第4回5/20の講義に関する質問・意見と回答

−質問はできるだけ授業中か授業後に直接どうぞ。

 

*いつか、ボイジャーの電波が届かなくなるのでしょうか(宇宙空間の放射能に邪魔されてなど)?

 宇宙空間に放射能はありません。放射線はばんばん飛び交っていますが。(放射能=放射する能力)

 ボイジャーの電波はまだ届きますが、届かなくなるより先に原子力電池の出力低下で、機能が停止します。

*太古の生物(オパビニア)などのCGはカラフルだが、あれで身を隠すことができるのか?それが原因で滅びたのか?

*化石からは色素まではわからないのでは?模型やCGなどの色の根拠は?

*化石からは生物の体色はわからないといいますが、本当ですか?

*オパビニアなど映像ではなぜ色までわかるのですが?

*化石から復元された生物の体色はどのように推定するのですか?(他1通)

 化石生物の色はわかりません。現在生きている近縁の生物の体色を参考に、それぞれの研究者が想像で色を付けています。オパビニアの場合、節足動物という意味では、エビ、カニやカブトガニの色ですかね。通常、化石に色素は残りません。色が原因で滅ぶとは思いません。個体の死と、絶滅とは別に考える必要があります。

*1つの化石をドリルで削って生物を復元させるのですか?それとも同じ化石をいくつも削って組み合わせ、復元するのですか?

 両方です。できれば完全な化石があればいいのですが、部品のことも多く、組み合わせて復元しなくてはいけない場合も多いです。また、成長段階のさまざまなものがあったり、雄雌の性差があったりするので、たくさん化石を集めて検討して初めてわかることも多いのです。

*アノマロカリスは生物を効率よく捕食することができなかったためほろんでしまったのですか?(2通)

 化石で出るということは、生物が化石として残る確率の低さを考えると、それだけで大成功した生物だということです。生態系の上位の生物は、環境の変化に対し影響を受けやすいということは一般に言えます。いま絶滅が危惧されている動物、イリオモテヤマネコとかアムールトラとか、そういうのは捕食が下手だから滅びそうだというわけではないですよね?

*アノマロカリスは魚のようにえらで呼吸していたのでしょうか?

 えら呼吸です。14対のひれの下側にえらがあったと推定されています。運がいいと、化石に痕跡が残るのですがね。

*バージェス頁岩はカナダ以外では見られないのですか?土砂崩れならどこでも起こりそうですが。

 映像の最後の方で見せたように、同時代の同じような地層は世界各地にあります。バージェス頁岩と同じくらい保存がよいのは、中国の澄江(チェンジャン)くらいですけれど。

*どうしてピカイアが子孫を残すことができたのか?

 ピカイアが残したかどうかはわからないです(後述します)。ただ、脊椎(脊索)を持った動物が、その後の時代に繁栄したのは確かで、たぶん運動能力や成長の際に脱皮を必要としない点など、有利なことがいくつかあったのでしょう。

*2)の「地球表層にどのような変化をもたらしたのか」説明をお願いします(3通)

 そのうち授業でやるので、いまは勘弁してください。答えはひとつではないです。

*化石を削る部分をどのように判断しているのか?

 うーん、僕はその専門家じゃないので難しいな。ある程度全体をイメージしながら削っているとは思いますがね。

*化石にDNA鑑定やクローン技術を駆使する人はいないのか?

 化石にDNAが残ればそういうことは可能でしょうが。ごく最近の化石でも、DNAは断片化していることが多くて、そのままでは全く使えないそうです。ジュラシック・パークはまだフィクションです。

*なぜ背骨を持つことが進化に有利だったのか?

 。

*なぜピカイアは直接の人の祖先ではないのか?

*ピカイアは人間の祖先になるのですか?

 ピカイアと同じ時代、あるいはそれより少し前に、ピカイアよりも進んだ脊椎を持った生物(原始的な魚類)がいたことが化石からわかったので、たぶんピカイアは脊椎動物の進化の本流ではないだろう、ということです。その原始的な魚類の進化する前の段階で、ピカイアみたいな脊索動物の時代はあったのでしょうが、それは今化石で見ているピカイアとは違う、未知の生物ですね。

*ピカイアの脊索は今の生物の骨のようにCaでできていたのか?同時代の外骨格を乙生物と同じものでできていたのか?

 本で調べるので、ちょっと待ってください。

*なぜ化石を見てこれが“目”だとか“消化管”だとか判断できるのですか?

 難しいな。形態からの類推です。現在の生物の解剖学的な情報はあるので、たぶんそれを援用しています。

*日本で化石が出る可能性があると考えられている地域はありますか?

*日本では今日見たような化石は出ないのですか?

 日本で出る化石というのは、時代によっていろいろあるのですが、残念ながらカンブリア紀の地層が日本では見つかっていないし、これからも期待できないので、バージェス頁岩の時代の化石は無理でしょう。日本は5億年前以降の地層と、マグマの冷えたもので地殻ができています。

*バージェス頁岩は化石が残っていることを考えると、何度も層になるイベントが起こる場所だったのでしょうか?

 その通りです。何度も乱泥流が堆積する場所だったと考えられます。それが周期的な堆積物のサイクルとつくっています。こういう地層をタービダイトといいます。

*カンブリア紀にいた生物は進化のスピードが速いというのは現在の進化のスピードとは違うのでしょうか?

 はっきりとはわからないのですが、よーい、ドンで進化の競争が起これば、かなり形態の進化は速いのではないでしょうか。現在だと、すでに生態系があるので、そこでうまく生き抜くには、すでにいる生物たちの隙間をぬって進化しないといけないですよね。ガラパゴス諸島などというのは、そういう意味で例外的に他の生物の影響が少なくて、進化のスピードが速いものがいるのかもしれません。

*酸素濃度が上がってどうやってオゾン層ができたのか?

 次回やりますが、酸素がある濃度になると、紫外線で酸素分子が酸素原子2つに分解され、酸素原子が酸素分子とくっついてオゾンになります。オゾンもまた紫外線で分解され、酸素分子と酸素原子に戻るのですが、このプロセスは酸素濃度が上がると、自動的に生じます。

*ボイジャー望遠鏡は今どこにいるのですか?また、まだ調査を続けているのでしょうか?

 ハッブル宇宙望遠鏡なら、地球の周回軌道にいます。探査機のボイジャーなら、webサイトで調べてみてください。調査は続けています。

*海底だったものが地表に出て山になるということは、何によって隆起されるのか?

 最初に説明したように、基本的には大陸衝突で地殻の厚みが増加して、山の上に隆起したわけです。

*進化の過程で選ばれなかったもの、それを決める要因は何だったのだろう?

 それを知りたくて古生物学者は研究しているのだと思います。僕には難しくてわかりません。個別の生物についてはいろいろ言えるでしょうが、実際のところは誰も知らない。だから研究したくなる。

*なぜ中国の地震波阪神の地震の20倍ものエネルギーになったのか?

 歪みをためる領域が、大陸の方が大きくて、エネルギーが大きいということでしょう。日本はやはり島国なので、地殻内の活断層の延長は限られますよね。インドとユーラシアのスケールとは違う。

*魚が持つうろこも殻や骨格と同じ理由でできたのですか?

 難しい。うろこは皮膚の変化したものなのですが、外骨格と似た点もある気がする・・・。「脊椎動物の進化」コルバート著、田隅訳、築地書館、あたりを読んでみてください。

*斜長石の標本は、表面はきれいなのに、奥の方は黒いのはなぜですか?

 透明な鉱物は、光が奥まで入って出てこないので、黒く見えることがあります。ガラスでも奥が暗いと黒く見えることがありますよね?

*なぜ、昔はO2の濃度が海洋の中で違ったのか?

 いまでも海洋中で酸素濃度はかなり違います。Oxygen minimum zoneって聞いたことありませんか。一般に、深海底などでは有機物が堆積するとその分解で酸素が消費されやすいですし、光合成をできる表層では、酸素が多くなりやすいですね?

*どうやって化石ができたのか?

 何について答えればいいですか?

*カンブリア紀の生物の中で、食べる方の生物は進化しなかったのか?

 アノマロカリスの口なんて、シンプルですごく機能的にできていると思いますが。アノマロカリスの大きさや形こそが進化の結果じゃないですか?

*ニハイチュウは最初、どうやって出現したのか?

 わかりません。化石に残りにくい生物のことは、本当にわからない。

*アノマロカリスではなくてアロマロカリスではないのか?

 Anomalocarisで調べてみてください。

 

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