出席カードに書き込まれた、質問と意見(要約)に対する回答(10/30火曜2限)
(岩石)
回覧標本について
*先生が「方解石はきれいだ」とおっしゃってましたが、私もそう思います。鉱石(←鉱物?)はどれをとってもそれぞれの魅力があり、先生のお話を聞いていたら、久々に「化石・鉱物フェア」(ミネラルフェア)に行きたくなってきました。
ミネラルフェアは6月初旬に新宿でありますが、同様の催しで12月には池袋で国際化石鉱物ショーがあります。詳細は http://www1.biz.biglobe.ne.jp/~Planey/ にて。
*テレビ岩に感動です。何であんなふうに映るんだろう。すごくきれいだし。
*テレビ石はどういう石なのですか?
乾燥地帯でできる蒸発岩の一種で、ウレキサイトという硼酸塩鉱物だそうです。結晶が繊維状に、一方向にそろって延びていて、ちょうど光ファイバーのように細い結晶のなかで光を反射させながら通すので、文字や模様が浮き上がって見えるのだということです。
*偏光板の実験、楽しそうですね。
*偏光板の光の操作が面白いと思う。
*偏光板:水晶が一番きれいでした。
偏光板を使った鉱物の光学的な性質の観察は、岩石を研究する上で非常に重要な基礎なのです。医者が病変組織を顕微鏡で観察するように、偏光顕微鏡で岩石薄片を観察すると、岩石の履歴がかなり読みとれます。
*偏光板に入れたビニールが虹色になるのはなぜですか?
よく見つけましたね。説明しなかったのですが、鉱物を入れている袋はアクリルかポリスチレンの袋なのですが、製品を作るときに合成樹脂を引き延ばすので、分子が延ばされた方向に配列して、結晶に近い性質を持っているので、そのような現象があります。虹色は干渉色といいます。回転させると、消光というか、暗くなる方向があるはずです。
*岩石を砕くとき、その岩石のかたさを予測できて砕いているのですか?
ある程度は見ただけで予測できます。また、砕き始めてこれはダメだとわかったら、すぐに砕く方法を変えます。
*偏光板を通してみるのがわかりやすくて面白かった。
*富士山頂で拾ってきた石(ぶつぶつの)があるのですが、何ですか?
富士山は全体が玄武岩の熔岩や火砕物(マグマのしぶきが冷え固まったもの)でできています。ですから、玄武岩の熔岩や火砕物の破片でしょう。
*光が当たらないと透明で、光が当たることでその影に色が入るというのは可能ですか?
具体的なイメージがわかりませんが、影の方に細工をするか、偏光を使うと可能かな、という気はします。
*小学生の頃、化石を探しに行って貝の化石を見つけて大喜びしていたが、落として割ってしまったのを思い出しました。
そういう経験はずっと記憶に残りますね。でも、化石は割れたり、壊れたりするのはある程度仕方がなくて、接着したり、補強したりしながら発掘・採集あるいは保存します。博物館に展示してある恐竜の骨も、完全な形で取り出されたものは少ないのです。よく見ると補強や継ぎ目のあとがわかります。
VTR(超新星爆発)について
*原子や原子核などのミクロの世界と、惑星、星雲の宇宙の世界が同時進行で話が進むので、単位の感覚がおかしくなった。ちなみに地球の寿命はどれくらいですか?
地球の寿命は何で定義するかですが、火山活動やプレート運動に関しては、感覚的にあと10億年以上は大丈夫ではないかと思います。計算した例があるはずですが、ちょっと僕はわからない。
*地球も超新星爆発を起こすのですか?
起こしません。地球は核融合反応を行っていませんから。
*太陽はいつ頃超新星爆発を起こすのですか?その時我々は生きるすべはあるのですか?
*太陽の7倍くらいで炭素が残った爆発をするということですが、太陽の時はどうなのでしょうか? Heが炭素や酸素に核融合しきってしまう前に爆発するわけでしょう? 太陽の最後、気になります。どう爆発するのか?
太陽は超新星爆発を起こしません。赤色巨星になったあと、中心で炭素・酸素をつくるくらいまでで、それ以上の核融合を起こすには質量(中心の圧力・温度)が足りず、白色矮星となって生涯を終えます。
*宇宙はHとHeで最初できていると聞いて、ビックリしたと同時に納得できた。HがHeにO2→Feに変化し鉱物になっていき、地球の基盤になっているとわかった。
O2ではなくてOなのですが、その通りです。地球ができるまでには、他の何世代もの恒星の誕生と終末があって、それで地球の材料が生産され、供給されてきたわけですね。
*太陽系は太陽の磁場によって形成されているんですよね〜?! 超新星爆発を起こすとき、太陽の100億の光を発するということは、それだけ大きい磁場も発生しているのですか?
磁場は太陽表面のいろいろな現象をコントロールしているのであって、核融合とは直接の関係はありません。ただ、超新星爆発の際に磁場がどうなっているのかは、僕もわからない。
*超新星爆発のエネルギーが太陽が46億年出し続けたエネルギーの千倍というのはすごい。星ができる過程がよくできていると思った。こんなことを研究して発見できる技術もすごいと思う。
すごいですね。しかも、理論で予測したものと実際の観測が一致していたりするのがすごい。観測による新しい発見もたくさんあって、進歩しているのですが。
*衝撃波とはどれくらいすごいものか、想像がつかない。
*どの星にも寿命があるなんて知らなかった。星も生きてるんだなーと思いました。
同感です。
*恒星は超新星爆発以外に活動をやめることはないのですか?
超新星爆発を起こすのは、恒星の中でもごく少数です。多くは白色矮星として、周囲にガスを放出し、自分自身は小さくしぼんで生涯を終えます。また、恒星になる前に、核融合反応を起こすだけの質量がなくて、原始星段階でおしまい、という小型の星が数多くあることもわかってきました。赤外線観測などの成果です。
*ブラックホールの超高密度は超新星の爆発寸前の密度と比べると、どの位違うのですか?
うーん、星全体の密度か、それとも中心の鉄部分の密度を指すのかにもよりますが、ちょっとすぐには答えられません。調べてみます。
惑星形成
*オリオン大星雲の中の星は恒星になると考えられているそうですが、どのようにしてなるのか知りたい。
これは前期の授業でやったので省略してしまいました。簡単にいえば、ガスが自分の重力で収縮し、ある大きさ
*ガスが集合して惑星が形成される様子がVTRでやっていましたが、実際に地球上とかで目に見えるもので似たような現象とかってないですかね?イメージがよくわかないんですけど…。
*星雲がくっついたり離れたりするっていうのが映像を見てもよくわからなかった。
*原始星なんかのところの映像をもっとゆっくり詳しく見てみたかったです。
ニュートリノ
*ニュートリノの話、地球を通過するって??…というかんじでした。しかも太陽46億年の1000倍もの光が通って、私たちなぜ何とも感じないのでしょうか?
*ニュートリノって何すか?分子?原子?放射能のようなもの?
ニュートリノというのは、電子を分解したときにできる素粒子のひとつで、電気を持たず、ほかの素粒子・物質とほとんど作用しません。そのため、たくさんあっても検出が難しい素粒子でした。太陽46億年の1000倍というのは超新星爆発のエネルギーですが、そのかなりの部分がニュートリノとして放出されたと計算されています。光ではありません。
*核融合がよくわかりません。原子番号の小さい元素が、アルカリ金属やアルカリ土類金属に変わるということですか?
アルカリ金属などに限らず、より大きい原子核に変わること、原子番号が大きくなることです。
*ニュートリノを発見した日本の機械は、他に何を調べる機械なんでしょう?
もともと、純粋な水をたくわえて、陽子の崩壊が起こることを期待して、その検出のためにつくられた装置です。しかし、予想外の超新星爆発のニュートリノを検出して、有名になりました。
宇宙その他
*ビデオを見て地球ができるのを見たが、宇宙のどこかに地球のように生物がいる星があるんじゃないかと思った。地球のように生物ができる確率はどのくらいなんですか?
わかりません。ドレークという人が理論的に計算していますが、本当かどうかは確かめようがない。
*宇宙が大きくなっているという話を聞いたことがある。なぜ、宇宙が大きくなるのか? 今、宇宙じゃない部分は何なのか?ひょっとしたら宇宙も、また、何かの箱の中にあるのか? 不思議なことだらけです。
なぜ、といわれても答えようがないです。ただし、どうして宇宙が大きくなると考えられているのかは、観測上の根拠があります。自分で調べてみてください。
*核融合反応の話を聞くと、いつも、水を使って核融合反応できれば原子力発電の代わりができるんだよなあーって思い出されます。
そうですね。うまくいけば非常にクリーンなエネルギー源になるので、早く実用化されるといいのですが。
ダイヤモンド
*VTRで見たダイヤモンドの採石場の穴の深さにびっくりしました。
「人間の欲望の深さを表現している」と、うまいことをいった人がいます。
*南アフリカのダイヤモンド鉱山は、昔、噴火したから今でもダイヤモンドが採れるのですか? 今噴火している火山にもダイヤモンドは含まれていないのですか?
ダイヤモンドが地表に運ばれるような噴火は、きわめて特殊で、めったにおきません。しかも、普通の火山とは違う形態なので、いま見ている火山でダイヤモンドが採れることはないでしょう。
*世界で一番大きなダイヤモンドは1400カラットだったそうですが、ダイヤモンドって大きいものになると質が良くなくて、いいものでないと聞いたのですが、1400カラットのものは、質も良かったのでしょうか?
王冠に使われているものの写真などを見ると、質も良いようですね。どうやってできたのでしょうね。うーん。
*ダイヤモンドの加工の仕方を学べて良かった。ダイヤモンドがいろいろな場で使われていることを知った。
道路工事現場でもよくダイヤモンドカッターを見かけますね。
*ダイヤをダイヤで磨くところが面白かった。
*ダイヤモンドはダイヤモンドで削るのはわかりましたが、カットするのは何でカットするのですか?
ダイヤを2つで割るのは、金属のピット(刃)だと思いますが、ブリリアントカットのような加工の場合の面をつくるのは、やはりダイヤモンド粉末で研磨してつくります。カットといっても磨いてすり減らすのです。
*どうしてダイヤモンドは高いのでしょう? 人工で作れるって話を聞いたのですが。
産出量が少なく、需要が多いこともあります。また、ダイヤモンド・シンジケートが価格保持のために流通量を制限しているのもひとつの要因です。
*先生の持っている最も高いダイヤモンドは何ですか?
僕は購入したものは持っていません。昨年、佐久市子ども未来館の展示のために、選定・購入した標本では、6o角のダイヤモンド原石で\15000だったかな。それが僕が関与した最高値のものです。
*VTRで見たダイヤモンドは大きくて、すごいきれいだった。輝きが違うと思った。ダイヤモンドの半導体ができたらすごいと思ったし、ぜひ実現させて欲しい。
そうですね。見てみたい気がします。僕はダイヤモンドの差し歯とか、入れ歯を考えたのですが、考えてみるとかみ合わせる自分の歯がすり減りそうですね。
*ダイヤってかたいのね。
隕石
*隕石の持っている情報はすごいと思った。
*隕石の中の白い石やダイヤモンドの年数はどうやってわかるのですか?
隕石の場合は、中に含まれている微量のウランやトリウムと、その崩壊でできる娘元素の鉛の同位体を測って求めます。ダイヤモンドは、ダイヤモンドに封入された微量のカリウムや、ルビジウム、サマリウムなどの元素の放射壊変を利用して推定しています。
*地球に飛んできた岩石を調べればいつ頃つくられたものかがわかるなんてすごいと思った。
岩石は、火成岩であればたいがいのものが形成年代を測れるようになっています。その年代の意味を理解するのは、いろいろ難しい問題が出てくる場合がありますが。
*隕石が落ちてくるのってあぶないですよね。隕石は何でおちてくるんですか?
隕石も地球に落ちてくる前は(たぶん)太陽の周りを回っていて、地球の近くを通ったときに、地球の引力に引かれて、大気との摩擦で燃え尽きないようなうまい角度で落ちてきたものが、隕石として地上に到達します。
*たまに落ちてくる隕石は、何億年も宇宙空間をさまよっていたということですか?そういう石とかが衛星とかに当たることもありうるんですよね?
ありえます。宇宙空間では、地球のように小さなものが大気との摩擦で燃え尽きるということがないので、微小な隕石でも致命的な打撃を与えることがあります。それから、隕石が宇宙空間をさまよっていた期間は、宇宙線照射年代を求めることで、推定することができます。宇宙空間には強力な宇宙線があるので、それが隕石中の鉱物の結晶構造に傷を付ける、その傷の頻度から逆算します。
鉱物その他
*数多くの鉱物がありますが、人にとって大切なものというのはいくつくらいあるのですか?
産業的に利用できるもの、あるいは合成できるもの、という意味ですか? 僕もわかりませんが、数十種類はあるのではないでしょうか。
*消しゴムのようにくねくね曲がる石はないのですか?
結晶片岩の一種でそういうものがありますね。僕は持っていませんが、よくこんにゃく石などと称して、売られていたりします。僕も調べてみたいです。
余談
(回答コメントは授業で)
*自分のやりたいことが見つかっている人を、寄らば大樹で無企画な連中がうしろ指さすことはよくある。彼らとしてはジェラシーに耐えられないのだろうが、自分としては気にせずに生きていく強い意志が欲しいです。その意志は自分の興味あることがもたらしてくれるのかな? 後ろを振り返らず前向きに自分のマニアを自慢できる人間になりたいと思います。
*先生の学生時代の話は笑えました。しかし苦労しているんですね。でも後悔していないというのは尊敬します。
*先生の生き方はあついと思った!! 私も何か特技を持ちたいです。これからも頑張ってください。(熱い同様2通)
*今日は先生の地学おたく話に私自身が熱くなりました。
*先生の生い立ちはとても楽しかったです。私も人生、回り道派です。人生一度しかないんですから、自分が後悔しないように生きていければいいですよね!!
*人生寄り道も重要かと思いました。
*先生の話はとても胸を打たれました。先生は小さい頃から他の人よりも強く興味のあるものを持っていて、私は高校に入ってやっと建築をやろうと決めたので、うらやましく思いましたが、先生は苦労もたくさんしているなと思いました。私たちに地学に興味を持ってもらうために、寝る時間も削り、その熱心さがいつも伝わってきて、違う分野にも興味を持つことができ、課題のために徹夜することは大したことではないと感じました。
*先生の話を聞いて少しうらやましかった。好きなこと、やりたいことがはっきりしているのはいいことだ。(うらやましかった3通)
*1つの道をきわめ、情熱を持つことはすてきなことだと思います。自分にはそういうものがないので、ある意味、あこがれます。(同様2通)
*私も先生のように熱くなれるものを早く見つけたいです。(同様1通)
*先生は教育者ではもちろんですが、研究者として研究することが凄く向いているのでは、と思いました。そしたらもっと凄い人になってくれそうな気がして…
*先生の人生についてもっときかせてください(恋愛etc.)
*やっぱり東大に入る人は普通の人とちょっと違うのかなと思った。
*やっぱりしたいことしてると楽しくてしょうがないんでしょうね。
*かなり苦労しているんですね。
*もっと楽に生きてください。
*人生は安定した生活を送ることが幸せではないのだな、と思った。
*変態っていいですね。
*先生は変態じゃないです。
*先生の少年時代って不思議―。マンガの世界のようですね。男の子ってみんなそんなもんですか?
*先生の人生話はおもしろかったです。(おもしろかった5通)
*先生の人生観のようなものが伝わってきてよかった。
*先生の自己紹介で今日の授業の内容が飛んでしまいました。でもどんな人なのかある程度理解できたので話を聞いてよかったです。
*先生の大学での話が面白かった。
*うまく世渡りしたいと思います。
*何かひとつを極めることは大変だし、それさえあれば強く生きれる気がする。だから先生は毎日パワーがある授業をするんですね。
*先生は有機物より無機物が好きっていうけど、他の人でいう有機物のように扱っているんじゃないですか?
*やりたいことを持っている奴はすごい。
*私も将来生きがいとなる仕事につきたいです。
*好きこそ(ものの)上手なれ、ですね。