中2A−E 地学 1学期期末試験問題

1998.7.9(木曜)2限実施 萩谷出題

T

A)以下の文章中の空欄を語句欄から最適の語句を選んで埋め、設問に答えよ。

火山から地表に出る溶岩の温度は1100℃〜1200℃のものが多い。地球内部でこれに近い温度になるのは( 1 )上部である。しかし、( 1 )は地震波などの研究から( 2 )の状態であると考えられ、マグマが発生するためには、何らかの原因で部分的に( 3 )が上がるか、( 4 )が下がることが必要であると考えられる。 多くの場合、( 1 )上部で発生したマグマは( 5 )質のものであると考えられる。このマグマが急速に冷えて固まると、ガラス質の岩石ができる。この場合、その岩石の化学組成はもとのマグマの化学組成に等しい。しかし、マグマが徐々に冷えると、固まるまでの間にいろいろな鉱物がある順序に従って次々と晶出する。 晶出する鉱物は、一般にマグマと異なる化学組成を持っているので、何らかの原因でその鉱物がマグマから取り去られると、マグマの化学組成はもとの化学組成と異なってくる。このような作用を( 6 )と呼ぶ。

【語句欄】
地殻 2)マントル 3)核 4)固体 5)液体 6)固溶体 7)圧力 8)温度 9)密度
10)安山岩 11)花崗岩 12)玄武岩 13)結晶分化作用 14)風化作用 15)質量分別効果

【設問】
上記のマグマ生成のしくみは、日本のような島弧の場合は必ずしも当てはまらない。
島弧(沈み込み帯)でのマグマの発生には何が重要だと考えられているか。簡潔に説明せよ。 解答は記述用解答欄1に記入せよ。 下線部について、鉱物がマグマから分離するために重要なこととして、マグマと鉱物の何が異なることが特に重要だと考えられるか。上の語句欄から選べ。( 7 )

B)次の火成岩の分類表の空欄に当てはまる語句を、語句欄から選んで番号を記入せよ。

【語句欄】
1)変成岩 2)深成岩 3)片状組織 4)等粒状組織 5)斑状組織 6)片麻状組織
7)玄武岩 8)かんらん岩 9)石灰岩 10)安山岩 11)花崗岩 12)凝灰岩
白雲母 14)黒雲母 15)カリ長石 16)石英 17)輝石 18)藍晶石

U

以下の文章中の空欄に最適の語句を語句欄から選んで番号を記入し、後の設問に答えよ。

造山帯の中軸部には、長さ数100km以上、幅数10kmに及ぶ変成帯が発達する。 変成帯の中の泥質の堆積岩は、変成度の低いところでは千枚岩となり、変成度が高くなると片理面に沿ってはがれやすい( 18 )をもつ( 19 )になる。さらに変成作用が進んだところでは、石英や( 20 )などの無色鉱物の多い部分と、 黒雲母、( 21 )などの有色鉱物の多い部分が縞状に並んだ( 22 )ができる。このような変成帯を形成する変成作用を( 23 )という。 一方、泥質岩が火成岩体の貫入により( 24 )を受けると、かたくて緻密な変成岩ができる。この岩石は( 25 )と呼ばれる。

1)ホルンフェルス 2)結晶片岩 3)片状組織 4)等粒状組織 5)斑状組織 6)片麻状組織
片麻岩 8)斜長石 9)かんらん石 10)角閃石 11)花崗岩 12)広域変成作用
13)接触変成作用

V

水準測量から得られた、最近の日本列島の地殻
の上下変動は、図のようになっている。この図
の説明のうち適当なものはどれか。( 26 )
@山岳地帯は例外なく隆起
A日本海側は例外なく隆起
B西南日本の太平洋岸は沈降
C東北日本の太平洋岸は沈降

【設問】
最近のGPS測量の結果、日本列島では地殻の上下変動よりも水平変動の方が、10倍以上大きいことがわかっている。これは、一般に地殻にどのような性質が成り立っているからか。 簡潔に説明せよ。解答は記述用解答欄2に記入せよ。

W

ある地域にひとつの深成岩体がある。地表面で、この岩体は、半径が約5kmの円形に近い輪郭を持ち、鉱物の種類や量比が岩体の周辺部から中央部に向かって変化している。周辺部から中央部に向かって、ほぼ等間隔に、A、B、C、Dの4個の岩石を採集し、偏光顕微鏡で調べてみた。その結果、各岩石に含まれる鉱物の種類と量比(体積%)は以下の通りであった。

角閃石 黒雲母 斜長石 石英 カリ長石
A 12 5 63 15 5
B 5 4 59 22 10
C 2 4 40 28 26
D 0 3 31 32 34
1)一般に、ある火成岩が深成岩であることは、どのような性質から判断されるか。( 27 )
岩石の組織 A有色鉱物の種類 B岩石の色指数 C岩石の化学組成

岩石Aの色指数はどれか。( 28 )
@5 A12 B17 C20 D63

この岩体についての記述のうち正しいものはどれか。( 29 )
@岩体を通して、岩石の化学組成は変化しない。 A周辺部から中央部に向かって、有色鉱物が増加する。 B周辺部から中央部に向かって、FeやMgを含む鉱物が減少する。 C周辺部から中央部に向かってFeやMgを含む鉱物が増加する。

4)岩石Dの名称はどれか。( 30 )
@玄武岩 A花崗岩 Bはんれい岩 C流紋岩

X

天然には約90の元素が存在しているが、地殻はO、Si、Al、Fe、Ca、Na、K、Mg、の8元素だけで全体のおよそ( 31 )が占められている。 鉱物の種類はきわめて多いが、地殻を構成している岩石のうち、量的に最も多い火成岩をつくっている主な鉱物は、せいぜい10種類にすぎない。 火成岩は、特別な場合を除けば、その化学成分としては( 32 )が最も多い。( 33 )は、この化学成分だけでできているごく普通に産する鉱物である。 この鉱物は、温度や圧力などの条件によって、化学組成は同じも結晶構造の異なる鉱物に変化する。一般に、このような鉱物をたがいに( 34 )の関係にあるという。

( 31 )の解答群 @30% A50% B70% C95%以上
( 32 )の解答群 @MgO AAl2O3 BSiO2 CFeO
( 33 )の解答群 @黒雲母 A石英 B斜長石 Cかんらん石
( 34 )の解答群 @固溶体 A面角安定 B同形置換 C同質異像(多形)

Y
A)火山活動は、地下深部で岩石が融けて生じたマグマが地表に噴出する現象である。火山噴出物には、溶岩と火山砕屑物に加え、火山ガスがある。火山ガスに含まれている成分のうち最も多いものはどれか。( 35 )
@H2O AHCl BH2 CN2

溶岩の流れ方はその温度や化学組成によって異なり、いろいろな火山地形をつくる。 このことを記述した文として最も適当なものはどれか。( 36 ) @玄武岩質マグマは粘性が小さいので、盾状火山をつくる。
A安山岩質マグマは粘性が小さいので、溶岩円頂丘をつくる。
B安山岩質マグマは粘性が大きいので、溶岩台地をつくる。

B)火山の山頂部に、軽石や火山灰の大量噴出や、山体の崩壊に伴って、円形に近い大型の窪地ができることがある。この地形はどれか。( 37 )
@カール A溶岩湖 Bカルデラ Cドリーネ

Z

大西洋中央海嶺や東太平洋海膨は、おもに( 38 )の火成岩類からなる海底の大山脈である。これらの中央海嶺における火成活動は、約( 39 )重量%のSiO2を含むマグマの貫入や噴出によって特徴づけられる。このようなマグマは海嶺下の( 40 )質の( 41 )物質が部分的に融解して生ずると考えられている。

( 38 )の解答群 @古生代後期 A中生代 B新生代前期 C新生代後期
( 39 )の解答群 @40 A50 B60 C70
( 40 )の解答群 @かんらん岩 A玄武岩 B安山岩 C花崗岩
( 41 )の解答群 @海洋地殻 A大陸地殻 Bマントル C核(コア)

[

A)ある地方の花崗岩体には、これを貫く幅数十cmの岩脈がみられる。この岩脈は花崗岩の造岩鉱物とほとんど同じような鉱物からなっているが、花崗岩にくらべて各鉱物の結晶は大きく、自形をなすことが多い。このような鉱物の集合体は鉱床として採掘されることがあり、しばしば、リチウム、ベリリウム、ウランなどを含む鉱物を伴っている。

1)このような鉱床を何というか。( 42 )
@正マグマ鉱床 Aペグマタイト鉱床 B気成鉱床 C熱水鉱床

2)この花崗岩の構成鉱物のうち、固溶体をつくらない鉱物を選べ。( 43 )
@石英 A斜長石 B黒雲母 C角閃石

3)この岩脈の構成鉱物のひとつである斜長石の組成として最も適当なものを選べ。( 44 )
@Caに富む AMgに富む BFeに富む CNaに富む

4)石英と斜長石を区別するのに最も適当な性質を、次からひとつ選べ。( 45 )
@密度 Aへき開 B条こん色 C多色性

B)接触交代鉱床は、石灰岩とSiO2に富む深成岩との接触部にみられる鉄や銅などの鉱床で、ザクロ石や珪灰石などのスカルン鉱物を伴っている。この鉱床についての記述として正しいものを選べ。( 46 )

@この深成岩は、はんれい岩である。
A鉄や銅などの金属成分は石灰岩から供給された。
Bスカルン鉱物はCaに富む珪酸塩鉱物である。
C鉱床近くの石灰岩は片麻岩に変わっている。

以上