好間の夾炭層露頭


石炭は、意外に薄い炭層として地層にはさまっています。露天掘りの石炭といっても。真っ黒な炭層が一面に露出しているわけではなく、写真のように常磐では数十cmの厚みの炭層が、上下を海成砂層、淡水〜汽水性粘土・シルト層にはさまれて、繰り返し出現しています。(このような繰り返しはサイクロセムといって、海退−海進を反映したパターンだと考えられていました。しかし、最近は三角州堆積物とする考え方が有力です。)

 露天掘りの場合は、このように石炭を掘り出すために上下の地層も一緒に削り取る必要があり、そのために大量の土砂が生産されます。それが”ぼた山”として、いまでもあちこちに残っています。また、この夾炭層は東に傾斜していますので、ここ好間より東では地下で石炭をとることになります。従って坑道掘りの炭坑も湯本周辺などに多数見られました。

 石炭は国内で供給できる燃料資源として、戦後の復興の担い手でした。石炭は”黒ダイヤ”と呼ばれたものです。ここいわき地域は、常磐炭田の中心地域としてたくさんの炭坑がありました。しかし、1960年代からのエネルギー革命の進行により、燃料の主役は輸入石油へと移行し、炭坑は次々と閉鎖され、現在に至っています。

 石炭産業の技術や文化を伝える場所としては、いわき市石炭化石館などがあります。


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