偏光顕微鏡観察のポイント、簡単な説明と用語解説 ・・・ 萩谷 宏 2002.2.12 最終改訂
岩石を構成する鉱物は、多くの場合、薄くすり減らすと光を通すようになります。通常、岩石を0.02〜0.03mmの均一な厚さにすり減らした岩石薄片をつくります。これを顕微鏡で観察することで、岩石中の鉱物を調べ、またその鉱物や組織に残された情報を読み解く手がかりを得ることができます。
岩石薄片は、岩石の断面を表しています。これを顕微鏡で拡大して観察することで、鉱物のかたちや色、大きさ、組織がわかります。それだけではなく、偏光を使って観察することで、鉱物を通ってきた光の性質を、色や消光というかたちで読みとり、鉱物の結晶学的な性質をその場で読みとり、観察することができます。
ステージが回転できるのも普通の顕微鏡にはない特徴です。
下方ポーラー(偏光板のこと。薄片に下から通すための偏光をつくる。外すことができない)
上方ポーラー(下方ポーラーと組み合わせて使う。出し入れ可能。)
対物レンズ
接眼レンズ
コノスコープ像用のレンズ(ベルトランレンズともいう)
オープンニコルでの観察。無色鉱物/有色鉱物/不透明鉱物の区別、屈折率の違い、多色性、鉱物の外形などを観察します。偏光板のない普通の顕微鏡での見え方とかなり共通ですが、偏光を使うために有色鉱物がその位置によって色が変わる(多色性)など、少し違いがあります。
クロスニコルでの観察。消光、消光角/干渉色などの様子を観察します。消光位置は結晶の方位を反映するので、双晶や結晶内部の組成累帯構造や変形が読みとれます。また、双晶の光学方位関係や干渉色は結晶の固溶体組成を反映するので、高価な機器による分析に頼らなくても、それらの解析に威力を発揮できます。
EPMAが普及する以前は、鉱物の種類や化学組成を判断するほとんど唯一の手法でした。