出席カードに書き込まれた質問(6/25火曜1・2限)
2002前期第10回(資源)
講義内容の要約例(青字…加筆、赤字…訂正)
#もうひとつ、集められている物質が、経済活動に価値があることが、鉱床の定義で重要です。まあ、たいがいの物質は使いみちがあるのですけど。
#はい。地球の全部ではありませんが、たしかに捕獲岩から地球のことがわかってきたという面はあります。
#そうですね。分化に関しては、天体のサイズが大きいことが、重力が大きくて分化が進行しやすく、保温がよくて火山活動を長期間継続できるので、重要です。
*地球は特殊な天体。炭素質コンドライトを構成する成分のあるものは地球の核をつくり、あるものはマントルをつくり、あるものはマントル経由で地殻をつくる。地球はこのような分化が進んだ惑星。(0031145)
#そうです。また、その分化の産物として、大気や海洋や地殻があり、我々が存在する、と。
*惑星はもともとほぼ均一。木星型惑星もガスをぶっ飛ばせば地球型惑星になるだろう。重力が重いものに強く作用し、軽いものに弱く作用するため、分化が進行し、地球のようになる。核が鉄、マントルがかんらん石、輝石。隕石に地球の材料がすべて入っている。(0016097)
#重いもの、というのは「密度が大きい」と表現して欲しいです。
*岩石とは鉱物の集合体である。鉱物とはある一定の化学組成と、一定の結晶構造をもつ物質の単位である。岩石には、SiO2の多い、花こう岩や安山岩、SiO2の少ない玄武岩やはんれい岩がある。(0116057)
#「地殻の岩石には」と書いてくださるともっといいですね。地殻の岩石の化学組成には、マントルと比べて非常に大きなバリエーションがあります。地下の金属資源を考える上でも、それがとても大事なことです。
主な質問と回答
*日本もプレートが重なり合っているところなのに、鉱物などの資源が少ないのはなぜ?
#少ないわけではなく、種類は多く出ています。日本は「世界の鉱物の標本箱」だといわれたくらい。特に戦後の昭和40年代くらいまでは鉱業が盛んでした。けれども人件費をはじめとしたコスト高、円高によって競争力を失い、また大きな鉱山のほとんどが鉱石を掘り尽くしてしまい、現在では国内では金属鉱山がほとんどなくなりました。(セメント用石灰石などはほとんど自給しているが)
*SiO2の多さ、少なさによって花こう岩−玄武岩となるが、その色の違い、含まれる鉱物の違いは、このSiO2の量によって違うのか?
#色の違いは、主に鉄のイオンが原因でしょう。含まれる鉱物は、岩石の化学組成によって変化します。簡単にいえば、SiO2が少なければ、SiO2をあまり含まない鉱物が多くできます。
*鉱物を人間は大量に使っていますが、限りはないのですか?
#限りはあります。ただ、枯渇すればそれまで採算が取れなかった、濃度の低い鉱石でも採掘して儲かるようになるので、すぐになくなるわけではなく、じわじわと価格が上昇していく、そういうなくなり方をするでしょう。
*沈み込むプレートはどこへ向かうのですか?
#よい質問です。地震波の観測からは、いったん沈み込み帯の下の上部マントル・下部マントル境界にたまって、核−マントル境界の方へ落下していったり、あるいはまっすぐマントルの最下部まで突き抜けていったりしているようです。
*地球以外の惑星にも宝石はあるのですか?
#種類は少ないと思いますが、かんらん石(ペリドット)なら、地球型惑星ではどれでもあると思います。ただ、大きな結晶ができるかどうか、それが採取できるかどうかはわかりません。
*地下深くにつくられる銅は、噴火の時には出てこないのか?
#鉱床になるほどは出てきていないですが、三宅島の熔岩の中から、自然銅が見つかったりしています。北米の11億年前の玄武岩には、自然銅をたくさん含んでいるものがあります。でも、普通はあまり出てこないですね。
*火山岩の黒いのは銅ですか?
#鉄分が色の原因としては大きいです。輝石や磁鉄鉱などが多いので黒く見えるのでしょう。
*マントルは1年間にどれくらい動くのですか?
#一概には言えないのですが、例えばプレートの動きとしては年間数cm程度、海嶺の直下でアセノスフェアの動きがその数十倍と言われています。
*月にはマグマは存在しないのですか?
#今は存在しないでしょう。約30億年前までは存在し、表面に流れ出していました。
*月には地球にあるのと同じ石はないのか
#月の石は、化学組成などの性質は若干違いますが、ほとんどが地球にもある岩石です。玄武岩、斜長岩、はんれい岩、かんらん岩など。さらにそれらの砕かれ、混合された角れき岩。
*どろどろな液体の上にできたプレートの上で暮らしていることが、とても不安定でやわなことだと感じた。
#プレートの下はどろどろの液体ではなく、少しやわらかめの固体の岩石でできたマントルです。地震波で見たときに、S波を通すわけですから、液体ではない。ただ、すこしやわらかいので地震波速度が遅くなる。そういうところです。比較の問題でやわらかいと言っているだけで、とりだすことができればそれは「石」です。
*はんれい岩は海にあるということなのですが、切り出すときはどうするのですか?
#ごめんなさい。はんれい岩は大陸の中でも少しあって、それを切り出して石材として利用しています。海の地殻の大半ははんれい岩ですが、それは大陸にはんれい岩が全くないという意味ではありません。
*今後もあらたな岩石は見つかりますか?
#あらたな岩石、という意味にもよるのですが、岩石から得られる情報という意味では、まだまだ発見があると思います。岩石の分類としては、だいたい網羅しているので、太陽系の多くの場所で惑星探査が進まない限り、そんなに増えないと思います。