地学 学年末試験問題 F1F

1998.3.6(土曜)1限実施 萩谷出題

 

T

 

堆積岩の形成についての以下の文章を読み、空欄を最適の語句・数値で埋め、設問に答えよ。

 

 堆積岩は、地表の岩石が風化・侵食・運搬・堆積の諸過程を経て、地層をつくり、最終的に固結した岩石となったものである。

 堆積岩のできかたを考えてみよう。岩石は風化により、レキ、砂や泥といった砕屑粒子と、水に溶けた各種のイオンとに分解され、運ばれる。どちらのかたちでより多く分解されるかは、岩石の種類や風化の場の気候条件、地形などによって異なってくる。氷河地域では、地表の岩石は大半が砕屑粒子のかたちになり、一方、熱帯の高温多雨の条件では、岩石の風化は(a)イオンのかたちで溶脱される割合が高くなる。

砕屑粒子は、流水のはたらきによって運ばれ、粒子の大きさに応じて場所を選んで堆積し、地層をつくる。( 1 )の作用により粒子がつくられ、運ばれて地層をつくる場合もある。

 一方、イオンのかたちで運ばれた岩石の成分は、生物が骨格をつくるために利用され、それが( 2 )や( 3 )のような岩石になる。海水が干上がったところでは( 4 )や石膏などの蒸発岩となって堆積岩をつくることもある。

 このように、地層や堆積岩の形成には、水や大気が大きな役割を果たしていることがわかる。地表での水の循環、状態変化のサイクルが、堆積岩の形成には重要である。また、生物活動が堆積岩の形成に関与している場合もある。とりわけ、( 2 )はカルシウムの炭酸塩として、(b)( 5 )を含む岩石なので、地球の大気組成や表層環境に重大な影響を与える岩石であるともいえる。

 

【設問】

A)下線部aに関連して、化学的な風化(溶脱)作用で形成される地形の特徴的な例を挙げ、その形成のしくみを説明せよ。

 

B)下線部bに関連して、主に化石燃料の大量消費によって引き起こされている、現代の環境問題はどのようなものか。

 

C)地球史の初期、ほとんど純粋な水が雨として地表に降り注ぎ、地表の低いところにたまったことによって、はじめて海が形成されたと考えられている。

 しかし、その後の地球史を通じて、海水の組成は現在とほとんど変わりなく、ずっと塩辛かったと考えられている。海水に塩分が含まれるしくみを、上記の文章を参考にして簡潔に説明せよ。

 

U

 

 夏の日に、ある山脈のふもと、高度0mのところに30℃の空気塊があったとする。この空気塊は山の斜面に沿って上昇を始め、600mのところで露点に達し、以後は雲をつくりながら高度2000mの峠まで上昇し、そこから高度0mのところまで吹き降りたとする。

 このとき、1)高度2000mの峠の位置での空気塊の温度、2)吹き降りた高度0mのところでの空気塊の温度、を計算して求めよ。ただし、湿潤断熱減率を0.5℃/100m、乾燥断熱減率を1.0℃/100m とする。

 

 

V

 

次の1)、2)、3)から1題を選択して答えよ。

 

1)放射冷却現象と逆転層の形成について説明せよ。

 

2)低気圧と高気圧が地球表面での熱輸送に果たす役割を説明せよ。

 

3)もし、地球上の水が、氷や水蒸気の状態の水を含めて、すべて失われてしまうとするなら、地球上の気象や気候はどのように変化すると予測されるか。想像されることを記せ。

 

W

 

地質時代の環境や化石に関する以下の文を読み,設問に答えよ。

 

(A) この時代の初期には、現在の海洋生物の祖先とされる無セキツイ動物が出現,爆発的に進化した。カナダ,ロッキー山脈のこの時代の頁岩からは,(1)アノマロカリスなど,現在の動物との類縁関係が不明な動物群も見つかっている。

 

(B)この時代,海洋ではアンモナイトが栄え,陸上では被子植物が出現し,は虫類が繁栄した。しかしこの時代の終わりには(2)恐竜類やアンモナイトなど中生代型の生物が絶滅し,

地球史は新しい時代に入った。

 

(C)この時代にはランソウ(藍藻)が海中の石灰質粒子を付着して作ったストロマトライトと呼ばれる石灰岩や、酸化鉄とチャートの薄層から成る堆積物が発達した。後者は現在,世界の主要な鉄資源となっている。オーストラリア南部に分布するこの時代末期の地層からは、クラゲなどの腔腸動物や環形動物の多毛類など、多細胞動物の化石が多量に発見されている。

 

(D)この時代は氷河時代とも呼ばれ,寒冷な氷期と温暖な間氷期が交互に繰り返し、氷期には広大な大陸氷床が発達した。生物界では哺乳類が大発展を遂げた。

 

(E)この時代・大陸の内部では巨大なシダ植物が大森林を作り,昆虫類が繁栄した。アフリカ,オーストラリア,インド、南アメリカ,南極大陸からはグロッソプテリスに代表される共通の化石植物群が発見されている。このことから,(3)当時これらの大陸は一つにつながっていたと考えられている。

 

問1(A)〜(E)の時代名を次から選び・(A)=○○○○○ のように答えよ。

 

     石炭紀 カンブリア紀 第三紀 シルル紀 先カンブリア時代 白亜紀

     デボン紀 オルドビス紀 第四紀 ジュラ紀

 

問2(A)〜(E)を古い時代から新しい時代の順に並べよ。

 

問3 下線部(1)〜(3)について下記に答えよ。

 

(1)この動物群をなんと呼ぶか。

 

(2)この時代に生物の絶滅を引き起こした原因として,(ア)生物の生理や生態変化,(イ)地球の劇的な環境変化,(ウ)天体現象、など様々な説が提唱されている。このうち,(イ)、(ウ)としてはどのようなことが考えられているか,それぞれ5〜10文字程度で答えよ。

 

(3)この大陸をなんと呼ぶか。

(99年東大理系前期二次試験・一ヶ所改変)

 

X

 

 

 星の明るさは等級で表される。1等級の違いは、約2.5倍の明るさの差に相当する。5等級では、(2.5)5≒100であるから、約100倍の明るさの差がある。

 一方、星の明るさは、観測する距離の二乗に反比例する。距離が2倍になると明るさは1/4になり、距離が10倍になると明るさは1/100になる。

 このことを利用して、様々な天体までの距離を求めたり、あるいは天体の真の明るさ(絶対等級)を求めることができる。

 

1)いま、ここに見かけの等級が+1.0の恒星がある。もしこの恒星の距離が、現在の位置よりも10倍遠くになるとしたら、この恒星の等級はいくつになるか。

 

2)絶対等級の基準は、10パーセク(=32.6光年)である。すべての天体が、この距離にあると仮定して、そのとき我々が観測するであろう光度を計算し、比較するのが、絶対等級の意味である。

 ここで、距離4パーセクのところに、見かけの等級が-1.0等の恒星があるとする。この恒星の絶対等級はいくつか。計算して求めよ。

 

3)比較的近い位置にある銀河の中では、絶対等級が-3等程度の星があって、それを見分けることができる。最新のハッブル宇宙望遠鏡は、見かけの等級で+27等の星を識別できるといわれているが、それではこのような絶対等級が-3である恒星は、どれくらいの距離のところにある銀河の中で識別することが可能であるか。計算して求めよ。

 

4)天体からの光からは、どのような情報を取り出すことができるか。簡単に説明せよ。

 

以上


地学 学年末試験 F1F 解答用紙

1999.3.6(土曜)1限実施 萩谷出題

 

T

 

1)          2)          3)          4)          5)          

 

A) 例:

 説明:

 

 

B)(環境問題)

 

 

C)(海水中の塩分の起源)

 

 

 

U

1)(高度2000mでの温度)

 

 

 

 

2)(高度0mまで吹き降りてきたときの温度)

 

 

 

 

V(選択問題)

 

番号    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

W

 

問1

(A)             (B)             (C)          

 

 

(D)             (E)

 

 

問2

 

 

 

問3

(1)(動物群)

 

 

(2)(イ)                  (ウ)

 

 

(3)(大陸)

 

 

X

1)

 

 

2)

 

 

3)

 

 

 

 

4)

 

 

 

 

 

 

 

F1F 番号    氏名            得点