過去の質問についてのコメント
*兵庫県芦屋市の芦屋川がつくる天井川は、人工的なものではなく、自然のものか?(6/19建築)
(兵庫県立芦屋高校の数越達也先生から)
地元ですのでここにコメントします。毎日芦屋川を渡って通勤しています。芦屋川だけでなく西の住吉川も天井川です。何が「天井」かというとJRの線路が川底の下を通っているため天井川と呼ばれています。しかし、それ以外の国道や阪神・阪急電鉄などは川の上を通っています。
芦屋駅や住吉駅の位置が川に近く、なおかつ駅と川の高低差が大きいため高架にすることができず川底を通したのではないかと思います。知り合いの鉄道評論家川島令三氏に確認してみます。
(鉄道評論家・川島令三さんから)
国鉄、当時の官鉄が芦屋川などの下を通したのは、本当の理由は、蒸気機関車牽引の列車は急坂に弱い。当時は1000メートルの距離を15メートル上がる勾配、これを15パーミルといいますが、それ以下にしたかった。できれば10パーミルにしたい。それが理由です。お雇い外国人はそのことを考えたためです。
手持ちの国鉄のこの付近の縦断面図をみると、夙川(守貝川)の東側から10パーミルの勾配で上り、夙川はレベル(平坦)、宮川の前後は宮川を頂点に3〜3.8パーミルの上下勾配、芦屋から芦屋川までレベル、そこからは2.3パーミルの上り勾配、甲南山手付近はレペルです。なお、駅はレベルのところに設置するのが望ましく、新駅を夙川に置き、甲南山手が今の位置に設置されたのもこういう事からです。
阪神、阪急は電車です。電車は30パーミルでも平気で走れます。国鉄が芦屋川をトンネルで抜けたのは、蒸機列車のためだということです。
*ヨーロッパで地震はあるか(6/12建築)
(ブルーバックスにも著書がある、大学化学の山崎先生から)
わたくし、30年ほど前にドイツに留学いたしましたが、南ドイツ(シュワーベン)は結構小規模ながら地震の多いところで、ホーエンツォレルン家の先祖代々のお城(プロイセンに領地があっても、本家本元はこちらだということで立派なお城が建っています)はしょっちゅう地震被害修復
のため拝観謝絶ということになっていました。有感地震の回数は東京に比べると数分の一ぐらい。もちろんこれはきわめて例外的な場所ではありますが。
出席カードに書き込まれた、質問と意見(要約)に対する回答(7/3火曜1限・土木)
(鉱物・岩石・濃集のしくみの説明とジュニアスペシャル#30「移動する大砂漠」、煙害対策)
*話しを聞いて面白かった。興味がわいた。道路会社に内定したが、地質会社も受ければよかったと思った。
道路会社でも地質の知識は大事ですし、勉強することになると思います。むしろ、地質の会社ではない組織で、地質の知識があるというのは大事なのではないかな。頑張ってください。
*キプロス島が銅から由来してるとは思わなかった。
cyprus島でとれるから、copperという名前が付いたのだと思っていますが、由来が逆ではないかな。
*欠席分のレポートは、どういう風に書けばよいのですか?
書き方のプリントは数回にわたって配布しました。Webにもあります。要点は「テーマ自由。調べる場合は複数の資料を当たること。引用文献の明示を守る。最終回の授業までに提出しないと成績評価の対象にはならない。」
*先生の脱線した話は、結構好きです。
時間配分の問題があり、あまり脱線してもいられないのですが、脱線しても伝えなくてはいけないことは、あるような気がしています。
*もうすでに4回欠席してしまったのですが、レポートとテストでなんとかなりますか?
*マグマの熱を利用して何か役に立つことはないのですか?
*岩石の中に含まれる銅をどうやって銅単体にするのか
単体の銅を得るには、精錬(製錬)という行程が必要です。炉の中で鉱石とコークスを混ぜて、還元します。その際に、硫化物の場合は副産物として二酸化硫黄が出るので、煙害問題が起きました。
*ホリすぎて鉱物がなくなっちゃうなんて人間はバカだな〜。
なくなるまでに、どのように有効に利用したかが、人間の知恵を問われるところだと思います。いかなる資源も、程度の差はあれ、使っていればいつかはなくなる(経済的に採掘が成り立たなくなる)わけですから。いわゆる途上国では、資源を供給するだけでなく、自国の産業を育成することが必要で、深刻な問題です。
*地球の資源を掘りつくすにはどれくらいかかるんでしょうか。日立鉱山もまだ掘れるという話もありますし。水をつめて坑道を保存しているとか。
日立鉱山は、地質から見るとほぼ掘り尽くしたと考えていいと思います。水をつめて保存しているというのは、たぶん誤解です。鉱山は地下水面より下を掘る場合、どんどん坑道に水がわいてきます。この水を排出しないと継続して採掘ができず、鉱山の維持には水抜きの努力が必須でした。ですから、採掘をやめると、水抜きもしなくなりますので、周囲の地下水位と同じところまで水が坑内を埋めることになります。
地球の資源を掘り尽くすのは、種類によって違いますが、コストがいくらかかってもいいなら、掘り尽くす心配はあまりしなくていいでしょう。どんな岩石にも、さまざまな元素がごくわずかに含まれているのは確かですので。
*ダイヤモンドやアクアマリンがそれぞれいろいろな色をしているのはなぜ?
ダイヤモンドの場合、炭素の代わりに窒素が結晶構造に入り込むことで、それが着色原因になる(ピンク〜黄色)ようです。また、不純物の石墨(セキボク)を含む場合は黒くなります。アクアマリンは、エメラルドと同じ鉱物で、色の薄いものを指します。この場合の色の原因は、微量に含まれる三価のクロムイオンのようです。
*日本は黄金の国といわれるほど金が採掘されていたが、今はほとんど出ていない。日本にはまだ金が出る可能性は大きいのでは?
*今の日本はもう銅はとれないのですか?
採る気になれば、それなりに採れます。ただし、国際価格が低くて、採算がとれないでしょう。
*VTRの博士の専門はなんだろう?
*地球博士(濱田先生でしたっけ?)いろいろな番組で見るのですが、何者なんですか?
現在、放送大学教授、福井県立恐竜博物館館長など。1993年まで東京大学教養学部教授。専門はもともと古生物学。日本の古生代のサンゴ化石、三葉虫化石の権威。幼少の頃から鉱物好きで、高校時代は伊豆大島の火山噴火に魅せられ毎週のように通う。地球環境問題、サンゴ礁問題にも詳しい。著書多数。
*VTR中の標本は高価なものなのでしょうか? 収録中、先生は横で「壊されたら…」とハラハラドキドキものだったのでしょうか?
標本は鉱物標本展から借用したものが数十万円分、それに僕の個人的な標本(縞状鉄鉱、金鉱石など)と、東大教養の自然科学博物館のものを借りました。壊されることよりも、「欲しい」とねだられるのがこわかったです。実際、収録が終わったあと、さくら嬢は宝石店に駆け込んだそうですが、宝石は自分で買うよりプレゼントされるものと思って我慢したそうで…。
*いろいろな色のダイヤモンドができるとはしらなかった。
*コーギで眠くなってしまった。内容はあまりプリントと変わりないと思う。でもキプロスは面白かった。
できるだけ、配布のプリントに沿って進めています。読んだだけでわかるなら、解説はいらないのですが。眠くなったら手を挙げて質問しましょう。眠気が覚めること請け合い。僕はそうしています。
*スタンカーメンの仮面は全部、金なのか? もし100%金なら重すぎて首の骨がおれると思うのだが。コバンは銅ですか?
スタンカーメン→ツタンカーメンです。あれは死者にかぶせるためのマスクで、ふだんからつけていたとは思われません。材質はよくわかりませんが、目のところなど、はめこみ加工がしてあったはず。どこかに重さや材質のデータは出ていないですか?
*世界にある金の量の少なさに驚いた。よく聞くものだからもっとあるものだと思っていた。オリンピックの金メダルはどのように作っているのですか? こんなものを作っていたら、ますます金の量が減ってしまうのではないのか?
金メダルを全部金でつくると、軟らかくて傷つきやすいことや、費用がかかることから、全体の90%くらいが銀で、表面だけ金で覆っているそうです。1個に使われている金は、せいぜい十数グラムです。
*オリンピックでは、なぜメダルに金・銀・銅を使うのですか? (他の金属じゃダメなのか?)
最初にそういうことに決めたからでしょう。昔から、西洋でなじみのある金属ですね。なお、「銅」は正しくは青銅bronzeですから、本当は青銅メダルというべきかもしれません。
*(前回の問い返しに対する答え:地球全体のあらゆる物質(固体、液体、気体)すべては保存されるのか。→保存されないとしたら、どうなると思いますか? どのように逃げ出すと思いますか? 次回の出席カードでの考察と回答を期待します。)
答え→保存される。例えば、極端な話マグマなどの地球内部から出てくるものから(金属などを抽出→つくる)宇宙ロケットをつくっていますよね。そしてロケットは宇宙へ行くと次々にいらなくなった部品を捨てる(これは宇宙のゴミ問題になっているとの話)ので、非常にわずかだと思うが、地球内部のもの(マグマや熱いと思われるもの)は減っているということですね。
そうですね。ただ、人工衛星では最終的に地上に燃え落ちてしまうので、地球の質量が減ることにはならないでしょう。惑星間探査機は、明らかに地球の重力圏を脱出していますし、月面探査機などもそうですね。一方、隕石や流星のもとのような微小なチリとして、地球には年間20000トンの惑星物質が降ってきているという計算もあります。逆に、大気外層では、放射線や太陽の紫外線、太陽風などにより、大気の一部がはぎ取られていくことも起きています。僕は、どちらがどのくらい多いか、わかりません。
*金属はなぜそんなに価値があるのか? 理由はいろいろあると思うが、最も大きい理由は何か? イオン化傾向が小さい(さびにくい)からか?
加工しやすさではないでしょうか。鉄などは、硬くも、軟らかくもできますし、それでさまざまな道具を作ることができる。石では、加工が面倒ですよね。イオン化傾向が小さい金属に価値を求めるのは、装飾用に有用だということはあると思いますが、あとは希少性ですね。金が鉄ほど世の中にあれば、だれもありがたがらないのでは?
*月とかには銅とかないんですか?月にはどんな資源があるんですか?
月には水がほとんどないので、地球のような濃集のしくみが働かないのです。ですが、月の玄武岩は地球に比べてチタンの含有量が数倍多いので、チタンは資源として活用できる可能性があります。それから、月の岩石には太陽風のヘリウム原子核が打ち込まれているので、加熱してヘリウムを取り出し、資源として活用できる可能性があるそうです。
*先生の脱線した話をむしろ講義として聞いています。年の離れた人の人生感なども聞けるとうれしいです。
脱線していると時間がなくなるので、難しいところです。「歳の離れた人」というのがちょっとショックだったりします。仕方がないですよね。もう僕も若くないのだから。
*冷房の効きすぎで風邪を引きました。エネルギーの無駄遣いだと思っています。夏は暑いのが普通ですよね。それに耐えようと思わないで冷房を使うから、来年の夏はもっと暑くなるのでは?
都市のヒートアイランド現象で、暑くなるかどうかは、むしろ舗装や建物による地面の被覆率が大きく効いているようです。それこそ、土木の問題に近いのではないかと思います。
あと1回しかなくて申し訳ないが、君を冷房調節の責任者に任命してもいいですか?
*ルビーとサファイアは同じですか
主成分はAl2O3で同じです。本来は無色の鉱物で、微量に含まれる不純物で着色します。アルミニウムの代わりに微量のクロムが入ると赤、チタンが入ると青くなるらしいです。
*最近、原素の話でよくわからない。
原素→元素、ですね。原子や元素の話をしないと、鉱物や資源がどうして、どのようにできるか、という問題は説明できません。化学式などはあまり覚えなくていいですから、珪酸塩とかカルシウムイオンなどという言葉も、なんとなくそんなものがあるのだ、という程度の把握をして、話を聞いてください。
*マグマから宝石ができることが知れてよかった。
まあ、地殻そのものが、もともとマグマからできているわけですが、宝石を作るプロセスは、マグマの固結にともなう微量成分の濃集過程と関係があるのも確かです。
*アンデス山脈はどのようにしてできたのか
*なぜ、アンデス山脈には鉱山資源が多いのか?
難しい質問なのですが、アンデス山脈の地域には、古生代を通じて海の地層がたまっていて、白亜紀頃からは現在まで、継続的に花崗岩や安山岩のマグマが地下から供給されていました。それが資源のもとになっていると考えていいと思います。アンデス山脈が隆起したのはおよそ1000万年前で、それ以降、東西の圧縮とマグマの供給で高い山脈が維持されています。
*アンデス山脈の山の中にすべてが銅の鉱石とビデオで言っていたが、なぜそのような現象が起こるのに、日本のアルプス山脈ではないのか?
アンデスの山の中に、銅の鉱石がたくさんある場所があるという意味で、VTRで紹介していたのも、4km先までずっと銅鉱石というところを、巨大なすり鉢状に掘っていましたね。日本アルプスとの違いは、北アルプスでも、南アルプスでも、火山がほとんどないことです。アンデスの資源は、地下のマグマが運んできたものですので、それがないから日本アルプスでは銅鉱山がないわけです。
*なぜマグマの移動により、銅や鉱山資源が山脈に含まれていくのか?
1)もともとマグマに銅や他の金属元素(鉛、亜鉛、金、銀)が多く含まれている。2)マグマが固結するときに、銅や他の金属元素はマグマが冷えてできる岩石に入らず、濃縮されていき、水に運ばれてその通り道(鉱脈)に濃集する。
*なぜ濃集のような現象が起こるのか知りたい!
うん、これは奥の深い問題で、エントロピー論でも扱えるし、開放系の問題として、理論的にも興味ある問題です。水の地球化学としても面白いですね。これらをキーワードにして、調べてみてはいかがですか?
*さくらという人物は何者であるか知りたい。
ホリプロ所属のタレントです。
*ダイヤモンドには何色のものがあるの?
緑色は聞いたことがないし、真っ赤なものも知りませんが、あとはだいたいの色があるのではないかな。僕の知っている限り、青、黄色、ピンク、黒、茶色、黄緑、紫などがあったと思います。
*マグマみたいっす。
僕も生で見たいのですが、国内では1986年の伊豆大島以来、なかなかチャンスがないですね。
*限りある資源、有効に使うべきですね。
そうですね。リサイクルが大事なのだと思います。
*プリント配って板書もある。板書内容を最初からプリントにまとめて配ることはできないのですか? これくらいの量ならできると思うんですが。
プリントに書いておくことと、板書で君たちに書き写してもらうことを、区別しています。プリントに書いて配ってしまうと、さっと読んでわかったような気になってしまい、定着しないのですよね。板書を書き写す場合は、書きながら説明を聞いたり、図を悩みながら写すことで、印象に残りやすくなります。それで、大事な図や、講義のポイントは、板書して書き写してもらうようにしています。試験の時に、それはわかると思います。
*ウンモはなぜ金色っぽいのか?
茶色の黒雲母が薄くはがれたり、風化して色の原因の鉄分が抜けると、茶色が薄くなって黄色っぽくなります。それが黒雲母の平たい面で光を反射するので、金色っぽく光って見えます。たぶんそういうものを見ているのでは?
*金属って体に悪い。「銀のピアスはしない方がいい」と高校のとき化学の先生がいってました。
単体の金属は、もともと自然界で安定ではないものが多く、少しずつ空気や水と反応して、さびたり、水に溶けて移動したりします。人体にとって、それが毒になる場合があるので、やめた方がいいということでしょう。銀がどのような毒性を持つのかは、僕はわかりません。
*日本は黄金の国と昔いわれていましたが、金の採掘量は多いのですか少ないのですか。
マルコポーロの時代には、佐渡金山などで世界一の生産量があったと推定されています。戦後は、世界で5番目から10番目くらいの生産量です。世界全体で年間500tくらい生産するとして、日本で10t前後が平均値。現在は、優良な金鉱山も円高で採掘を休止しているところが多く、順位はもっと下だと思います。
*黄銅鉱というのは、世に言うブラス(銅+亜鉛)なのですか。
色は似ているかも知れませんが、成分は違います。化学式はCuFeS2で、銅と鉄の硫化物です。
*ゴミの再利用を活発化するには、さらにどのようにすればよいか?
ゴミを再利用すると儲かるというしくみを作ることが大切でしょう。
*授業の計画をあらかじめたてるのはいいのですが、時間にとらわれすぎて、講義を中途半端に早口で終わらされても何も意味がないと思います。それなら(穴埋めなど)プリントを見ながら説明を聞くだけの方がいいと思います。
VTRの前に説明を簡単に流してしまったのは、VTRの中で、鉱物や資源のできかたをくわしく説明しているので、それを見てもらった方が、きっと理解しやすいと判断したためです。あの番組の構成は、僕が深く関わっているので、濱田さんの説明部分で理解してもらおうと思いました。
穴埋めは個人的にキライなので、やりたくないのです。ともあれ、毎回の講義の要点を、自分でまとめられるように、最後に質問を入れるような工夫はすべきかな、と考えています。
不満が出るだけ、講義を期待して聞いてくれていることがわかり、ありがたいことだと感じます。
*マグマから鉱物ができるのがわかったけど、もし鉱物をマグマに入れたら、その鉱物は溶けて、元の成分に分解されるのか?
はい。マグマの温度が充分高ければ、鉱物はマグマに溶けます。元の成分に分解されるかというと、まあそう考えてもいいのですが、マグマが固結する過程で、水蒸気などのガス成分はだいぶ抜けているので、もとのマグマと全く同じではありません。
出席カードに書き込まれた、質問と意見(要約)に対する回答(7/3火曜2限・建築)
(鉱物・岩石の説明補足と、結晶分化作用、濃集のしくみ。ジュニアスペシャル「資源」を視聴。)
*方程式がおかしい(授業で、マグマ中のMg, Fe, Siの原子数を仮定して、かんらん石、輝石にどのように配分されるか、連立方程式を立ててみせた。)
授業直後に指摘を受けましたが、僕のミスです。すみません。問題とする鉱物相が異なるので、同じ連立方程式で説明することに無理があったのです。
*ガラスは固体ではなく液体ですよね。ガラスはどう生成され、どのような構造になっているのでしょうか。
ガラスというのは、決まった結晶構造を持たず、分子が無秩序に並んだまま、低温のために見かけ上、固化しているものをいいます。通常の板ガラスなどは、石英を主として、炭酸ナトリウムや炭酸カルシウム、硼砂などを加えて融かして作ります。珪酸塩溶融物をゆっくり冷やせば結晶が晶出しますが、その時間を与えず、急冷することによってガラスができます。ですから、火山のマグマも急冷されればガラス(火山ガラス)になります。粘性がきわめて大きな液体だと思っていいでしょう。そのため、決まった融点を持たず、温度上昇とともに粘性が低下して加工できるようになります。
*石が本当に重かった。(黒鉱の標本を回覧した)
金属硫化物が岩石と違って重いことがわかったでしょう。
*金もキレイだったけどアタカマイトもキレイな緑色で、とても魅力的だった。
アタカマイトは、アタカマ砂漠で発見されたのでこの名前がありますが、同じような銅の鉱物である孔雀石は、昔から工芸品として加工されてきました。ロシア民話の「石の花」は、孔雀石を扱っていたはずです。
*濃集のはたらきでアンデスに銅の鉱山ができたってことはすごいことだと思う。
すごいですね。同様のタイプの鉱山は、フィリピンなど環太平洋地域に比較的よく見られます。ポーフィリーカッパー鉱床(斑岩銅鉱床)といいます。日本ではこのタイプの鉱床がないのが不思議です。
*アンデスってすごい所だと思った。
VTRで出てきた地形に、深く削られた氷河地形が見えましたね。また、海岸沿いに砂漠もありますし、火山もあります。山は高いし、規模が大きいですね。
*なぜ光る鉱物は人々を魅了するのか? またなぜ光るのか。知りたくもなったが知ってしまったらロマンがなくなるような気もする。
知らずにすませるのは簡単です。ひとつ知ると、わからないことは何倍も出てくる。ですから、知らないことがたくさんあるのは、たしかに豊かなことですが、それは何事も知らずにすませることと同じではないでしょう。
*来週はテスト対策がいいです。
テスト対策に時間を割くのは、何のために講義しているのかわからなくなります。
*1tで0.2gしかダイヤモンドがとれないことから、なぜダイヤモンドがあんなに高いのかがわかった。
希少性というのはその通りですが、ダイヤモンドは価格維持のためにシンジケートが機能しています。最近、中国産などのシンジケートに支配されていないダイヤが市場に流れて、相場が変化しているらしいですが。数年前のNHKスペシャルでこの話を扱っていましたね。
*テストに対する対策みたいな授業や、それについて教えて欲しい。とても不安だ。
*来週はテストのことをくわしく話してください。(テスト対策要望3通)
予想問題を公開・配布しましょう。授業時間中に試験対策をやるのは本末転倒だと思うので、やりません。
*金属というものがあるが、代表的なものに鉄が挙げられる。しかし、「金属」という名前に「金」というとても希少な物質の名前が付いているのはどうしてだろう。
これはとても難しい問題ですが、金物や冶金などの言葉で用いられる「金」は、本来は「かね」に語源があるのだと思います。「かね」という場合は、たいがい鉄をさすと思います。このあたりは文化史的な問題ですので、自分で調べられることを勧めます。僕は手が回りそうにありません。
*資源は不足してきていると言うが、講義聞いていたらまだまだあるような気がしてきました。
ゼロにはならないですね。むしろ、これからはどのように有効に使うかが問題です。
*VTRいい落ちでした。先生のご苦労が伝わってくるようです。
「落ち」はディレクターが寝不足の頭を絞って毎回考えているので、僕は関与していません。ときどき、僕のセリフを代弁してくれていることもありますが…。
*ビデオの金の採掘場では、あれだけの人が働くことができるということは、金が少量でもかなり高価だからですね。
そうです。その通り。もうひとつは、インフレ・不景気などで、他に仕事がない人がたくさん集まって来るというのもあるでしょう。
*砂金はどうやってできるのか? またどこからくるのか?
砂金になる金は、多くの場合、上流の鉱脈の中の微細な金の粒が起源です。金は水に溶けず、比重が大きいので、金を含む岩石が風化したときに、砂粒として下流に金が運ばれていきます。そうして岩盤の直上など、地層の一番下に金の粒がたまっていくことになります。金は軟らかいので、互いにくっついて、時には大きな塊(ナゲット)に成長することがあります。
*医療で使われるメスはダイヤでできているって聞いたことがありますが本当ですか?
本当です。ダイヤモンドメスは、現場で使われているそうです。
*インカ帝国は金・銀、キプロス文明は銅によって栄えているのを見ると、資源は人の生活・歴史を変えてしまう力があるのだなと感じた。もしもその場で金・銀がとれなければインカ帝国は誕生し、繁栄していないのかもしれないし。それだけ、人間にとって重要なものであるのだから、人間は利用するならそれを大切に、無駄なく使うことが必要だと思った。岩石をあんなに見たのは初めてだったが、どれもきれいなものでビックリした。
そうですね。逆の見方をすれば、金・銀が出なければ、あるいはインカ帝国はスペインに滅ぼされずにすんだかも知れません。でも、歴史にそういう仮定は意味がないかも知れませんが。
*化学式がむずかしかった。
化学式が苦手なら、物質名でいいから、把握しておいてほしいと思います。多くの岩石が珪酸塩鉱物の集合体であること、など。
*次は休こうにしてください。
君が自主的に休めばよいことです。出席点は減りますが。君たちがお金を払っているのですから、休講にするな、というならわかるのですが。
*宇宙のことが知りたいのでもっと金を使ってほしい。
基礎研究と応用技術のバランスをとりながら、また持続的に、投資して欲しいものだと思いますね。
*マグマの中に含まれる水は、蒸発してしまわないのですか。
いい質問です。蒸発するとしたら、どこからどのように蒸発しますか?
*価値がある(高価な)ものというのは、貴重(あまりとれない)という理由の他になにかあるのですか。
使い道が広いというのは重要です。金は指輪などの装飾品以外にも、電子部品や、メッキ材料、歯科材料などにも使われますね。
*鉱物や宝石の価値の高さというのは何によって決まるのですか。
希少性と、需要の大きさでしょうか。人間の経済的な都合ですね。
*鉱山に侵入してダイヤモンドなど(ほり出して)盗むことはできるのか?
南アフリカの鉱山は、しばらく前にNスペで紹介していましたが、ものすごくセキュリティが厳しいです。まず無理でしょう。
*石はすごいですね。というか、鉱物のできかたを、まるでそこで見ていたかのようにわかっていたのがすごいですね。
さまざまな研究の積み重ねがあるからわかることですね。
*金属資源の発生源は?
発生源とは、どういうものをイメージしていますか? たいがいは(ふつうの)岩石から、主に水が関わる濃集プロセスによって集められたものですが。
*ダイヤモンドの原石を見て驚いた。
最初は川の堆積物のレキから採集していたらしいです。石に入っているのを掘るようになったのは、ここ100年あまりのこと。
*ポキートが最後ウザかった。
*今日のポキートはすごいかわいい。飼いたい。
ポキートの存在については、賛否両論ありますね。
*足尾銅山にはもう木が生えたり環境がもとにもどることはないのか?
戻るでしょうが、かなり時間がかかるでしょう。土壌がなくなると復元には長い時間がかかります。
*全体的に今回はむずかしくてワカラなかった。今日はねむすぎてねてしまった。
意識不明の学生が目立つなとは思っていましたが、前日の設計が厳しいそうですね。でも、せっかく出席したのだから、なにか得るものがあってほしいと思います。
*再放送で今日のことはもうやらないですか? テストについて、やってほしい。
再放送の予定はもうありません。どうしても見たければ、僕に言ってください。テストについては前述の通り。
*地下でできる鉱物のビデオを見て、地球って面白いと思った。銅が冷やされてできた、うす緑色の石の入った石がとてもキレイでした。石っておもしろいですね。
*ダイヤモンドはなぜ透明で光っているのですか。
なぜ透明か、というのは難しいですが、ダイヤモンドの炭素どうしの結びつきは、非常に結合が強いため、可視光領域で吸収がないから、ということになるかと思います。光っているのは、屈折率が非常に高いので、ブリリアントカットではダイヤモンドの中に入ってきた光を内部で全反射しているためです。
*かんたんに石といっても、さまざまな種類があるんだなと大変驚きました。
そうです。世の中の全ての石に、名前と、履歴があるわけですね。
*ビデオ中、金のかたまりをうつした時、両サイドに警備員がいて、金のかたまりがどれだけすごいものか実感した。
お金の力が、ですね。たぶん、ふだんは公開していないのでしょう。
*アタカマイトが一番きれいだと思った。銅が80%も含まれているとは思えない。私の中で、銅という色は、あまりきれいな色というイメージがないから。
アタカマイトは60%くらいです。分子量から計算できます。実は、輝銅鉱の方が約65%と、銅の含有率が高いのです。しかし、アタカマイトの方が、銅を取り出す処理が簡単だと思います。
*ビデオの中で、さくらちゃんが「復習してるわよ!」って言ってたけど…。
あまり復習はしていませんでしたね。でも、要点は押さえているようでしたので、それでいいのではないかと。
*ダイヤモンドが奥深い所にあるのは分かる気がする。宝石の話がすごく面白かった。
宝石はそれぞれ、特有の形成プロセスがあります。時間があればもっと詳しくやりたいことです。
*水にとけるというのはうすくなることだと思っていたけど、逆に濃縮されるプロセスの一部だったのにおどろいた。
そうですね。溶けることと同時に、沈澱が重要なのです。沈澱条件の違いで、特定の元素が選択的に集められることになります。
*鉱物の成り立ちがよくわかった。アンデスの鉱夫がものすごい人数で採掘していて、アリの群れのように見えた。
*オリンピックで金メダルが使われていますが、限り少ない金はいつごろまで使えるのですか?
きちんとリサイクルすれば、いつまででも使えます。
*石油もまた限り少ないと言われますが、あと何年ぐらいでつきるのですか? 新しいエネルギーとしてどういうのがあると思いますか?
ずっとあと30年といわれてきました。ざっと100年くらいあると思っていいかも知れません。ただ、将来は生産量が減り、価格は上昇していくでしょう。新しいエネルギーとしては、植物によるアルコール燃料や、燃料電池などの水素燃料が、環境への負荷が低く、有望です。
*チタンやメタルは、どのくらい硬いのか? チタンやメタルはゴルフだと、たまの当たっている時間が違うから飛距離が変わってくるが、どんな特性がそうするのか?
メタルというのは金属一般を意味しますから、説明できません。ゴルフボールの飛距離はよくわかりませんが、反発係数だけの問題ではないのかな。チタンは、硬さは特殊加工によって変化しますが、重要なことは鉄と比べて密度が小さく、同じ強度を得るのに軽く作れるということです。
*鉱物は一度加工しちゃうと、その後、もとにはもどらない?
採掘対象の鉱物のできる条件は、地表とは全然異なる、地下の高温・高圧条件であることが多いので、地上ではもとの鉱物には戻らないでしょう。
*あの3.6kgの金の塊はいくらぐらいするんですか?
6.3kgだったと思いますが…。1gで1200円くらいとすると、800万円足らず、というところでしょうか。もちろん、地金にした場合の値段で、天然のものは標本価値があるので、もっと高くなると思います。
*途中数学の授業かと思った。
*人間がこのまま宝石や金属を採取し加工してゆくと、いつか、地球上の全てをほりつくしてしまうのではないかと思うのですが、その心配は無用ですか?
難しいところです。いくつかの資源は枯渇の心配はあるのですが、お金さえかければ皆無ではない。あとはリサイクルにかかっています。
*なんだか今日は難しく感じられました。今週の話ではないのですが、先日新聞で海洋深層水の栄養豊富なのを利用してお魚を育てようというのが載ってました。日光さえ届けば深海にはおいしい魚がいっぱい住めるようになるんでしょうね。
そうですね。ただ、自然界に働きかけるときは、よく考えて、副作用が出ないようにしないといけません。この場合は、深層水をくみ上げることで、富栄養化が起きたり、バランスが崩れないか、少々心配になります。
*金を掘りだしているところがすごい。どんな人が働いているのかと思った。
いろいろな人がいるらしいです。一般に、金鉱掘りの場所は、治安が悪いです。