第8回6/17の講義に関する質問・意見と回答
−質問はできるだけ授業中か授業後に直接どうぞ。
*先生の好きな活火山はなんですか?
別に好き嫌いはないんですが・・・。思い出があるという意味では、噴火半年後に火山学会の巡検でアルバイトさせてもらった、伊豆大島ですかね。
*富士山はいつ頃、噴火しそうですか?その場合、被害や環境変化はどうなると予想していますか?関東圏も被害を受けるのか。(同様二通)
降灰による交通網・通信の障害はあるでしょう。熔岩流が出るか、山体崩壊が起こるかなど、噴火の形式によって被害は異なります。まあ、青木ヶ原熔岩が樹海になるように、何が起きても1000年経てば森林になりますよ。
*マグマが冷え、新たな植物が生育するまでにはどのくらいの期間が必要ですか?(同様二通)
地表の熔岩流であれば、数十年で樹木が生えていますね。伊豆大島のカルデラ内の熔岩流でよくわかります。
*地球自体が保持している熱はなぜ46億年経った今もなくならずに熱いままなのですか?地球はいつか冷えてしまうのでしょうか?
保持しているだけでなく、放射性物質の崩壊熱による加熱分もあるので、単純ではありません。地球が冷えるのが先か、太陽が週末を迎えるのが先か、ですが、いずれにせよこの先数億年は今とそう変わらないでしょう。
*マグマの成分決定にはなにが影響しているのでしょうか?(同様一通)
マグマ生成の場にある岩石の種類・成分と、融解の条件(温度・圧力、水や二酸化炭素など揮発性成分の量、融解速度)、上昇過程での分別や周囲の岩石との反応、脱ガスの進行など、いろいろな要素が考えられます。
*溶岩とマグマってどう違うのでしょうか?
マグマが地表で流れて冷えたものを熔岩という形態として我々は見ています。
*マグマはどのくらいのスピードで冷えるのでしょうか?
条件によりますね。厚さ数mの熔岩流なら、完全に冷えるのに数ヶ月くらいですかね。
*他のプレートとぶつかって沈んだプレートはまた溶けるのですか?
*マグマに含まれる気泡はどこでできるんですか?
*核、マントルにも空気があるのですか?それとも、噴火時に含まれるものなのですか?
プレートは溶けるのではなく、温度が一緒になると他と区別がつかなくなります。数十億年のスケールでは、混ざるでしょうけれど。マグマに含まれる気泡は、マグマ中の水や二酸化炭素、窒素などが、地表付近まで上昇し圧力が低下することで、気泡として分離してくるものです。コーラの栓を開けると圧力が下がって泡が出ますよね。核・マントルには空気はありません。気体の状態で物質が存在するような圧力ではありませんから。
*レポートの課題はなんですか?
地学に関係させればなんでもOKです。お好きにどうぞ。
*マグマは実際、どのくらいの軟らかさですか?
水みたいに。
*マグマの粘性は何によって決まるのでしょうか?(同様一通)
マグマの化学組成、温度、圧力、揮発性成分の種類と量、結晶化の進行度合い、気泡の割合などでしょうか。
*火山弾が突然爆発することはないのですか?
どういう状況を想定しているかわかりませんが、火山弾は破片なのであって、爆発する原因はないでしょう。
*まわってきた岩に穴がたくさんあいていたのはなぜですか?
ガス(気泡)の抜けた穴です。
*火山保険ってハワイではあるのですか?
わかりません。僕は興味がありませんが、よかったら調べてみてください。
*ホットスポットで何が原因で部分融解が起こっているのですか?
融点は圧力で変化するので、マントルの上昇流のあるところでは地下の高温のマントルが浅いところにきて、融点を超えてしまい融けるのです。(融点=ソリダス 融け始め温度)
*断層と火山活動やプレートとの関係はあるのですか?新しいハワイ島はいつ海面にでてくるのですか?
どこの断層の話かわかりませんが、ハワイ島で見られる断崖絶壁の地滑り境界なら、火山が積み重ねた熔岩流の重みによるもので、関係はあります。ロイヒ海山が水面に顔を出すには、まだあと数千年かかるでしょう。
*プレートはマグマが冷えてできるもので、マグマはマントルに水が加わってできるものということですか?
マグマが冷えてできるのは海洋地殻です。プレートは冷えていれば地殻でもマントルでもいいので、定義が違います。マントルに水が加わってできるマグマもあります(沈み込み帯)が、それだけではなく、地下の高温のマントルが上昇すれば、どこでもマグマが生じることができます。海嶺やホットスポットがそういうところですよね。
*映画「THE CORE」であ内核まで描かれているが、本当に地球内部はあのような感じですか?
見ていないのでわかりませんが、話で聞く限り、だいぶフィクションが入っているようですね。控えめに言って。
*先生はハワイ好きですか?
ハワイの火山などの自然は好きです。たぶん、アメリカ合衆国でなければもっと好き。
*ハワイ諸島は移動しているというが、いずれは日本の近くまでくることがあるのか。
このままだと1億年以内にいまの北海道の東方沖に付加する可能性が高いです。
*地球を切ったことがないのに、コア、マントルがあるとわかるのですか?
地震波で観測することと、隕石として降ってくるできかけの惑星(小惑星)の破片から推定できます。火山の噴火に伴って、マントルの岩石が地表に運ばれることもありますね。
*なぜ日本はプレートがたくさん重なっているところにあるのか。
たくさん重なっているおかげで、大陸地殻が成長し、海の上に顔を出していられるのではないですか?
*今日先生が使っていた写真は誰が撮ったものですか?ステキです。
USGS(合衆国地質調査所)の研究者だと思います。すてきですね。
*火山は何回でも噴火するのか。
たまに1回きりの噴火で終わってしまう火山もあります(マールやキンバーライトパイプの火山)が、それは例外的ですかね。
*マグマはどうやってできるのか。
地下の高温の岩石が、温度が上昇するか、圧力が低下するか、水など融点を低下させるものが加わることによって、岩石が部分融解して生じます。
*日本のホットスポットはどこですか。
そんなものはないのではないですか。自分で調べてみてください。
*地殻が陥没してマントルになることはないのでしょうか。
何を想定しているのかわかりませんが、物質が違うものをどうやって入れ替えるのですか?地殻が大陸分裂などでちぎれるときでも、マントル上部が部分融解してマグマを生産するので、海洋地殻ができます。
*地球の核の温度はどうやってわかったのか。
鉄の高圧下での融点を測定して、外核(液体)と内核(固体)の境界の温度条件を推定し、それに理論的に合うように温度勾配を計算すれば推定できるでしょう。
*教授夫婦が溶岩に近づいて、溶岩をひしゃくですくっていましたが、ひしゃくは溶けたりしないのですか?
いくらなんでも、そんな間抜けではないでしょう。
*人間がマグマにさわるとどうなりますか?
外惑星の衛星にある氷火山を別にすれば、普通は大やけどしますね。。
*マグマの中で、一番高温、および低温はどのくらいの温度なのですか?
高温なものはコマチアイトという、地球史の初期によく見られる火山岩のマグマで、地表で1400度以上あったと推定されます。低温なものはアフリカ大地溝帯のレンガイ火山のカーボナタイト熔岩で、たしか400度くらいのはずです。
*人間史上、及び地球史上でそれぞれ火山の噴火期間や爆発規模がもっとも大きかったのは、いつどのくらいのものだったのか。
インドネシアのクラカタウ島の噴火が有史以降では最大だと思いましたが、自分で調べてください。
*マグマが冷たかったらどうなるか。
氷衛星の火山なら、水が熔岩ということになりますね。そういうのもありますよ。
*火山活動がなかったら、現在の先生の仕事は成り立ちますか?
そもそも、君も僕もここにいないことになるのだが。
BBSを利用してくれると、回答を受講者が共有できてありがたいです。
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