地学 2学期期末試験
F1G1999.12.14(
火曜)2限実施 萩谷出題
(第1問から第3問までは、共通一次試験の過去の出題から引用。それ以降オリジナル。)
第1問 次の文章中の( 1 )〜( 4 )に入れるのに最も適当なものを、それぞれの下にある解答群から一つずつ選べ。
A君は、玄武岩について、次のような観察と実験を試みた。
まず、玄武岩を薄片にして顕微鏡で観察したところ、いろいろな造岩鉱物が見られたが、おもな造岩鉱物は、( 1 )、き石、かんらん石であった。また、これらの造岩鉱物の集合状態を見ると、微細な鉱物やガラス質からなる石基と粗粒の鉱物からなることがわかった。このような鉱物の集合状態を( 2 )とよぶことを知った。次に、化学分析によってSiO2の含有量を調べたところ、重量パーセントで約( 3 )であった。このSiO2含有量を基準にすれば、玄武岩は( 4 )に分類されることを学んだ。
1 の解答群 @Naの多い斜長石 │ACaの多い斜長石 │Bカリ長石
2 の解答群 @等粒状組織 │A片状組織 │B斑状組繊
3 の解答群 @70% │A60% │B50%
4 の解答群 @塩基性岩 │A酸性岩 │B中性岩
第
2問 以下の問い(問1〜3)に答えよ。問
1 地震波の性質について述べた次の文@〜Cのうちから、正しいものを一つ選べ。( 5 )@
P波は横波であり、S波は縦波である。A
P波の伝達速度はS波のそれよりも遅い。B
P波は固体中の方が液体中よりも速く伝わり、S波は液体中は伝わらない。C一つの震源から発した
P波とS波は、地球上のすべての地点に伝わる。問
2 地震と、地震に関連した現象について述べた次の文@〜Cのうちから、正しいものを一つ選べ。( 6 )@地震波多発地域と火山の分布する地域とは一致しないので、地震活動と火山活動とは無関係である。
A地震に伴って生じる津波は、水深が浅いところでは速く、深いところでは遅く進む。
B地震は、地殻やマントル上部に加わった力により、断層が生じたり、すでにあった断層が再活動することに伴って発生する場合が多い。
C日本列島周辺で起こる地震は、マントル内部が震源となり、地殻内部で起こることはない。
問
3 地球の内部構造について述べた次の文@〜Cのうちから、正しいものを一つ選べ。( 7 )@地殻は固体であり、マントルと核の大部分は液体である。
Aモホロビチッチ不連続面
(モホ面)は、核とマントルとの境界面である。B大陸部の地殻は
100km以上の厚さをもつが、大洋部の地殻は25km前後の厚さしかない。C大陸の地殻上部は主に花崗岩
(カコウ岩)質の岩石、大洋の地殻は主に玄武岩(ゲンブ岩)質の岩石からなる。
第
3問 次の文章を読み、下の問い(問1〜4)に答えよ。マントルから上昇してきたマグマが固結することによってできると考えられる海洋地殻は、生成時の地磁気の影響を受けて、一般に強く磁化している。ところが、地磁気の磁極の方向性
(極性)は一定ではなく、過去に何回も逆転を繰り返しているため、生成し続ける海洋地殻の磁化の方向も、それに応じて反転を繰り返している。こうして、拡大する海洋地殻には正帯磁の部分と逆帯磁の部分が交互に現れ、いわゆるしま状の地磁気異常が観測される。しかし、地磁気異常を詳しく調べると、これら正帯磁の部分や逆帯磁の部分の幅は一定ではないことがわかる。このような特徴をもつしま模様を、地磁気の極性逆転の標準的年代史と比較すると、両者の間ににはよい対応がみられる。このことは、海洋底の年代を推定することに使われている。また、大西洋や太平洋などでは、ある軸に関して対称な地磁気のしま模様が観測される。
問
1 海洋地殻の磁化に関する文として最も適当なものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。( 8 )@マグマがマントルから上昇してきたときにはすでに、そのときの地磁気の向きに磁化している。
Aマグマが固結し始めるときに、いろいろな向きに磁化する。
Bマグマが固結してから
300℃程度まで冷却する問に、そのときの地磁気の 向きに磁化する。Cマグマが海底に噴出して急冷するときに、いろいろな向きに磁化する。
問
2 地磁気の極性逆転に関する文として最も適当なものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。( 9 )@地球磁場と太陽風との相互作用の結果として生じる地磁気変化で、極性逆転が起こる。
A大陸移動によって地磁気分布に変化が生じ極性逆転が起こる。
Bマントル対流によってマントル物質の帯磁方向が変化し、極性逆転が起こる。
C極性逆転の原因は、地磁気の成因と同様、核
(コア)内のダイナモ作用(発電作用)に求められる。問
3 ある海洋地殻の正帯磁の部分や逆帯磁の部分の幅が一定でない理由として最も適当なものを、次の@〜Bのうちから一つ選べ。( 10 )@地磁気の極性逆転の時間間隔も海洋底拡大速度もほぼ一定であるが、海洋地殻が磁化するまでの時問にばらつきがある。
A海洋底拡大速度はほぼ一定であるが、地磁気の極性逆転の時間間隔が一定でない。
B地磁気の極性逆転の時問問隔も海洋底拡大速度もまったく不規則に変化している。
問
4 地磁気のしま模様にみられる対称軸付近での地震活動の特徴を示す文として最も適当なものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。( 11 )
@対称軸に沿って浅い地震が発生する。
A対称軸付近に浅い地震も深い地震も多く発生する。
B対称軸の片側に深い地震が発生し、また巨大地震もときどき起こる。
C地震活動はほとんどみられない。
第
4問 以下の文章を読み、設問に答えよ。
今年(
1999年)は、アポロ計画で有人探査機が月に初めて着陸してから、ちょうど30年になる。アポロ11号から17号(13号を除く)の月面での調査と、持ち帰ったサンプルの研究から、科学的に重要な多くの新しい知見が得られた。月の表面には、月形成後の隕石衝突・クレーター形成のショックで粉々になった岩石が固まった、角レキ岩という種類の岩石や、レゴリスと呼ばれる細かい岩石片の砂が多くみられる。しかし、本来の岩石は、地上から暗く見える部分の”海”と呼ばれる低地部分では玄武岩、”高地”と呼ばれる白く輝く部分は、主に斜長岩という岩石であったと考えられる。
月の”海”を構成する玄武岩のほとんどは、およそ
38-30億年前の年代を示し、その時代に噴出したマグマが、月面の低いところにあるクレーターなどを埋めてたまり、固結したものと推定されている。一方、”高地”を構成する岩石は、一般により古い年代を示すが、その中でも、斜長石という鉱物のみでできた、斜長岩という岩石は、約
46億年前の太陽系形成直後の、非常に古い時代の情報を保持しているものと期待された。その後の研究で、月の斜長岩の放射年代は44億年前の年代を示すものが確認されて、上記の考えが裏付けられた。設問
1)玄武岩という岩石は、どのような岩石であるか、簡潔に説明せよ。
2)月の斜長岩は、月の形成におこった、どのような現象の証拠と考えられるか、説明せよ。
3)マグマ中で晶出した結晶と、残液(マグマ)との分離により、マグマの化学組成が連続的に変化する作用の名称を、選択肢Aから選んで答えよ。
また、その化学組成の変化が起こるために必要な、結晶とマグマに関わる条件は何か、選択肢Bから2つ選んで説明せよ。
選択肢A:質量分別作用、結晶分化作用、化学的風化作用、
選択肢B:密度の差、圧力の差、温度の差、大きい重力、濃密な大気
4)放射年代を求めるしくみを簡単に説明せよ。
5)アポロ計画の宇宙飛行士が、単に岩石試料を採取するだけの目的であれば必要のない、岩石の見方や記載の方法を学んだのはどうしてか。その必要性を説明せよ。
6)無人探査機による惑星探査と、アポロ計画のような有人探査の違いについて、それぞれのメリット・デメリットを説明せよ。
第
5問 設問A,Bの両方を答えよ。A)地球上で火山の分布は限られていて、それはマグマの発生する条件が関係していると思われている。マグマの発生するしくみについて、
1)マントルのかんらん岩に
H2Oが含まれていない場合2)マントルのかんらん岩に
H2Oが多く含まれている場合のそれぞれについて説明せよ。必要があれば、地殻及びマントルの岩石の融点(融けはじめの温度)と、地下の温度分布を表した、温度と圧力(深度)のグラフを描いて説明してもよい。
B)マントルのかんらん岩が部分融解するときには、融けはじめの温度と融け終わりの温度に差があり、その中間の温度では、液と結晶がある割合で混ざって存在している。
これに関連して、以下の記述で正しいものには○を、正しくないものにはその部分を抜き書きして、解答欄に記入せよ。
1)マントルのかんらん岩は、かんらん石という鉱物のみからなる岩石である。
2)一定の融点を持たないのは、かんらん岩が純物質ではなく、混合物だからである。
3)融けかたの度合いによって、液(マグマ)の化学組成は変化する。
4)マントルのかんらん岩の部分融解でできたマグマが上昇し、固結することで、地殻がつくられている。
5)マグマの密度は一般に周囲の岩石よりも大きい。
第
6問 地震の震度とマグニチュードの違いについて簡潔に説明せよ。
第
7問 岩石と鉱物の違いについて説明せよ。
第
8問 地球上の岩石の多様性はどのようにしてつくられたか、簡潔に説明せよ。
以上