よくある質問集(地震・火山)

 

*耐熱服を着ていたらマグマに当たっても平気か? 何度までOKか?

 小さなしぶきなら大丈夫でしょうが、大きなものではけがをするでしょう。温度はわかりません。マグマのしぶきが接触した場合と、接近してマグマからの輻射熱を浴びている場合とで、条件が異なると思います。

*ふつうの服でマグマに近寄ったらどうなるか

 どこまで近寄るかにもよりますが、近寄りすぎれば輻射熱でこんがり焼けます。炭火焼きを想像してください。

*リソスフェア=プレートと考えてしまってよいのか?

 その通りです。

*実際にマグマを見てみたい

 ハワイ島に行けば、実際に流れている溶岩流の近くで見学することができると思います。ただし、充分に気をつけて。

*富士山は噴火するか。噴火したら東京はどうなるか。

 富士山はかなり大きい火山ですので、噴火する際には、マグマが上昇するにつれて火山性の地震や微動が頻発し、かなりの予兆があって、それから噴火すると思います。現在のところ、そのような噴火にすぐつながるような現象はなく、当分は噴火しないと思います。噴火の被害は、これまでの例では降灰と溶岩流が予想されますが、山体崩壊や岩屑流(岩なだれ)、泥流も注意が必要です。

*マグマのエネルギーはどこからくるのか。そのエネルギーは使い切らないのか。

 マグマのエネルギ−は、地球内部の熱です。その熱は、おもに地球形成時の余熱と、岩石中の放射性物質の壊変に伴う崩壊熱です。地球は保温性がいいので、まだ充分に内部が高温の状態を保っていて、マグマを地表に供給することができます。逆にいえば、冷え切らない程度に、ちびちびと、マグマを出してきたのが地球のうまいしくみです。

*なぜ太平洋の周りに火山が多いのか?

 太平洋プレートは、地球上最大のプレートですが、周囲を沈み込み帯で取り囲まれています。約2億年前のパンゲア−ゴンドワナ大陸の分裂以後、アフリカ大陸を中心に、各大陸をのせたプレートがそれぞれ分裂して間隔が広がっているわけですが、地球の表面積はほぼ一定ですので、その分、どこかが縮小される必要があります。現在、その縮小分を太平洋プレートが担っていると考えてよいようです。その結果、1億年ほどで太平洋プレートは消滅し、そこにふたたび大陸が集合して超大陸が形成されると予想されます。

*ハワイ諸島は今後どれくらいまで大きくなると予想されているか。

 ハワイ諸島では、マグマが地表に供給されることで、島ができ、その面積が拡大していますが、一方で噴火をやめた火山島では、波や雨風による浸食で、少しずつ島は削られ、小さくなっていきます。そうしてみると、ハワイ諸島の海上に突き出た部分の面積は、ホットスポットのマグマの供給が変わらなければ、ほぼ一定であると予想されます。

*(火山島に)人間が住むためには、どのくらいの年月がかかるか。

 これは難しい質問ですね。地形や降水量などにもよるので一概に言えませんが、ものすごくおおざっぱに言って、噴火が停止して100年程度あれば、植生ができて、農業や牧畜が可能になるのではないかと思います。

*マグマを利用して何かリサイクルはできないか。

 伊豆諸島などでは、火山灰や熔岩を材料にして、ガラスや建築用のブロックを作っている例があります。

*ホットスポットでできたハワイ諸島からのびた海山列の先端はどこか?

 カムチャッカ半島とアリューシャン列島の会合点付近です。

*ヨーロッパで地震はあるか

 プレート境界に近い、バルカン半島やギリシャ、トルコなどでは地震があります。それ以外の地域でも、まれに内陸の地震が起きることがあります。

*地震や火山噴火の際の、メディアの説明の仕方が悪い

 新聞記者や、放送記者など、メディアに関わる人にもっと地学の基礎知識を普及する必要があると思っています。もちろん、そういう人の中には、よく勉強していて、専門家も顔負けの知識をもっている人もいるのですが、まだまだ少数です。

*プレートと一緒に水分が沈み込む機構がわからない

 海嶺付近で新しい海洋底が生まれるときには、温度が高いので熱水が地下深いところまで循環します。その際に岩石に変質(熱水変質)がおきます。岩石中に含水鉱物として、重量で平均1%ほどの水が含まれるようになります。つまり、海洋プレートの上部5kmくらいのところは岩石中にかなりの水を含んでいることになります。これが沈み込みで高温高圧の地球内部に戻っていくと、ある温度(500-1000度くらい)で含水鉱物が不安定になって分解し、その真上のマントルに水を吐き出します。それが日本のような沈み込み帯での火山活動の原因になるわけです。

*アセノスフェアは流動する固体なのか?

 そうです。

*大陸は本当に移動しているのか?それを人間が生きている中で感じることはできるか?

 移動していることは、GPSなどで確認されています。人間が生きている、せいぜい100年の時間スケールでは、年間最大10cmの移動は、100年でも10mにしかなりませんので、実感するのは難しいと思います。

*大陸は何億年後かあとにはまたつながるのか?

 いまの太平洋は縮小し、そこで各大陸が集合して、衝突・合体し、大山脈ができるとともに、かつてのパンゲアのような超大陸ができると予想されています。およそ1億年くらい先のことですが。

*マントルとマグマの違いがよくわからない。成分は同じで、形態が違うということか?

 マントルの岩石が、ある温度以上になって、その一部が融けて(部分融解して)できたものがマグマです。マグマとマントルでは、成分が異なります。マグマには、マントルの岩石中に含まれていた融けやすい成分が、より多く、濃縮して入っている、いわばエキスのようなものです。マグマは浮上して冷え固まり、地殻をつくっていくわけですが、マグマの冷えてできた。地殻とマントルの化学組成が異なることも、その結果です。

*大陸はこれからもっと分裂するのか?

 します。アフリカ東部などは、次の1000万年で分裂するでしょう。一方で大陸は集合もしますが。

*マグマがたまったら木は生えるが、火山灰に生えないのはなぜ?

 青木ヶ原樹海のことですか? 火山灰の上にも生えています。むしろ、岩石の風化を待つ必要がない分、早く植生が回復します。関東ローム層と呼ばれる赤土や、その上の黒土も、火山灰からできています。

*マントルの流れは地球を一周しているのか?時速何キロでまわっているのか?

 一周というのではなく、いくつかに分かれた対流をつくっていると考えるべきでしょう。時速ですか。年間10cm365日で割って、さらに24時間で割ってください。海嶺直下では、もう少し速いマントル(アセノスフェア)の流れがあるようですけれど。

*地震の大きさは、プレートの厚さに関係あるのか?

 その通りです。プレートの表面が割れるタイプの地震(正断層型)は、プレートが古くて冷えて、厚みが大きいと地震の規模も大きくなります。また、冷えて厚いプレートは地震波を伝えやすく、その点でも影響があります。

*富士山の噴火ではどこまでが危険なのか?

 噴火の形式によって異なります。泥流、山体崩壊では山ろく全域で注意が必要です。溶岩流はそれほど怖くない。降灰も広範囲に影響しますが、農業被害が中心でしょう。

*ホットスポットはどこにでもできる可能性があるのか?

 原理的にはあります。ですが、だれもホットスポットができたところを見ていなくて、よくわからないのです。

*火砕流からの逃げ方は教わったが、実際に来たらパニクってしまいそうだ。

 そもそも、火砕流が起きている、あるいは起きそうな火山には、決して近づかないことです。

*海嶺の位置は変わらないのか?変わったことはないのか?

 変わります。極端な例では、海嶺そのものが沈み込んでしまう場合もあります。北米西岸で現在起こっています。イエローストーンの地熱地帯はそれと関係があります。ホットスポットに関係した話では、プレートの移動方向を決めるのは、むしろ、沈み込み帯です。

*海嶺も噴火をするのか?水中で噴火するとどうなるのか?

 枕状熔岩が見られますので、噴火していたのでしょう。噴火の現場は観察されていません。海嶺の場合、水深が深いので、地下のマグマだまりと同じくらいの水圧がかかっていて、マグマ中の火山ガスがあまり発泡しません。ですから爆発的ではありません。VTRで見た、枕状熔岩の形成のイメージです。

*マグマを何か他のことに有効利用できないのか?

 マグマのままでは、安全に取り出すのが困難です。マグマの冷えたものは、建築材(石材)として我々は有効利用しています。例えば花崗岩やはんれい岩を御影石や、黒御影(石材名)として。

*海面ぎりぎりのところに火山があると、火柱が立つのか?

 「マグマ水蒸気爆発」という、かなり激しい噴火を起こします。調べてみてください。

*大陸は1万年くらい経ったらどうなるのだろう。日本はあるのだろうか?

 1万年前の大陸はどうでしたか。1万年後は現在と1万年前の延長線上で考えられるのでは?

*海底の山が沈み込むと地表に山ができるのだろうか?

 そういう例だと考えられるものがあります。