NHKジュニアスペシャル 第15回「地球と共に歩んで」
VTR台本 PD:杉山 優
┌───────────────────────────────────┐ │VTR1 <地球と生命がうまく調和してきた歴史> │ └──────────┬───┬────────────────────┘ 原始太陽系の渦 │04:15│Q およそ46億年前の宇宙です │ │ 微惑星が浮かぶ │04:19│ できたばかりの太陽のまわりには │ │ 微惑星が漂っていました │ │ 微惑星同士の衝突 │04:26│Q 微惑星同士は衝突を繰り返し、 │ │ 大きく成長していきます │ │ 原始地球に衝突する隕石│04:32│Q その中から地球が誕生しました │ │ できたばかりの地球は引力で │ │ まわりの物質を引きつけ │ │ さらに大きく成長していきます │ │ マグマ地表 │04:43│Q 隕石の衝突によって地球はマグマに │ │ 覆われ、隕石に含まれていた水分は │ │ 衝突と同時に蒸発しました │ │ 降り注ぐ雨 │04:52│Q しかし、地表の温度が下がると │ │ 大気中の水分は地表に降り注ぎました。 原始の海 │ │ 原始の海の誕生です │ │ 厚い二酸化炭素の空 │05:06│Q この頃の大気には │ │ 二酸化炭素が多く含まれていて │ │ 酸素はほとんどありませんでした │ │ 原始の海 │05:19│Q 海水の中にはアミノ酸など │ │ 生命に必要な物質が溶け込んでいました │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 原始の海の泡 │05:25│Q 生命誕生の謎は、 泡の顕微鏡映像 │ │ はっきり解き明かされていません │ │ しかし。、海の中でアミノ酸などの │ │ 物質のまわりに膜ができて、 │ │ その閉ざされた膜の中で │ │ 化学変化が進みました │ │ その結果、生命の設計図である DNA分子 │ │ 遺伝子を持つものがあらわれたと │ │ 考えられています │ │ このような単純な構造の生き物が │ │ 地球で最初の生命だと │ │ 考えられているのです │ │ 分裂するバクテリア │05:58│Q バクテリアはまわりの栄養を │ │ 膜の中に取り込みながら成長します │ │ そして分裂することによって │ │ 子孫を残すことができました │ │ いろいろなバクテリア │06:13│Q 酸素がほとんどない環境の中で │ │ バクテリアの仲間には、 │ │ 様々なタイプのものが生まれました │ │ シアノバクテリア化石 │06:21│Q その中のひとつ、 │ │ これは35億年前に生きていた │ │ シアノバクテリアの化石です │ │ もっとも古い生命の証拠です │ │ シアノバクテリア │06:33│Q シアノバクテリアは太陽の光を使って │ │ 光合成をするバクテリアです │ │ シアノバクテリアは光合成の結果 ハメリンプール │ │ 海の中に酸素を吐き出しました │ │ 酸素の泡 │ │ 酸素がほとんどなかった地球で │ │ はじめて大量の酸素が作り出されたのです │ │ 海面の色が赤くなる │06:57│Q 大量の酸素は海水に含まれていた │ │ 鉄と反応して赤錆をつくりました │ │ そして赤錆は海の底に沈んでいきました │ │ │ │ 縞状鉄鉱 │07:07│Q 海底にたまった赤錆は │ │ 現在の地球に鉄鉱石の地層として │ │ 残っています │ │ 酸素の豊富な青空 │07:18│Q 海中の鉄分を全て錆びに変えたあとも │ │ シアノバクテリアは酸素を出し続けました │ │ そして大気の中に酸素が増え始めたのです │ │ 合体する2つの │07:28│Q 地球に酸素が増えてくると バクテリア │ │ 酸素を積極的に利用するバクテリアの │ │ 仲間が、爆発的に進化しました │ │ それらの中には │ │ 違うタイプのものを飲み込んで合体した │ │ バクテリアもあらわれました │ │ 細胞実写 │07:53│Q 異なるバクテリアが │ │ 合体したことによって、 │ │ 全く新しいタイプの細胞ができました 核とミトコンドリア │ │ 合体した細胞では、いろいろな器官が │ │ 役割を分担しています │ │ 小さなものを飲み込んだ細胞の核は │ │ 子孫を残すために遺伝子の情報を蓄えます │ │ 飲み込まれた細胞は │ │ ミトコンドリアになって │ │ 酸素呼吸をし、エネルギーを作り出します │ │ ニハイチュウ │08:16│Q これはニハイチュウという動物です │ │ 10億年ほど前には 海を泳ぐニハイチュウ │ │ ニハイチュウと同じように │ │ いくつもの細胞を持った最初の動物が │ │ あらわれたと考えられています │ │ ウミエラ&クラゲ │08:32│Q 6億年前には │ │ 動物の種類も増え様々な形をした動物が │ │ 海の中で生活していました │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ カンブリア紀の海 │08:42│Q 生命は進化を続け │ │ 身体を支えるために硬い殻を持つものが │ │ あらわれました アノマロカリス泳ぎ │ │ 殻には生命に必要なミネラルなどを │ │ 貯蔵しておくことができました │ │ ピカイア化石 │08:58│Q これは5億年前の動物、 │ │ ピカイアの化石です │ │ ピカイアは、体を支える、 │ │ 脊索というしなやかな一本の棒を CG │ │ 体の中に持っていました │ │ 現在生きている全ての脊椎動物の祖先です │ │ アランダスピス │09:18│Q 4億6千万年前にはもっとも古い魚 │ │ アランダスピスが登場しました 微生物を食べる │ │ アランダスピスは硬い殻で │ │ 体を支え、保護していました │ │ 宇宙から見た川 │09:31│Q 動物はさらに進化しながら、 │ │ 種類と数を増やしていました。 │ │ そして活動の場は海から川へと │ │ 広がろうとしていました │ │ プテラスピス │09:39│Q 川という環境に適応した魚 │ │ プテラスピスは │ │ 腎臓を発達させることによって │ │ 海と川の塩分濃度の違いに適応しました │ │ 森林の形成 │09:55│Q この頃の地球には増えた酸素によって │ │ 有害な紫外線から生命を守る │ │ オゾン層が作られていました 森林〜青空 │ │ また、すでに陸に上がった植物は │ │ 森を作り、大気中の酸素の量を │ │ 増やし続けていました │ │ 陸地では酸素をエネルギーにする │ │ 動物にとって、より有利な環境が │ │ できあがっていたのです │ │ │ │ │ │ ユーステノプテロン化石│10:24│Q そのころ川で生活していた魚 │ │ ユーステノプテロンの化石です │ │ ユーステノプテロンは ヒレにZ/I │ │ 背骨が発達し、魚の中でも │ │ 泳ぐのが上手だったと考えられます │ │ また、この魚はヒレに │ │ 指のような骨を持っていました │ │ 空気呼吸 │10:54│Q さらにユーステノプテロンは │ │ 肺を持っていたので │ │ 水面に顔を出して │ │ 直接空気を吸うことができました │ │ 肺魚 │11:04│Q 今でも肺魚のように │ │ 肺で空気を吸う魚がいます │ │ 肺呼吸は、酸素が豊富な空気さえあれば │ │ 水中でのエラ呼吸よりも効率のいい │ │ 呼吸方法です │ │ 森〜空 │11:18│Q 肺呼吸ができるようになったことで │ │ 脊椎動物は陸で生活を始めるきっかけを │ │ 得ました │ │ イクチオステガ │11:25│Q そして両生類が誕生しました │ │ イクチオステガはヒレが進化した │ │ 4本の足をもち陸を歩いていました │ │ さらに重力の元で体を支え │ │ 内臓を保護するために │ │ 丈夫な骨格も発達させていました │ │ 森林の爬虫類 │11:49│Q しかし、まだ完全に水辺から離れて │ │ 生活することはできませんでした │ │ その後、水から離れ乾燥した環境に適応し │ │ 爬虫類が両生類から進化しました │ │ 哺乳類型爬虫類 │12:01│Q 更に爬虫類の中からは │ │ 恐竜のグループと │ │ 人間につながる哺乳類のグループが │ │ あらわれました │ │ 大陸分裂〜温暖化 │12:13│Q 2億年前、火山活動が活発になり │ │ 大陸は分裂を始めました │ │ 小さく分かれた陸地は │ │ 温度を保つ力がある海水に囲まれて │ │ 暖かい気候を維持するのに適していました │ │ 割れ目噴火 │12:32│Q また、活発な火山活動によって │ │ 大気中の二酸化炭素が増え │ │ 地球全体の温暖化が始まりました │ │ 森の発達 │12:43│Q このようにして地球は │ │ 暖かく穏やかな気候に │ │ つつまれていました │ │ 地球には森林が広がり │ │ その葉っぱをエサにする恐竜たちが │ │ 増え始めました │ │ ステゴサウルス │13:02│Q この暮らしやすい環境の中で │ │ 体を巨大化する恐竜があらわれました │ │ プルガトリウス │13:10│Q しかし6500万年前に │ │ 地球の環境が激変すると │ │ 恐竜をはじめ、多くの爬虫類は │ │ 絶滅してしまいました │ │ しかし昆虫や鳥、そして哺乳類の中には │ │ 絶滅をまぬがれたものたちがいました 手UP │ │ プルガトリウスは プルガトリウス │ │ ネズミのように見えますが │ │ 木の上の生活に適応したサルの祖先です │ │ 森林 │13:39│Q 生き延びた哺乳類は草原や海の中など │ │ 様々な環境に適応しました │ │ 原生のサル │13:44│Q その中で、 │ │ 木の上の生活をしていたものたちは │ │ サルのグループへと進化していきました │ │ │ │ │ │ │ │ 森林と草原 │13:52│Q 更にサルのグループの中から │ │ 気候の変動によってできた │ │ 草原での暮らしに適応し、2本足で歩く │ │ 人類へと進化するものがあらわれました │ │ アファール猿人全身骨格│14:09│Q 400万年前にあらわれた │ │ 人類の祖先、アファール猿人の化石です │ │ 猿人の骨盤 │14:18│Q 骨盤の形から、直立して2本の足で │ │ 歩いていたことがうかがえます 下半身の骨格 │ │ 直立するために骨盤の幅が広く │ │ 内臓をしたから支えるような │ │ 形をしています │ │ チンパンジー │14:32│Q 森での生活に適応している 骨盤 │ │ チンパンジーの骨盤と比べると 骨盤比較 │ │ 形が違うのがはっきりとわかります │ │ アファール猿人骨格歩き│14:43│Q 人類は背骨の上に重い頭を乗せたために │ │ バランスがとりやすくなり │ │ 脳を大きくすることが可能になりました │ │ 人類はこの後、急速な進化を遂げ │ │ 10万年前にはヒトが誕生したと │ │ 言われています │14:59│ ┌───────────────────────────────────┐ │VTR2 <人類が歩んできた道のり> │ └──────────┬───┬────────────────────┘ 人類の分布図 │18:23│Q およそ1万8千年前の地球 │ │ ヒトはアフリカ、アジア、ヨーロッパ │ │ オセアニアなどで生活していました │ │ シベリアなどの北極圏にも │ │ 人々の暮らしは広がっていました │ │ 吹雪の太陽 │18:39│Q この頃の地球は氷河時代でした。 雪原 │ │ 北極圏に住むヒトはマンモスなどの 人類歩き │ │ 大型の動物を食料にしていました マンモス │ │ マンモス化石と石器 │18:53│Q これはマンモスの化石です │ │ マンモスの骨の間からは │ │ 石器も見つかっています │ │ 矢尻 │19:07│Q 槍に使われた、鋭くとがった刃 │ │ そのころの石器を見ると │ │ ヒトが高い技術を持っていたことが │ │ わかります │ │ 針 │19:20│Q これは2万年前に作られた │ │ 裁縫用の針です │ │ 鹿の骨などでできたこの針を使って │ │ 毛皮を縫い合わせ、服を作っていました │ │ ヒトは厳しい寒さの中で生きるための │ │ 知恵と技術を持っていたのです │ │ 絶滅した大型動物 │19:39│Q 人々は獲物を探して移動するという │ │ 狩猟採集生活をしていました │ │ マンモスを始め、いろいろな │ │ 大型動物が獲物になっていました │ │ シリア北部遺跡 │19:57│Q 氷河時代が終わりに近づき │ │ 暖かくなってきた頃 │ │ 地中海の沿岸では家を造って │ │ 一年中同じ場所に住むという │ │ 定住生活が始まっていました ドリー │20:15│Q 定住するためには │ │ 獲物を探して移動しなくても PAN │ │ 食料が手に入る場所でなくては │ │ なりません │ │ 村のCG(定住の条件)│20:26│Q このあたりの草原には動物が住み │ │ 森には食べられる木ノ実などが │ │ 豊富にありました │ │ 常に食料に恵まれていた環境が │ │ 定住生活を可能にしたのです │ │ 氷床の後退 │20:40│Q 同じころ、北米大陸では │ │ 氷床が溶けて、小さくなっていました │ │ 氷が溶けた冷たい水は │ │ 大量に海に流れ込み、暖かい海水の上に │ │ 冷たい真水がふたをするように │ │ 広がっていきました │ │ これがきっかけとなって │ │ 気候が激しく変わったと │ │ 考えられています │ │ 温度変化グラフ │21:05│Q 2万年前からの気温の変化を見ると │ │ だんだん暖かくなっていたのが │ │ 1万1千年くらい前に │ │ 突然寒くなっています │ │ 地球全体が氷河時代の一番寒い時期に │ │ 逆戻りしてしまったような │ │ 寒さになりました │ │ 気候変動後の村 │21:29│Q 定住生活を始めていた村も │ │ 環境の変化のために大きな影響を │ │ 受けていました │ │ 豊かだった森や草原がなくなり │ │ 急激に食料が足らなくなったと │ │ 考えられています │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ │ 小麦の発芽〜成長 │21:41│Q 食糧危機に見舞われたヒトは │ │ 自分たちの手で食料を作り出すことを │ │ 考えました │ │ 寒さの中でもたくましく育つ小麦を │ │ 栽培し始めたのです 小麦畑 │ │ 農耕を始めたことで │ │ ヒトは他の生命とは違った形で │ │ 地球と関わるようになりました │ │ 石器の鎌 │22:03│Q また道具を作る技術も │ │ 急速に進歩し始めました │ │ 1万年以上前には動物の骨と │ │ 石器とを組合わせて │ │ 稲刈りなどに使う鎌を │ │ 作っていました │ │ 遺跡の石臼 │22:17│Q これは小麦を粉にするための │ │ 石臼です │ │ 小麦をパンのように焼いて │ │ 加工する技術も始まっていました │ │ 千年前の水車(現存) │22:28│Q これは1千年前に、 │ │ たんぼに水を引くために使われていた │ │ 水車です 水車UP │ │ このような技術の進歩によって │ │ 農耕による食料の生産量は │ │ 飛躍的に増えていきました │ │ 水力機関 │22:46│Q 水車を動かす知恵は現在につながる │ │ いろいろな技術を生み出す │ │ もと になりました │ │ 水力機関 │22:55│Q 18世紀後半に始まった産業革命も │ │ 初めは水力に頼ったものが中心でした │ │ 蒸気機関 │22:59│Q 水力に変わって蒸気機関などが │ │ 発明されると、 │ │ ヒトは更に大きな力を │ │ 利用できるようになりました │ │ 石炭採掘(発破) │23:05│Q 技術の進歩はとどまることを知らず │ │ ヒトはやがて石炭や石油など 発破 │ │ 地球が何億年もかけて作り出した │ │ 貴重なエネルギーを使いだしました 溶鉱炉 │ │ 農耕によって豊かな食料を手に入れ、 │ │ 強力なエネルギーを │ │ 自由に使うことによって 石油採掘 │ │ ヒトは文明を進歩させてきました │ │ 農耕に始まったヒトと地球の 煙突の排煙 │ │ 特殊な関わりは加速しながら深くなり │ │ 現在まで続いているのです │ │