山が高いのはどうして?


山脈の成因

 高い山がそこにあるのには、必ず理由があります。 

 ひとことで言ってしまうと、基本的には浮力の問題です。大陸地殻が厚いところでは、 ”浮いている”部分も大きくなる。ちょうど、水に氷を浮かべるようなものです。氷が大きいと、 水面上に出る部分も大きく、高くなる。

 マントルの上に浮いている大陸地殻の厚みが大きいところが、山になるのです。

 では、どうして大陸地殻が厚くなるのか。山ができるということは、山脈のようにある幅と広がりを持って、 大陸地殻が厚くなるということです。それには原因があります。

1)大陸と大陸の衝突

 ウェゲナーの時代から唱えられていた大陸移動は、プレートテクトニクスというかたちで体系化され、いまや毎年の動きの量が観測されるようになりました。 大陸が分かれて、移動していくと、必ずどこかで大陸同士の衝突が起こります。衝突を起こす場は、地球の表面を覆うプレートが内部へと戻って行くところ =沈み込み帯です。そこでは、片方のプレートに乗った大陸が沈み込み、もう片方はのし上げることになります。 プレートそのものはマントル内部に沈んで行くはずですが、大陸地殻はマントルよりもずいぶんと密度が小さいので、沈み込めずに浮いてしまい、 従ってどこかで沈み込みが停まります。それまでに重なった部分は、通常の2倍くらいの厚みを持つことになります。それが大山脈となって地表に現れている部分なのです。

 実際にこのようなことがおきているのは、例えばインドとユーラシアの衝突が産んだヒマラヤ山脈や、ヨーロッパアルプスがそれにあたります。 北米のアパラチア山脈は、4億年ほど前に北米とヨーロッパが衝突したなごりです。ウラル山脈も、だいぶ時代は古いですが、やはり大陸衝突の痕跡と考えられています。

 このような大陸の衝突が、いわゆる、”造山運動”です。(この言葉は古くなってあまり使わなくなりました。)

2)沈み込みに伴う地殻の厚み増大

 プレートが沈み込むときに、沈み込む場所が陸域に近い場合など、堆積物が大量に供給される場合には、その沈み込み口に沿って大陸地殻が厚くなる場合があります。 これも、山脈形成の原因になります。沈み込むプレート上の堆積物が積み重なって、陸側に押しつけられて固定されたものを付加体といいます。また、 堆積物が付加体を作らないで沈み込み、深いところで融けてマグマとなって大陸地殻に下側からつけ加わる場合もあります。前者は日本の四万十帯や北米のコルディレラ、 後者の例にはアンデス山脈があります。

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 大きく分けると、この2つが山脈形成の原因ですが、他にもプレートの圧縮による地殻の厚みの増加や、変形の効果で山脈ができる場合もあります。 ですが、基本は大陸地殻の厚みの増加が原因です。それは沈み込み帯や衝突を起こしている現場、すなわちプレートの収束境界に集中する、 ということは言えることだと思います。

火山の場合

 この場合は簡単です。そこに火山噴出物として、大陸地殻物質(火山岩類)を噴き上げ、積み上げるからです。

 大原則である”大陸地殻の厚みが増加するから高くなる”という路線で問題ないですね?。山のかたちは? うーん、風向きや周囲の地形の効果などがなければ、 噴出源から同心円上になるはずですが、それでわかるかな?。うーん。

*なお、山が削られて低くなることについても、説明が必要だと思います。ちょっと宿題にしましょう。


 1999.1.4 萩谷 宏(改訂中)

石からわかること

読み物・資料集

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