第2回4/22の講義に関する質問・意見と回答

−質問はできるだけ授業中か授業後に直接どうぞ。

 

*初期地球において、なぜ海ができるほどの雨が降ったのか、それほど上空にH2Oが溜まっていたのか、それとも別の要因なのか?

 マグマ・オーシャン時の初期大気に、水蒸気が全体の3/4くらい(300気圧分)含まれていて、それが温度低下とともに液体の水になったというのが現在の理解です。なぜ、と言われても困るのですが。初期地球は、我々の想像を絶する世界で、非常識な世界ですから、イメージしにくいのは仕方がないのです。そういうものだと思ってください。

*なぜ、岩石が何億年も昔のものだとわかるのか?

 岩石中に含まれている微量の放射性元素を、「時計」として利用する技術が発達しています。例えばウラン238は半減期45億年、ウラン235は半減期7億年で、それぞれ鉛206、鉛207に変化します。本来、鉛は含まずウランは含む性質を持つ、ある鉱物中に、ウラン238と鉛206が、同じ原子数だけ閉じこめられていたとすれば、その鉱物が形成されてから45億年経過したと判断できます。そのような理屈で年代測定ができるのです。他に、カリウム40とアルゴン40、ルビジウム87とストロンチウム87、サマリウム147とネオジム143などが、岩石の年代測定に多く使われる放射性元素とその娘元素の組み合わせです。

*なぜ光合成機能を持つ生物が登場したのか?

 なぜ、という問いに答えは出せない(原理的に)のですが、光合成を行う有利さは説明できます。シアノバクテリアの登場以前に、化学合成細菌がいたと思われているわけですが、炭酸同化を行い有機物を合成する際に、水素をどこからか持ってこなくてはいけません。光合成の確立までには何段階かの説明が必要で、ビデオで紹介したような嫌気性の硫黄細菌などの場合は水素などの化学エネルギーを得て、有機物を合成しています。紅色硫黄細菌などでは、太陽光のエネルギーで硫化水素から水素をむしって、有機物を合成するのですが、それを水から水素をむしるようにしたのが、シアノバクテリアのグループだと思っていいのでしょう。・・・いい加減な説明になってしまうので、詳しくは自分で本で調べてください。

*なぜ急激にCO2濃度が上がると温室効果が高くなるのか?

 CO2濃度が上がると大気の温室効果が大きくなるのは、とりあえず地球史的に間違いのないところです。問題は、その急速な上昇がどのように影響を及ぼすことになるのか、人為的な変化のスピードが速すぎて、我々は過去から学ぶことが難しいことです。それで、この質問に僕は何を答えたらいいのでしょうか?

*玄武岩が多いからCaが多いのになぜ海はしょっぱいのでしょうか?CaよりNaの方が多いのでしょうか

 いい質問です。海の中に、Caを利用して生活しているものがいっぱいいるとすると、当然海水中のCaの濃度は下がるでしょうね。そういう生物をご存じないですか?

*どうして他の惑星の表面温度とかくわしいことまでわかるのか?

 無人探査機がいくつも着陸して、データを送信してきたからです。

*レポートはどのように採点されるのですか?レポートの数なのか、完成度なのか?

 完成度で評価します。評価方法はBlogのトップに書いておきましたので、参照してください。

*成績評価について、全て出席して、テストも出席してレポートを出しても、プラスαとして成績に加算されないのですか?

 成績の算出方法はBlogのトップに書いておきましたので、参照してください。

*はじめに地球ができたときに、ひたすら雨が降り続けたとVTRで言っていましたが、どれだけの時間降り続けたのでしょうか?

 これは、本当は単純な話ではなくて、我々の想像するような雨ではないでしょうし、また集積途中の段階では、微惑星が衝突するたびに、せっかく形成した海洋が蒸発して、最初からやり直しになったことが何度もあるだろうと推定されています。海洋ができては蒸発し、また雨が降ってできはじめて、また蒸発し、という繰り返しを、数千万年あるいは数億年の単位で繰り返した可能性があります。計算機シミュレーションで将来ある程度の推定は可能だと思いますが、現時点ではたぶんはっきりしたことは言えません。

*どうして小惑星どうしが衝突するとさらに大きくなるのか?お互いに粉々にならないのか?

 いい質問です。粉々になるものもあり、その破片が再集積することもあり、トータルとしてくっつく確率が壊れる確率より少しでも大きければ、惑星を形成できることになります。小惑星帯の存在は、壊れてしまうこともかなりあったことを示していますが、地球のように大きく惑星が成長すると、重力が大きいので、周囲の微惑星を集める効果が大きくなって、壊れにくくなるかもしれません。

*酸素は、もともと大気にほとんど含まれていなかったのに、どうやって大気のかなり外側にオゾン層が形成されたのでしょうか?海面から発生したとしたら、酸素よりも軽い窒素等より上にどうやって集まったのか?

 オゾン層というのは、オゾンが集まった層をイメージすると、ちょっと違っていて、実は地表付近から高度50kmくらいまで、オゾンの濃度はそう変わらないのです。他の気体成分は高度が上がるに従って大きく減少するので、成層圏ではオゾンの存在する割合が大きくなって、いわゆるオゾン層ができています。オゾンは紫外線で酸素分子が分解されてできた酸素原子と、酸素分子がくっついてできるわけですが、海面で発生するよりも、紫外線の強い成層圏で生産される量が多いと思っていいでしょう。成層圏でも大気循環のシステムがあり、例えば熱帯域の成層圏で生産されたオゾンは極域上空の成層圏に運ばれるようです。もうひとつ補足すると、酸素の濃度が大気中で現在の1/1001/10になると、オゾンが生成されやすくなり、成層圏にオゾン層が自動的に形成されるようです。地球の歴史の上では、5億年くらい前(±1億年)にそれがおきたものと想像されています。