地学概論(第2回)http://www.h-hagiya.com/gakugei/
2011.4.19 萩谷 宏
初期地球(地球のおいたち2)
“地球が生命あふれる星になったわけ”
「微惑星の衝突が何を変えたのか」
「地球が他の惑星と異なる特徴は何か」
「遠い過去の地球をどうやって知るのか」
0.太陽系以前 核融合…元素合成過程と超新星爆発
1.原始惑星系円盤から惑星形成まで
2.大気の変遷
3.月から得られた情報
4.地球の岩石から得られる初期地球の情報
5.生命はいつどこでどのように誕生したのか?
0.太陽系以前
様々な恒星の観測 恒星の誕生、進化、終末の輪廻
恒星内部の核融合反応 より重い元素の生成 …終末とともに放出
超新星爆発…鉄より重い原子核の形成
隕石に残る痕跡
1.原始惑星系円盤から惑星形成まで
微惑星の形成:直径十数kmの固体微粒子の集合体
→衝突・合体成長 次第に大きな天体へ成長
中心に鉄の核、周囲を岩石がとりまく(ガス惑星も共通)
原始惑星と原始大気(水素・ヘリウム主体…太陽大気類似)
衝突脱ガス…温室効果で地表が高温になる
…マグマ・オーシャンの形成(深さ2000km?)
大気とマグマが反応、二酸化炭素と水蒸気、窒素主体の大気
#もし、微惑星形成段階を経なかったとしたらどうなるか?
2.大気の変遷
初期大気の推定:水蒸気 二酸化炭素 窒素 …数百気圧
表面の温度低下 ・・・海洋(液体の水)の形成
海洋に二酸化炭素が溶解(溶解平衡)
38億年前には、1〜数気圧の二酸化炭素
3.月から得られた情報
初期のマグマ・オーシャンの存在−斜長岩地殻
隕石重爆撃期の認識…クレーター形成年代の集中
地球と元素組成や同位体組成はほぼ一致
しかし、
1)岩石中の酸素が少ない=金属鉄を含む
2)揮発性元素が少ない
・・・ジャイアント・インパクト仮説を支持する証拠
4.地球の岩石から得られる初期地球の情報
最古の鉱物粒子:44億年前のジルコン粒子
最古の岩石:40.6億年前の花崗岩の一種
最古の海の地層:38億年前の礫岩、砂岩、石灰岩、
縞状鉄鉱、玄武岩など。(現在は変成岩)
最古の化石:34.6億年前のバクテリア(原核生物)
32億年前頃には、大量のバクテリアが繁栄した証拠あり。
縞状鉄鉱という岩石:鉄鉱物とチャートの互層
海水中に酸素が少ない =鉄イオンが2価で水に溶ける
酸素の供給がある 鉄イオンが不溶性の3価になり、沈澱
38〜16億年前の海の地層に普遍的にみられる岩石
光合成生物はいつ出現したか??
陸上の地層:22億年前頃から、赤色(鉄イオンの3価の色)
5.生命はいつどこでどのように誕生したのか?
現在の古細菌のグループ、原始的なものはみな好熱性細菌
海底の熱水噴出口で有機物の重合が進み、生命が誕生?
・・・まだまだ謎は多い。