第5回5/27の講義に関する質問・意見と回答

−質問はできるだけ授業中か授業後に直接どうぞ。

 

*大陸移動は何回か起きているが、他の時には何か起きなかったのか?

 陸上に生態系が出現してから、カレドニア造山と呼ばれる古大西洋両側の大陸衝突と、次の現在に至るパンゲアの分裂のサイクルが1回しかおきていないということがミソなんでしょうね。

*大森林が形成されたことと大陸が移動したことには関連性があるのか?

 授業で話したように、大陸衝突で大山脈ができて、その風上側のふもとに大湿地が形成されたことは、北米とヨーロッパの炭田をつくった大森林形成の原因と考えられています。

*陸上生物が産出する頁岩層はどのように形成されるのでしょうか?

 バージェス頁岩の話なら、陸上生物は産出しません。もしあるとすれば、湖の地層とか三角州の地層。

*土のサラサラしたあの粒子は具体的にもともと何なのですか?

 団粒構造といって、主体は火山ガラスの風化で生じた粘土鉱物ですが、それがある程度のまとまりを持った粒子となって、空隙や通気性を保つのに役立っているようです。

*あとどのくらいで化石燃料はなくなってしまうのですか?また、新しく燃料になっているわけでもあるのですよね?

 なくなるというより、だんだん価格が上昇して、消費量が減っていき、どうしても必要な用途にしか使えなくなるのだろうと思います。そういう状態でしばらくは使われ続けるのではないでしょうか。新しくつくられる化石燃料もあり、例えば黒海やカスピ海の底で有機物がたまっているので、将来それらが石油になると期待されていますが、数百万年単位での熟成プロセスが必要なので、すぐに補充できるわけではありません。

*あと何年で化石燃料はつきてしまうのですか?

*最近、原油価格が上昇し、昔から残り40年分の石油があるといわれ続けています。実際、どのくらいあるのか予想されているのですか?(同様1通)

 次々と油田が発見されたり、可採埋蔵量が技術の進歩で増えたりしているので、ここ数十年、同じくらいの残り時間だと言われ続けています。尽きるというよりは、値段が上がって簡単に使えなくなると言うのが本当のところでしょう。

*なぜ、オゾンホールは南半球の極地で形成されるのですか?

 南極大陸の上空(成層圏)の極低温のため、フロンガスが分解された塩素のエアロゾルが生じて、それが触媒のように、次々とオゾンを分解してしまい、オゾン濃度を低下させるというメカニズムがわかっています。オゾン濃度の低下は、南半球の春に急速に起きることが知られています。

*オゾンが最近なくなっていると言われているが、このままだとあと何年かしか持たないのか?

 なくなっているわけではなく、毎年オゾン濃度の季節的な低下が起きて、少しずつ回復して、翌年また南極の春に低下する、という繰り返しです。フロンの排出が抑えられたことで、数十年で完全に回復するのではないか、という予想が有力なようです。いずれにせよ、数十年単位でオゾンホールは生じてしまうわけですが。

*木の寿命ってどれくらいなんですか?もともと木に寿命とか死とかってあるのですか?木に死があるとするとそれはどのような時なのですか?

 ひとつの個体としての寿命はあって、縄文杉でも2000年とか、数千年が限度のようですね。ただ、クローンが植物は簡単にできてしまうので、クローンの部分をどのように寿命に算定するのか、それはちょっと難しい問題のように思います。

*石油になったのはプランクトンばかりで動物は石油にならなかったのですか?

 なったかもしれませんが、生物量として生態系ピラミッドの底辺が一番多いということです。

*植物系の生物はあまり絶滅という話を聞きませんが、進化のスピードがゆっくりな分、淘汰もゆっくりということでしょうか?

 絶滅は大量にしています。気のせいでしょう。よく調べてください(と、学芸大A類理科の卒業生の植物学者が言っています。逆らわない方がいいでしょう。)

*石炭はシダ植物でないとできないのですか?できるのに時間がかかるのはなぜですか?

 シダ植物だけではないのですが、湿地に生えるという意味では、埋没して石炭になりやすいということはあるかもしれません。中生代以降の石炭は、裸子植物や被子植物も材料として多いです。時間がかかるのは、「化石だってすぐにできないでしょう!」と上記の植物学者が言っています。

*オゾン層が講義の説明のような形成のされ方だとすると、オゾン層が破壊されても、酸素は充分にあるので多少は復元されるということでしょうか?

 問題は、フロンがあると活性塩素が生じ、それが触媒の働きをして連続的に分解してしまうので、酸素が充分にあるかどうかの問題ではないのです。

*堆積盆地は浅いのか、深いのか?石灰岩ができるなら浅いのでは?

 浅いときもあるし、深いときもあるようです。

*一部の人は化石燃料は使っていても枯渇しないと唱えていますが、これは非現実的な見方ですか?

 枯渇しないという論拠がわからないので、コメントできません。基本的には、埋蔵量はある程度決まっていて、使えばなくなります。再生産はとても遅いので、人類の消費に対して間に合いません。

*日本の近くに油田はあるのですか?

 新潟県や山形県、秋田県のあたり、その沖合に小規模な油田はあって、採掘されていました。

*なぜ石油を採掘するために火を燃やすのですか?

 石油と一緒に天然ガスが出てくるのですが、それを処分しないと石油がうまく取り出せなくて、特にアラビア半島などではもったいないことに燃やしてしまっていました。現在では、天然ガスとして別に取り出して、利益を上げている場合が多いようです。

*シーラカンスは肺呼吸をしていたと言ったが、えら呼吸はしていないのか?何を根拠に肺呼吸だとわかったのか?

 えら呼吸ですが、肺の痕跡がうきぶくろとして存在するのは、他の魚と同じです。根拠は、比較解剖学の問題と、肺魚という魚が現在も生きていることです。

*ゴキブリが茶色の理由は?

 いやー、なんとも。黄色と黒の縞々だったらその方がいいですか?

*先生が地学を学んでいて一番感動したことは何ですか?

 いろいろあるので、ひとことでは言えません。(もったいないから教えてあげない。)

*今は大気中の二酸化炭素濃度が問題になっていますが、場合によっては酸素濃度の方が濃くなっていた可能性もあるのでしょうか?

 意味がよくわかりません。酸素濃度は21%、二酸化炭素は0.037%くらいです。

*今回のような海中植物→陸上植物→陸上動物という流れは偶然だと思うか?

 偶然ではなくて必然だ、という内容の授業をしてきたはずですが。。

*最初の(陸上)植物はどうやって陸上に上がったのか?

*植物はどうやって陸上に移動したのか?

 最初の植物がどんなものかわからないのですが、生物というのは基本的に、障害がなければ、あらゆるところに進出し、適応する可能性と能力を持っているのだと思います。

*もし、陸上植物が出現しなかったら現在どうなっていたのですか?

 あなたもわたしもここには存在しません。授業もなくて良かったですね。きっと。たぶん。

*なぜ水は有害な物質を遮断するのか?

 有害な物質ではなくて、紫外線の話ですよね。紫外線の吸収帯がないとすれば、散乱が効くのだと思います。

*日本で一番古いメタセコイアは皇居のものだということですが、発見者のいた京都大学にはないのですか?

 京大の演習林にはあるそうです。(と、諸君の先輩の植物学者で、京大博士課程卒の人が言っていました。)

10m以上の高さに水分を運ぶしくみはどのようなものなのか?

 水の凝集力の問題で、蒸散によって持ち上げられる、と植物学者が言っています。

*ゴキブリがなぜ小さくなったか気になった。

 酸素濃度の高いときには、気管を使った呼吸が、身体が大きくても結構うまくいったということかもしれません。

*ストロマトライトについてもっと詳しく知りたい。

 プリントをつけます。。(Rika Tan 20081月号の記事)

*ウェブクラスにはまた登録できますか?

 僕はわかりません。学務の方に聞いてください。(6/12,13に履修登録修正の申請ができるみたいですね)

*補講はどうなりそうですか?

 7月5日ではどうですか。

 

BBSを利用してくれると、回答を受講者が共有できてありがたいです。

http://www.h-hagiya.com/gakugei/