火山岩と深成岩 


斑状組織と等粒状組織

 マグマが地下のマグマだまりで冷えてくると、まず高温で結晶化する鉱物が出てきます。これはふつう、かんらん石や、輝石、斜長石といった鉱物です。それらの結晶が他よりも速く(高温の段階で)結晶化して、マグマの中に浮かんでいるのです。その状態で噴火が起こると、これらの鉱物はマグマの他の液体の部分と一緒に流れ出ます。液体の部分は地上で急に冷やされるので、結晶がほとんど成長しないうちに、細かいまま、かちんかちんに冷えて固まってしまいます。ところが高温でも晶出(結晶化)するかんらん石や輝石、斜長石は、すでにマグマだまりの中で大きな結晶になっていて、溶岩の中に自分のかたち(自形)をとって入っているのです。こういう、大きな自形結晶と細かい結晶の集合(液だった部分)からなる組織が、斑状組織(まだら模様の組織)と呼ばれるものです。

斑状組織の例(偏光顕微鏡写真)

 もし、マグマだまりのマグマが噴火で地表に出ずに、地下でゆっくり冷えたらどうなるでしょう。高温で安定な鉱物だけでなく、ゆっくり冷えていくから、低温で結晶化する正長石や石英などの鉱物も、長い時間の間に充分成長することができるわけです。そうしてできた組織が等粒状組織です。とくにかこう岩の中の石英などは、最後の最後に結晶化するので、それまでに結晶化した他の鉱物のすき間を埋めるようなかたち(他形)で結晶化することが多いのです。それはルーペで標本をよく観察してみるとわかります。

等粒状組織の例(偏光顕微鏡写真)

 深成岩の等粒状組織というのは、低温で結晶化する鉱物も、高温でできてしまう鉱物も、みな平等に結晶化して、のびのび成長することのできた幸せな岩石なのだと言えるかもしれません。

 溶岩や火山灰のような、火山岩の場合は、低温で出てくる鉱物がのびのびと結晶化する前に冷たい地上に放り出されて、こちーんと凍ってしまったものだと思うこともできます。だから、かんらん石、輝石、斜長石のような、高温でも出る鉱物が斑晶として目立って、その間を石基が埋める構造、つまり斑状組織になるわけです。


石からわかること

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