岩石と鉱物 Rocks and Minerals …記載岩石学、記載鉱物学
鉱物とは
…(1)ある特定の化学組成を持ち、
(2)ある特定の規則的な原子配列(結晶構造)
をもつ物質のまとまり
(調べ方…化学組成を測る、結晶構造を測る、結晶構造に由来する結晶外形を調べる…)
a)同じ化学組成でも結晶構造が異なると、別の鉱物(例:石墨とダイヤモンド)
同質異像(多形)…温度圧力条件の指標となりうる
b)結晶構造が同じでも、連続的に化学組成が変化できる場合がある。(固溶体)
→複雑な化学組成を、わずか数種類の鉱物でカバーできる秘密
珪酸塩鉱物…マグマは水溶液に似ている…珪酸のネットワークが作る鉱物
化学組成…珪酸のネットワークと陽イオンの組み合わせ…電気的中性を保つ
岩石 …1種類以上の鉱物の集合体。(ガラスの場合も含む…黒曜岩)
*岩石の分類
…(1)構成鉱物の種類 と (2)岩石の組織 がわかれば分類できる。
火成岩 …構成鉱物の種類と量比…もとのマグマの化学組成を反映する…SiO2量の分類
急冷による斑状組織、徐冷による等粒状組織。→(火山岩/深成岩)
堆積岩 …構成粒子の種類と粒度
通常の砕屑粒子であれば、粒度により、礫岩、砂岩、シルト岩、粘土岩に。
材料が特殊な場合は、凝灰岩、石灰岩、岩塩、石炭、チャート、…
変成岩 …組織と構成鉱物(特徴的な変成鉱物)
鉱物 性質と利用
物理的性質の均一性 工業原料、水晶発振子、宝石・・・
水循環システムと地表の改変 …海洋学、気象学、陸水学
他の惑星と大きく異なる地球の特徴 表面に大量の水(=水圏の存在)
水のはたらき
1)熱を運ぶ役割(状態変化、潜熱輸送):比熱大、水蒸気は温室効果気体
2)ものを溶かす能力:風化作用、イオンとして物質輸送 生命活動にも重要
3)ものを運ぶ能力(流水):浸食、運搬、堆積…地表の改変
固体表面での水の動き 水の三態変化
熱輸送…表面環境をマイルドに保つ 気候への影響
生命活動を支える …光合成に水を利用、水溶液として消化・吸収、排泄
高いところを削り、低いところを埋め、特有の地形をつくる。扇状地、平野、三角州、etc.
河川
水の循環 蒸発、降水、地表の水が海へ戻るまでの過程…河川
蒸発量、降水量、海洋の塩分濃度
水の動きに伴う物質の動き
・水に溶ける物質 …ミネラルウォーターの成分表示 ミネラルとは?
・溶存物質の移動 陸上生態系を支えるもの。岩石→(風化)土壌→水→生物
・砕屑粒子の移動 浸食と運搬、堆積 …低地の埋め立て、陸域の拡大
VTR:
・地球大紀行DVD特典映像#9「世界の砂漠」
・NHKジュニアスペシャル #33「河川」
参考書:
・水と空気の100不思議 左巻健男編、東京書籍
・地下水の世界 榧根勇 NHKブックス
・おいしい水の探求 小島著 岩波新書
・改訂 海の科学−海洋学入門
・大気・河川と海洋の化学 ホランド著 山形訳 産業図書
・水の科学 北野 康著 NHKブックス
砂とミネラルウォーター …堆積学、陸水学
砂のできかた …砂は岩石のなれのはて
数種類の鉱物からなる岩石…鉱物によって風化に対する強さが異なる
石英を除くほとんどの造岩鉱物は、高温(多湿)環境で分解されていく
温度差による膨張・収縮や、摩擦、風や水、氷による機械的破壊も進行する
→岩石を構成する鉱物のすき間から、だんだんに壊れ、分解していく …砂の生産
水に溶ける成分(塩類):水によって流されていく。降水量が少ない地域では、土壌に蓄積。
ミネラルウォーターの成分表示:ミネラル(鉱物質)とは、水に含まれる様々な陽イオンをさす。岩石の風化によって溶け出した成分。砂は風化の“のこりもの”
砂漠の砂
砂漠の砂は風でよりわけられる(細かいものは遠くまで、粗いものは供給源の近くに)…粒子がそろう。
風による移動:粒子が互いにぶつかる機会が多い …粒子が丸く円磨されている。表面がなめらか。
風化を受け続ける …石英がほとんど。
他にジルコンなどの風化に強い鉱物、酸化鉄(水に溶けないFe3+)など ←着色
通常の砂
水で運ばれる。粒子は丸くなるが、砂漠ほどではない。
完全に分解が進まないうちに水で運ばれる …一般に粒子の中で石英の割合が低い。
安定大陸の場合は、砂漠の砂が水で運ばれたり、時間をかけて風化して、石英の割合の多い成熟した砂になることが多いが、日本のような変動帯では、火山活動や隆起によって、浸食が早く、化学的風化が進行しないうちに砂として運び去られるので、石英分が増加しない、未成熟な砂になる。(砂はもとの岩石の組成をかなりよく反映する。)
→回覧物(サハラ砂漠西部=セネガルの砂漠砂)
砂の生産 1012〜1013kg/year(現在の推定) …10億年で大陸地殻を削り尽くす勢い。
現在、ヒマラヤの形成などで浸食が早いことと、砂のリサイクルの効果(付加体)がある。
地球規模の物質循環(鉱物の旅)
・マントルから玄武岩質マグマが浮上し地殻(玄武岩やはんれい岩)をつくる。
・地殻の再融解で花こう岩マグマができ(大陸衝突や海嶺沈み込み)、地殻上部へ浮上する。
・地表に露出した花こう岩が、水の作用などで風化し、砕かれ、石英だけが残る
・石英の粒子が風で飛ばされ、風下にたまる。(砂の砂漠形成)
・石英の砂が陸成層として保存される。あるいは海に運ばれ、海成層になる。
VTR:
・NHKジュニアスペシャル #32「移動する大砂漠」
・NHK科学デジタル質問箱「地球のふしぎ1」から、「ダイヤモンドのできかた」
参考書:
・一般地質学I,II,III ホームズ著、河野他訳 東大出版会
・砂の科学 シーバー著 東京化学同人
・宝石は語る 砂川一郎 岩波新書 \430 1983