よくある質問集(鉱物・資源)

’01年度、NHKジュニアスペシャル#30「資源を生んだマグマ噴出」を視聴)

 

*キプロス島が銅から由来してるとは思わなかった。

 cyprus島でとれるから、copperという名前が付いたのだと思っていますが、由来が逆ではないかな。

*マグマの熱を利用して何か役に立つことはないのですか?

 地熱発電は、あまりうまくいっているとは言えませんが、マグマの熱の利用でしょう。温泉もマグマに由来するものがかなりありますね。

*岩石の中に含まれる銅をどうやって銅単体にするのか

 単体の銅を得るには、精錬(製錬)という行程が必要です。炉の中で鉱石とコークスを混ぜて、還元します。その際に、硫化物の場合は副産物として二酸化硫黄が出るので、煙害問題が起きました。

*ホリすぎて鉱物がなくなっちゃうなんて人間はバカだな〜。

 なくなるまでに、どのように有効に利用したかが、人間の知恵を問われるところだと思います。いかなる資源も、程度の差はあれ、使っていればいつかはなくなる(経済的に採掘が成り立たなくなる)わけですから。いわゆる途上国では、資源を供給するだけでなく、自国の産業を育成することが必要で、深刻な問題です。

*地球の資源を掘りつくすにはどれくらいかかるんでしょうか。

 地球の資源を掘り尽くすのは、種類によって違いますが、コストがいくらかかってもいいなら、掘り尽くす心配はあまりしなくていいでしょう。どんな岩石にも、さまざまな元素がごくわずかに含まれているのは確かですので。

*ダイヤモンドやアクアマリンがそれぞれいろいろな色をしているのはなぜ?

 ダイヤモンドの場合、炭素の代わりに窒素が結晶構造に入り込むことで、それが着色原因になる(ピンク〜黄色)ようです。また、不純物の石墨(セキボク)を含む場合は黒くなります。アクアマリンは、エメラルドと同じ鉱物で、色の薄いものを指します。この場合の色の原因は、微量に含まれる三価のクロムイオンのようです。

*日本は黄金の国といわれるほど金が採掘されていたが、今はほとんど出ていない。日本にはまだ金が出る可能性は大きいのでは?

*今の日本はもう銅はとれないのですか?

 採る気になれば、それなりに採れます。ただし、国際価格が低くて、採算がとれないでしょう。

*世界にある金の量の少なさに驚いた。よく聞くものだからもっとあるものだと思っていた。オリンピックの金メダルはどのように作っているのですか? こんなものを作っていたら、ますます金の量が減ってしまうのではないのか?

 金メダルを全部金でつくると、軟らかくて傷つきやすいことや、費用がかかることから、全体の90%くらいが銀で、表面だけ金で覆っているそうです。1個に使われている金は、せいぜい十数グラムです。

*金属はなぜそんなに価値があるのか? 理由はいろいろあると思うが、最も大きい理由は何か? イオン化傾向が小さい(さびにくい)からか?

 加工しやすさではないでしょうか。鉄などは、硬くも、軟らかくもできますし、それでさまざまな道具を作ることができる。石では、加工が面倒ですよね。イオン化傾向が小さい金属に価値を求めるのは、装飾用に有用だということはあると思いますが、あとは希少性ですね。金が鉄ほど世の中にあれば、だれもありがたがらないのでは?

*月にはどんな資源があるんですか?

 月には水がほとんどないので、地球のような濃集のしくみが働かないのです。ですが、月の玄武岩は地球に比べてチタンの含有量が数倍多いので、チタンは資源として活用できる可能性があります。それから、月の岩石には太陽風のヘリウム原子核が打ち込まれているので、加熱してヘリウムを取り出し、資源として活用できる可能性があるそうです。

*ルビーとサファイアは同じですか

 主成分はAl2O3で同じです。本来は無色の鉱物で、微量に含まれる不純物で着色します。アルミニウムの代わりに微量のクロムが入ると赤、チタンが入ると青くなるらしいです。

*マグマから宝石ができることが知れてよかった。

 まあ、地殻そのものが、もともとマグマからできているわけですが、宝石を作るプロセスは、マグマの固結にともなう微量成分の濃集過程と関係があるのも確かです。

*アンデス山脈はどうやってできたのか?

 難しい質問なのですが、アンデス山脈の地域には、古生代を通じて海の地層がたまっていて、白亜紀頃からは現在まで、継続的に花崗岩や安山岩のマグマが地下から供給されていました。それが資源のもとになっていると考えていいと思います。アンデス山脈が隆起したのはおよそ1000万年前で、それ以降、東西の圧縮とマグマの供給で高い山脈が維持されています。

*アンデス山脈の山の中にすべてが銅の鉱石とビデオで言っていたが、なぜそのような現象が起こるのに、日本のアルプス山脈ではないのか?

 アンデスの山の中に、銅の鉱石がたくさんある場所があるという意味で、VTRで紹介していたのも、4km先までずっと銅鉱石というところを、巨大なすり鉢状に掘っていましたね。日本アルプスとの違いは、北アルプスでも、南アルプスでも、火山がほとんどないことです。アンデスの資源は、地下のマグマが運んできたものですので、それがないから日本アルプスでは銅鉱山がないわけです。

*なぜマグマの移動により、銅や鉱山資源が山脈に含まれていくのか?

 1)もともとマグマに銅や他の金属元素(鉛、亜鉛、金、銀)が多く含まれている。2)マグマが固結するときに、銅や他の金属元素はマグマが冷えてできる岩石に入らず、濃縮されていき、水に運ばれてその通り道(鉱脈)に濃集する。

*ウンモはなぜ金色っぽいのか?

 茶色の黒雲母が薄くはがれたり、風化して色の原因の鉄分が抜けると、茶色が薄くなって黄色っぽくなります。それが黒雲母の平たい面で光を反射するので、金色っぽく光って見えます。たぶんそういうものを見ているのでは?

*日本は黄金の国と昔いわれていましたが、金の採掘量は多いのですか少ないのですか。

 マルコポーロの時代には、佐渡金山などで世界一の生産量があったと推定されています。戦後は、世界で5番目から10番目くらいの生産量です。世界全体で年間500tくらい生産するとして、日本で10t前後が平均値。現在は、優良な金鉱山も円高で採掘を休止しているところが多く、順位はもっと下だと思います。

*マグマから鉱物ができるのがわかったけど、もし鉱物をマグマに入れたら、その鉱物は溶けて、元の成分に分解されるのか?

 はい。マグマの温度が充分高ければ、鉱物はマグマに溶けます。元の成分に分解されるかというと、まあそう考えてもいいのですが、マグマが固結する過程で、水蒸気などのガス成分はだいぶ抜けているので、もとのマグマと全く同じではありません。

1t0.2gしかダイヤモンドがとれないことから、なぜダイヤモンドがあんなに高いのかがわかった。

 希少性というのはその通りですが、ダイヤモンドは価格維持のためにシンジケートが機能しています。最近、中国産などのシンジケートに支配されていないダイヤが市場に流れて、相場が変化しているらしいですが。数年前のNHKスペシャルでこの話を扱っていましたね。

*金属というものがあるが、代表的なものに鉄が挙げられる。しかし、「金属」という名前に「金」というとても希少な物質の名前が付いているのはどうしてだろう。

 これはとても難しい問題ですが、金物や冶金などの言葉で用いられる「金」は、本来は「かね」に語源があるのだと思います。「かね」という場合は、たいがい鉄をさすと思います。このあたりは文化史的な問題ですので、自分で調べられることを勧めます。僕は手が回りそうにありません。

*ビデオの金の採掘場では、あれだけの人が働くことができるということは、金が少量でもかなり高価だからですね。

 そうです。その通り。もうひとつは、インフレ・不景気などで、他に仕事がない人がたくさん集まって来るというのもあるでしょう。

*砂金はどうやってできるのか? またどこからくるのか?

 砂金になる金は、多くの場合、上流の鉱脈の中の微細な金の粒が起源です。金は水に溶けず、比重が大きいので、金を含む岩石が風化したときに、砂粒として下流に金が運ばれていきます。そうして岩盤の直上など、地層の一番下に金の粒がたまっていくことになります。金は軟らかいので、互いにくっついて、時には大きな塊(ナゲット)に成長することがあります。

*医療で使われるメスはダイヤでできているって聞いたことがありますが本当ですか?

 本当です。ダイヤモンドメスは、現場で使われているそうです。

*マグマの中に含まれる水は、蒸発してしまわないのですか。

 いい質問です。蒸発するとしたら、どこからどのように蒸発しますか?

*価値がある(高価な)ものというのは、貴重(あまりとれない)という理由の他になにかあるのですか。

 使い道が広いというのは重要です。金は指輪などの装飾品以外にも、電子部品や、メッキ材料、歯科材料などにも使われますね。

*鉱物や宝石の価値の高さというのは何によって決まるのですか。

 希少性と、需要の大きさでしょうか。人間の経済的な都合ですね。

*足尾銅山にはもう木が生えたり環境がもとにもどることはないのか?

 戻るでしょうが、かなり時間がかかるでしょう。土壌がなくなると復元には長い時間がかかります。

*ダイヤモンドはなぜ透明で光っているのですか。

 なぜ透明か、というのは難しいですが、ダイヤモンドの炭素どうしの結びつきは、非常に結合が強いため、可視光領域で吸収がないから、ということになるかと思います。光っているのは、屈折率が非常に高いので、ブリリアントカットではダイヤモンドの中に入ってきた光を内部で全反射しているためです。

*水にとけるというのはうすくなることだと思っていたけど、逆に濃縮されるプロセスの一部だったのにおどろいた。

 そうですね。溶けることと同時に、沈澱が重要なのです。沈澱条件の違いで、特定の元素が選択的に集められることになります。

*鉱物は一度加工しちゃうと、その後、もとにはもどらない?

 採掘対象の鉱物のできる条件は、地表とは全然異なる、地下の高温・高圧条件であることが多いので、地上ではもとの鉱物には戻らないでしょう。

*あの6.8kgの金の塊はいくらぐらいするんですか?

 1g1200円くらいとすると、800万円足らず、というところでしょうか。もちろん、地金にした場合の値段で、天然のものは標本価値があるので、もっと高くなると思います。

*人間がこのまま宝石や金属を採取し加工してゆくと、いつか、地球上の全てをほりつくしてしまうのではないかと思うのですが、その心配は無用ですか?

 難しいところです。いくつかの資源は枯渇の心配はあるのですが、お金さえかければ皆無ではない。あとはリサイクルにかかっています。

*金を掘りだしているところがすごい。どんな人が働いているのかと思った。

 いろいろな人がいるらしいです。一般に、金鉱掘りの場所は、治安が悪いです。