流星群と彗星


*隕石と流星群の違い。

 隕石が落下するときに、流星として見えることはたしかにありますが、隕石 の落下は比較的珍しいことです。通常、流星群として見えるのは、彗星起源の砂つぶ のようなもので、隕石とは関係ありません。サイズが小さいために、ほとんど すべてが上空で燃え尽きて、目に見えるかたちでは地表に降ってきません。

 隕石は、基本的には小惑星の破片です。かつて惑星をつくっていた、岩石や 金属鉄の塊です。それに対して、流星のほとんどは、彗星に含まれていた、お そらく数mm程度以下の砂つぶのような粒子です。

*彗星と流星群

 彗星は、いわば汚れた雪だるまのような天体です。氷やドライアイスを主成 分にして、流星のもとになるような塵(砂粒)を含んでいます。直径は数km〜 十数km程度、本来は冥王星から、それよりも遠い軌道(カイパーベルト)にあ った、ある種の微惑星のようなものだと考えられています。それが、何らかの 理由で軌道を変えて、太陽に落ち込むように接近する軌道を取るようになった ものが、太陽風や太陽放射で氷を蒸発させ、砂つぶを吹き飛ばされて、それが 輝いて、長い尾をひいて見えるようになるのです。

 吹き飛ばされた砂つぶは、彗星の軌道の周囲に広がって、彗星と同じような 軌道で公転し続けることになります。たまたま、地球の公転軌道と交差するよ うな軌道を持つ周期彗星があれば、その軌道の交差するところで、彗星起源の 砂つぶが、大量に地球に飛び込んでくることになります。これが・・流星群と 呼ばれるものです。

 彗星や、そのまわりにまき散らされた砂粒は、やはり公転していますから、 運動方向と速度を持っています。地球と正面衝突するとは限らず、斜めに衝突 することが多くなります。それは流星のもとになる塵を供給する彗星の軌道に 依存します。それで、流星が飛んでくる方向がしし座だったり、ペルセウス座 だったりするのです。また、流星群が見える時期が1年のうちで限られるのも、 そういう理由によります。ある彗星と地球の軌道が交差するところは、何月何 日頃だと特定できるわけです。

 公転速度は、地球軌道で秒速約30kmほどです。彗星の場合も地球軌道のあた りではほぼ同じ速度を持ちます。しし座群の場合は、母彗星が逆回りの軌道を 持つため、砂つぶも正面衝突に近い、地球の公転方向から見て逆方向から衝突 して来るので、合成速度が秒速約70kmにもなり、短くかつ明るい流星が数多く 見られるようです。

 流星群の原因になる砂つぶは、もともと彗星から供給されているわけですか ら、母彗星が地球軌道付近を横切ったあとでは、当然その砂つぶの数が増えて います。それで、母彗星が通過した直後に地球が通りかかるときは、華々しい 流星群が期待できるというわけです。


関連参考書

 →流星群と隕石のQ&A


1999.3.27 H.Hagiya

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