時間(走時)をプロット

 → 走時曲線

 震源 − 震央 − 観測点

 (グラフを外挿して初期微動継続時間が0になるところ・・・震源)

 有効数字、指数表示

生徒の持参した石:雲仙のパン皮状火山弾? デイサイト。斑晶鉱物:斜長石、輝石、角閃石


高校1年地学 授業要旨 10

1997.5.17実施 前回 次回


地震波で地下のようすを知る 2

走時曲線

 走時曲線の折れ曲がり → 地下に地震波を速く伝える層(不連続面)の存在 モホロビチッチ不連続面

 基本的に、地下深くなるほど、地震波速度は増加(例外:アセノスフェア、外核)

核の発見

 走時曲線を地球スケールでつくってやる …地震波が直接到達しない領域が存在 →”地震波の影”

 何の影か? →核の存在

 P波の影(103゚-143゚)、S波の影(103゚-180゚)

*補足:

波の屈折 水面にスリットで光を当てるときの屈折の例

 波の伝わる速度が速いほうで、よりその境界面に沿った方向に曲がる

 だから、マントル内部では直進ではなく、より速度の速い深いところを通った波が速く観測点に到達する。それで、地震波の伝わり方の図は曲がった経路を描く

 地下を伝わる地震波の(波紋の)図を描く −深い方が膨れた楕円を(震源を中心に)同心円状に描いていく

 波の来る方向…波面に対して垂直 だから、遠くでは地下の深い方向から地震波が届く。

 観測点から波の来る方向を、図上で次々と逆算していく …最短経路は湾曲しているのがよくわかる。

余談:

 お風呂で波動の実験。反射、回折、ドップラー効果。


高1地学97

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