出席カードに書き込まれた質問(6/11火曜12限)

2002前期第8回(大地は動く…地震)

 

講義内容の要約例青字…加筆、赤字…訂正)

*マントルが温度差により対流し、プレートが動く。プレートが他のプレートにもぐり込むことによってひずみが生じ、その結果地震が起きる。地震にはプレート境界型と内陸(活断層)型がある。(9917054)

*日本の位置は、4枚の互いに運動するプレートの境界に位置しているため、地震が多い、プレートの移動によって大地が形成されていった。(0017101)

*大地が動いているから地震がおきる。そしてその地震は100年単位くらいで繰り返して起きるプレート境界型地震、もっと長いスパンで起きる内陸型地震に分けることができる。(0217036)

*地球は多くの小惑星のぶつかり合いの結果、でき、生物は水中生物に始まり、陸上生物に至った。地震波プレートのずれによって起きるが、地震による人の災害は構造物などの影響のみによる。また、日本がプレート運動によって現在のようになっているのは、秋吉台の化石などからわかる。(0217047)

 

主な質問と回答

*かんらん岩が地下30km60kmに存在することを、どのように調べたのですか?

#よい質問です。

1)地震波の観測…地震波速度が一致する岩石から、かんらん岩と推定。

2)火山噴出物中の捕獲岩にかんらん岩があることから推定。

3)地下の条件を再現した高温高圧実験で、かんらん岩の鉱物組み合わせがその深さの圧力・温度で安定であることを確認。

4)衝突型造山帯などで露出した地下深部の岩石の断面から推定。

…などです。

*核の温度が6000度というのは、どのようにしてはかる(予想する)のでしすか?

#地球の密度分布、地震波速度分布や、隕石の情報から、中心に鉄を中心とする核があるのは推定できます。核は内核が固体、外核が液体なので、圧力による融点の変化を実験で確かめ、内角と外角の境界の深さから、核内部での温度分布を推定して、中心が6000度くらいだろうと判断しています。

*地球以外で地震が起こっている星はあるのですか?

#詳しくはわかりませんが、月でもきわめてわずかにあります。金星にはあるかも知れません。じつは太陽にもあるらしい。表面のガスの振動ですが。

*プレートが沈み込んで起きる地震と火山活動が原因での地震を比べると、どちらの方が平均的に見ると規模が大きいのだろうか?

#ひずみをためる範囲が大きいほど、規模が大きくエネルギーの大きい地震になります。その点で、火山はせいぜい直径50km、普通はそれ以下なのに対し、プレート境界の地震は200kmとか、500kmといった範囲でひずみをためることができるので、規模が大きくなり得ます。もうひとつ、火山の場合、マグマの高温で周囲の岩石が柔らかくなるので、大きな地震になりにくいです。

*地震によって火山が噴火することがありますか?

#直接ではありませんが、火山のマグマの出口は地殻のひずみに影響を受けますので、地震のあとでひずみが変化することで噴火しやすくなることはあると考えられています。実際、歴史的には大地震と近接した時期に噴火が起きている例はあるようですから。

*何年も前から、大地震になると言われている東海地震は起きますか?それはいつですか?

#わかりません。いつかは来るでしょうが、過去の地震が起きたときの変化の詳しいデータがないので、やってみないとわからない。

*プレートが動き、海底火山が大陸にぶつかるとどうなりますか?

#そういう場所はありますが、大陸の方に付け加わるか、地球内部にプレート本体とともに沈み込んでいくか、両方の場合があるようです。

*地球の温暖化は、プレートの温度、移動などに影響を及ぼしますか?

#影響ありません。表面の温度の数度の変化は、地球にとってはちっとも影響がないです。地球は内部の熱容量がとても大きいので。

*プレートがいくつもあるのは、地球誕生の時にいったいどのようなことがあってそうなったのですか?

#プレートの数は変化します。地球が誕生した頃は、プレートの単位は小さく、数はたくさんあって、マントルが激しく対流していたというモデルが有力ですが、くわしいことはまだわかりません。冷えてくると数が減るという可能性は高いです。

*南極大陸は移動しているのですか?

*地震を予知するのはそれほど難しいことなのか?

#難しいですね。人間生活の時間スケールに対して、繰り返しがきわめて長いタイムスパンで起きることと、地下のことは見えないこと、相手が大きいことから、難しさがあります。台風くらいの割合で、1年に同じところで何回もあれば、予知する研究も進むでしょうけど、そうはいかない。

*日本列島はゆがんでいくと、最終的にどうなってしまうのか?

#大丈夫です。そもそも、ゆがんだから海の上に顔を出した土地になっているわけで、新しい土地が海の上に出てきたり、土砂で浅い海が埋め立てられ、100万年くらい先でも、今とあまり変わらない形だろうと思います。

*プレートの移動によって日本が押されていくと、今ある山脈はどんどん高くなるということになるのか?

#いえ、高くなると崩壊したり、浸食を受けて削られる速度が速くなり、そのかねあいで高さが決まっています。また、マントルに対する浮力で地殻がその高さを支えているので、地殻の厚みによって山脈の高さには限界があります。いまの山脈の高さは限界に近いので、これ以上はあまり高くなりそうにありません。

*ヒマラヤ山脈は高くなり続けているのか?

#ほぼ限界の高さですから、隆起は継続していますが、高さは浸食とのかねあいで、だいたいこのくらいで安定しているのではないですか?

*アフリカと同じように日本もいつか分裂することがあるか?

#可能性はあります。雲仙、阿蘇から別府湾のラインで、北九州と南九州は少しずつ離れつつあります。もしかすると数十万年後にはちぎれるかも知れません。

*プレートの活動が止まると地震がなくなるという話でしたが、その他にも影響はあるのですか?

#長期的には火山ガスの供給が低下するので、地球の気候に大きな影響が出ます。寒冷化するかも知れません。

*マントル部分には生物はいないのですか?

#最近、地下深部数kmでバクテリアが生きていることがわかったので、可能性は完全には否定できませんが、温度からはマントルでは600-800度を超えるので無理でしょう。

*地球の核は何の働きをしているのですか?惑星の核とは何ですか?

#地球磁場をつくっているのは、外核の金属鉄の対流が原因であると考えられています。惑星の核は、惑星をつくった材料のうち密度の大きい部分が中心に集まったもので、平均的な太陽系の材料となったチリからすると、量が多くて密度が大きいのは鉄であり、それが核をつくっているということです。