第10回7/8の講義に関する質問・意見と回答
−質問はできるだけ授業中か授業後に直接どうぞ。
*宝石、金属、それ以外の鉱物の区別が曖昧です。
次回、鉱物の本を回覧します。それらを参考に自分で解決してください。基本的には宝石になる鉱物は、ダイヤモンドやルビーなどを除いて、珪酸塩鉱物が多いと思います。金属は酸化物ではないですよね。元素鉱物や酸化鉱物などの分類も調べてみてください。
*濃集というのは、宝石の隙間に水に溶けた鉱石が入り込んで固まったものなのか、集まって固まったものなのか、何なのですか?
濃集というのは、特定の成分が「濃く集められる」ことです。宝石そのものができることが、宝石をつくる成分の濃集だと言えると思いますが。
*アフリカの銅のつくられ方と、アンデスの銅のつくられ方は同じなのか?
アフリカというのは、どこの何を指していますか?銅の鉱床の形成は、アンデスのような斑岩銅鉱床(ポーフィリーカッパー鉱床)の他に、キプロスのような海底熱水鉱床起源のもの、足尾鉱山のような鉱脈鉱床などがあります。鉱山・鉱床によって成因はいろいろあって、アフリカとかアンデスという単位では語れません。
*アフリカのダイヤモンドを採掘するホールの直径はどのくらいですか?底が見えるのですか。
地表付近で1kmくらい、地下深くでは2.3mになっているそうです。底は今は見えません。水がたまっています。
*ダイヤモンドが欲しいです。
*ダイヤモンドの原石が欲しいです。(同様1通)
標本はあげません。カットしたものはお金がなくて買えません。買ってあげる義理もありません。自分の才覚で入手してください。原石は、ミネラルフェアでときどき出品されているのを見ます。2mm角〜3mm角のコンゴ産の直方体の結晶で、\5000くらいでした。
*人工のダイヤモンドはできないのですか?
*個人でダイヤモンドをつくろうとするとどのくらいコストがかかるのか?
人工のダイヤモンドはすでに工業用に大量に出回っています。宝石用のダイヤモンドはつくられていません。きれいな無色のダイヤモンドをつくるのは難しいらしいです。自分で調べてください。
*マントルが冷えて固まったら海はどうなるのですか?
いまでもマントルは冷えて固まっていますが。どうして海が問題になるのですか?
*鉱物資源が眠っている場所は、たまたま見つかるのでしょうか。それとも調べる方法はあるのでしょうか?
鉱物資源の種類によってもいろいろですが、調べる方法はあって、広域的な探査から、ボーリングによる試掘など、ありとあらゆる方法で調べます。たまたま見つかるものもありますが、最近はそういう偶然は少ないですね。
*海嶺で海水が循環して300℃の熱水になると言っていましたが、100℃以上で水蒸気にならないのは圧力が高いからですか?
その通りです。圧力釜もそういうしくみですね。
*現在技術があれば莫大なコストがかかるけれども金ができると聞いたことがあるのですが本当ですか?
原子炉で中性子照射をしたり、核分裂生成物から生成すれば、金をつくることは理論的には可能なはずですが、確かにべらぼうなコストになりますね。
*ダイヤモンドや金などを生産するためにアフリカの国々で内戦などが起こって人が死んでいたことについてどう思いますか?
基本的に、20世紀の戦争は、資源争奪の結果という側面があります。資源が悪いのではなく、人の欲望や国際政治の問題だと思いますが、悲しいことですね。
*好きな宝石はなんですか?
*先生の一番好きな鉱物は何ですか?その理由は?
石に関しては博愛主義だと何度書いたら納得してもらえるのかと・・・。まあ、自分で採集した経験があるという意味では、トパーズと緑柱石(アクアマリン)ならなじみがあります。
*ダイヤモンドでも色が付くのはなぜですか?(同様1通)
不純物、特に窒素が混入することにより、格子欠陥が生まれ、可視光の吸収を生じて着色します。
*ダイヤモンドのできかたをもっと詳しく知るには?
ダイヤモンドの本はけっこうあるので、探してみてください。
*ホットスポットのハワイでも鉱物はとれるのですか?
マグマとともに、マントルのかんらん岩が地表に運ばれている場所があります。また、熔岩の中にかんらん石や輝石、斜長石の結晶が含まれていたりしますね。
*結晶はゆっくり固まるとなぜ大きくなるのですか?
時間をかけて結晶が成長できるからだと思います。
*先生はもし金の価値を知らずに金を発見したとしたら、それを集めたいと思いますか?私は「きれい」という点だけでみたら金よりも石英を集めたいと思います。
加工しやすい金属という意味では、金がたくさんあれば便利でしょう。集めるかどうかはわかりませんね。
*SiO2などと銅などの鉱物のできかたの違いって何ですか?
石英は地殻中にふんだんにある成分で、どこでも石英はできますが、銅などは稀少な元素なので、特別な濃集過程がないと鉱物として銅を主成分とする鉱物が沈澱することはありません。そこが違いかな。
*ミネラルウォーターのミネラルって海藻とかに含まれている養分のことだと思っていたのですが、違うんですね?
海藻にも含まれていないわけではないが、まあ、意味としては岩石からの溶脱成分ですね。
*先生はどのように石を手に入れているのですか?
講義で使う標本は消耗品と割り切って標本屋さんで買います。調査・研究で採集するものもあります。
*宇宙にはダイヤモンドより硬い物質はあるのですか?
わかりませんが、中性子星なんて、硬いんじゃないかな。
*例えば学芸大の地下を掘っていったら宝石とか出ないでしょうか?
35km掘ればマントルのかんらん岩に突き当たりますが・・・。小さなものでよければ、赤土の中には富士山の火山灰由来のかんらん石(ペリドット)が入っていますよ。ビール瓶っぽい色ですけど。
*日本の海底には資源はありますか?
あるでしょう。熱水鉱床やマンガンノジュール、メタンハイドレートがよく知られています。
*マグマは鉱物だとはじめて知った。
どういう意味ですか。
*給食のソフト麺が怖くなった。
怖がる必要はありません。正しく怖がることが、科学を学ぶ意味だと思います。本当に注意すべきことと、そうでないものを区別することで、正しい対応がとれるのだと思います。地震が怖いからといって、毎朝電車に乗るのを止めたら、大学に来ることができないでしょう。隕石が怖くて外が歩けないのも困りますよね。でも、耐震建築をちゃんとやらないのは、そのままにしてはいけないことだと思います。そういう判断能力が必要です。
*地球の核に行くという映画があり、その中でダイヤモンドが大量にある空洞のシーンがあったが、現実にそんなことはあるのか?
ありえません。まず、圧力が高くて空洞が存在し得ないです。次に、ダイヤモンドがあるような状況であれば、炭素が酸素を奪うので、酸素分圧が非常に低くなるはずで、二酸化炭素の外に出たら窒息するでしょう。
*赤いダイヤモンドが存在するという話を聞いたことがあるのですが本当ですか?
あるようですね。稀少で、凄く高いようです。着色原因はわかりません。たぶん鉄分か、窒素かですが・・・。
*金属を盗むという事件が起きていますがその理由は?
国際的に金属資源の価格が上昇していて、非常に儲かるからです。地金にしてしまえば、盗んだことがわからなくなりますしね。
*鉱物はなんでかたまって出てくる場所が違うのですか?
特定の鉱物ができる条件があると、そこに沈澱を起こすということでしょう。
*「マイト」ってなんですか?
鉱物や岩石の学名は、語尾に-iteをつけるという決まりがあるのです。アタカマ砂漠の石だからアタカマイト、讃岐地方の石だからサヌカイト、という具合に。
*テレビ石はなぜ下の文字が浮かび上がって見えるのですか?普通の鉱物との違いは何ですか?
繊維状の細い結晶がたくさん同じ方向に延びています。ちょうどグラスファイバーのように、その結晶の中を全反射しながら光が伝わるので、下の模様が上まで写されるのです。それが浮き上がって見えるしくみです。
*ハンマーの計算の解説が全くわかりませんでした。
Webサイト(Blog)に説明を書いておきました。ご覧いただければ幸いです。
*テストに向けてお勧めの勉強方法があったら教えてください。何から手をつけていいのかよくわかりません。
自分が面白いと思ったことについて、本を読んでよく考えておくといいですね。お勉強にしてしまうと面白くないです。
*南アフリカのダイヤモンドはなくならないのか?
掘り続ければなくなるでしょう。
*人はいつ頃からダイヤモンドなどを宝石として重宝するようになったのか?
どうでしょう。縄文時代には使っていますし、石器時代でも水晶などは集めていたようですね。
*すべての資源が枯渇したら人間はどうすればいいのか?
ゴミを漁ってリサイクルしましょう。
*先生はいつから地学が好きなのですか?
小学校に上がる前後は昆虫少年、そのあと魚、金属、そして鉱物、岩石と興味の対象が移りました。中学2年生の時に、当時まだ操業していた日立鉱山の周辺に行って、石を拾い、図鑑で調べて、それが造山運動(主に大陸衝突)の産物である、広域変成岩の一種だと知りました。一片の岩石から大陸がぶつかったとか、ちぎれたとか、そういうホラを吹ける景気のいい学問に魅力を感じて、地質にはまりました。当時の文集に「地学の研究者になる」と書きました。その時、15年後の自分について書け、と言われたのですが、「職に就いていないだろう」と書いたら、本当になってしまって、36までフリーターでした。おかげで番組制作に関わったりできたのですが。
BBSを利用してくれると、回答を受講者が共有できてありがたいです。
http://www.h-hagiya.com/gakugei/