第9回7/1の講義に関する質問・意見と回答

−質問はできるだけ授業中か授業後に直接どうぞ。

 

*地震が3つ以上のプレートが衝突して起こることもあるのですか?

 プレートの衝突というのは通常なくて、プレートに乗っている大陸同士の衝突ならあり得るのですが、プレートどうしは常に接して互いに運動しています。エスカレーターの終点で、動いてきた段々の鉄板と、鉄の爪のついた終点の鉄板は衝突していないでしょう。互いに運動しているだけで。で、3つ以上のプレートの境界では、2つずつのプレートがそれぞれ境界を持って接するので、地震の起こるプレートの接する面が複数存在することになります。ちょうど東京付近がそういう状況になっていて、東京湾直下で、フィリピン海プレートが30-40kmの深さに、太平洋プレートが80kmくらいの深さに存在して、それぞれ地震を引き起こす、2重の構造になっていると思います。気をつけて地震速報の震源の深さを見ていると、千葉県北西部などの地震で深さに2つあるのがわかります。

*関東大震災がいつ来るのかわからないので、心配です。(同様1通)

 日本中どこにいても、基本的には地震から逃れられないので、まずはふだんからの準備が大事でしょう。地震は正しく怖がることが重要です。

*ヒマラヤ山脈ができたときに、インドを乗せた大陸が沈み込んでいったと言っていましたが、将来インド半島は消えてなくなってしまうのでしょうか?

 これ以上ユーラシア大陸の下に押し込むのは難しいと思うので、このくらいで止まるのではないでしょうか。

*今日の授業の資料が読み切れなかったので、もう一度持ってきて欲しいです。

 補講の時に持ってきたのですが・・・忘れなければ持参します。

*なぜ、日本は4枚のプレートの境界にあるのだろうか?

 なぜ、ということはないと思うのですが、プレート境界にあるからこそ、継続的に地殻が形成されて日本列島が海の上に存在できているのではないですか。

*プレートの動きによって日本列島がかたちを変えていくと、あとどのくらいで今とすごく違ったかたちになるのですか?

 はっきりわかるのは、数百万年後だと思います。。

*プレートの境目に暮らしている人はどうなってしまうのですか?

 私たち全員がプレートの境目の上に暮らしているような気がしますが。収束境界の場合は、一般には周期的にプレート境界型の大地震に見舞われることでしょう。

*今年の9月に東京で大地震が起こるという話を聞いたのですが、本当にそのような話があるのですか?

 断言します。デマです。根拠はなく、信用してはいけません。ただ、安心されても困るので、いつでも震度6〜7の地震があると思って用意しておいてください。そういう、人々の不安をあおる話というのは、これまでも何度も出ては消え、出ては消えの繰り返しです。過ぎ去ると人々に忘れられてしまうので、何度も妖怪のように蘇ってくるのですが、根拠のないデマは百害あって一利なしです。

*プレートの先端はマントルの中でとけて、プリュームになるとかならないとか聞いた気がします。

 とけるわけではなくて、温度が同じになって、地震波で見ると周囲と区別がつかなくなる状態のことでしょう。マントルは基本的に固体です。マグマができるところだけ、部分融解していますが。プレートの先端は上部下部マントルの境界に滞留し、ある程度たまると下部マントルの下方に落下すると考えられています。

*地震雲についてはどう考えていますか?

 少なくとも、これまで地震雲で「予知した」と称する地震は、あまり相関がないと思います。地震の際に電磁波が出ることは否定しませんが、起きる前に破壊が進行するかどうかは、場合によって異なるので、その点でもあまり信用できません。地震雲による予知を主張する人々の論拠はメチャクチャなので、僕は信じませんが、人の心の弱み …予知できたら、という願望につけ込んでいるのではないか、という気がして、悪意はないとしても僕は評価できないと思っています。

*この間の地震で地震予測システムが働いて、地震発生数秒前に通知されたと聞きました。

 震源に近いところの観測点でP波をとらえて、それを各地に警報として送出すると、地震波よりも電磁波の方がはるかに速いので、主要動(S波)が来る前に、数秒から数十秒早くそれを知ることができます。ただ、今回のような直下型では、震源に近いところでは間に合わないこともあるようです。

*先生は地震に対して何か備えていますか?

 本棚などが頭の上に倒れてこないように、配置を気をつけています。。

*地震の予知が実現しない理由は何ですか?

 我々の生活時間が、地震の再来周期に比べてきわめて短いので、なかなか地震の癖や特徴をデータベースとして蓄積することができない、というところに原因の一つがあるような気がします。もうひとつは、地殻の岩石は不均一なので、歪みがたまっていても、どの時点でそれが地震として開放されるか、必ずしも予測できないという原理的な難しさがあると思います。

*世界で一番地震が起きない場所はどこですか?

 空中に浮かんでいれば、それが一番確実ですかね。

*南極でも地震は起きるのか?

 起きます。南アメリカに近い南極半島には火山もあり、火山性地震があったはずです。

*いつかはプレートの移動が止まるのでしょうか?

*マントルはいつか冷えて固まってしまわないのか?

 プレートの停止が起きることは可能性としてはあり得ますが、今の状況だと数十億年先のことで、心配しなくていいようです。。

*プレート=地殻+マントルの上(1100℃以下)というのと、リソスフェアやアセノスフェアの関係はどうなのか?

 ですから講義で説明したように、プレート=リソスフェアです。アセノスフェアは、マントルの深いところ、おおむね1100℃以上の部分全体を指します。

*日本列島が大陸から分かれた数千万年前には、日本海にもプレート境界があったのですか?

 いや、プレート自体が変形することはあって、日本海の形成はそういう現象だと思った方がいいと思います。

*マントルの温度はなぜ場所によって異なるのですか?

 基本的には、マントルが対流しているからですね。表面で冷えたプレートが地下に持ち込まれると、しばらくは周囲より低温のままですし、マントルの上昇流が起きているところでは、周囲より高温のマントルが存在します。

*スーパープルームはどうやって見つけたのか?

 地震波トモグラフィーが決定打だったことは確かでしょう。。

*地球内部で起こっていることがどうしてわかるのですか?

 地震波トモグラフィーで温度分布をよみとり、そこからマントル対流の様子を読み取っています。

*日本とハワイは近づいているのですか?

 近づいています。その速度は年間3〜8cmくらいです。

*日本もいずれどーにかなってしまうのでしょうか?

 どーにかなってしまいますね。おそらく2,3000万年後には日本海が閉じて、日本は再びユーラシア大陸に接合することでしょう。

*地震の予測は将来できるようになると思いますか?

 数年から数ヶ月の誤差なら、ある程度は将来予測できるようになるとしても、何日の何時に起こる、というレベルでは無理だと思います。

*先生は地震がいつ起こると思っていますか。主観的に?

 大地震はわかりません。ただの地震なら、今日もあるでしょう。明日もあるでしょう。日本では有感地震は1日にかならずいくつか起きていますから。まあ、首都圏はいつでも大きい地震を覚悟しておいた方がいいでしょう。

*人間は行こうと思えばどのくらい深くまで地球の中心に近づけるのか?

 穴を掘るだけなら10km、人がもぐる穴なら3800mくらいが最大の記録だと思います。

*活断層が地域によって数に差があるのは発見されていないのか、または地域差がもともとあるのか、どちらですか?

 もともと地域的な差が大きいのです。地殻が分厚いところでは割れにくいですし、変形の際に、ある程度の固まりとして動くので、その固まりの周囲に活断層が集中し、内部は断層が少なくなります。

*この先、地震によって日本列島が覆われるほどの津波が来ることはありますか?

 それはないでしょう。あるとすれば、白亜期末のように直径10kmクラスの小惑星が海に衝突したときですかね。

*首都東京で大地震が起きたら、日本はどうなると思いますか?

 日本は何度も地震災害を経験したので、どうなることもないと思いますが、被害はなるべく減らしたいですね。

*海によってマントルが冷やされているわけですが、これらが熱平衡で熱の差が次第になくなっていくことはないのだろうか?

 海によって冷やされるのではなく、宇宙空間に対しての放射で熱を失っていくのが本質だと思います。南極なら氷でマントルが冷やされるわけですか?そうではないでしょう。何と何の熱平衡を考えているのか、よくわからないのですが、岩石の熱伝導率が低いので、いずれにせよマントルは急速には冷えないでしょうね。

*プレートがプレートの上に乗るということはないのですか?

 実際に日本付近でも3つのプレートが重なっていますが、ご確認ください。なお、重なってもその場所は高くなりません。沈み込むプレートの密度が大きいので、むしろ下方に引っ張られる傾向が出ることがあります。

*地震を止めることはできないのか?

 地震を止めるには、地球の熱対流そのものを止めてしまうか、地下の岩石を高温にして、プレートがほとんど存在できないほどぐにゃぐにゃに軟らかくしてしまえばいい、ということになるでしょうか。

*もし地震が起きないとどうなるか?

 面白いので自分で考えてみてください。表面に動きがないとすれば、日本列島も存在できないのではないですか。火山もなくなるはずだし、そうすると火山ガスも出なくなるから、大気にも影響が出ますね。

*プレート境界では地震の間隔が短い方が震度は小さいのか?

 一般にそういうことになります。場所によって巨大地震を起こしやすいところと、中規模の地震を頻繁に発生させるところがあります。

*プレートは、いつできたのか?

 地球が形成されて、マグマ/オーシャンから少しでも表面が冷えて固まったら、それはもうプレートでしょうね。

*どうしてプレートができているのか?

 固体地球がほどほどに冷えていて、表面が硬く、内部が軟らかく、そして熱対流をしているからです。

 

*去年自分が書いたレポートを提出しても、少しはプラスになりますか?

 0点にはしないけれど、レポートで僕が期待しているのは、レポートを書くためにこの学期中に君がなんらかのアクションを起こすことであって、書いたものが欲しいわけではないのです。自分で調べたり、実験したり、本を読んだり、そういう自主的な勉強の姿勢を見たいのです。昨年書いたレポートを提出しても、いま君が勉強したことにはならないわけで、評価は低くなりますね。コピペがいかんのも、同じような理由です。

*後ろの方だと何を言っているのかわかりません。

 前に来てください。席は空いています。その場で指摘/質問してくれれば、音量を調節します。

 

BBSを利用してくれると、回答を受講者が共有できてありがたいです。

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