知・そして未来へ |
地球大紀行の原点 |
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ハメリンプール空撮 ストロマトライト波打ち際 水中ストロマトライト 酸素の泡アップ ストロマトライト |
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Q ここはオーストラリア西部、シャークベイ。 藍藻のすむ入り江です。 Q 藍藻が作ったふしぎな構造物・ストロマトライトが、波打ち際に広がっています。 Q 光合成によって酸素を産み出す、この小さな生きものたちが、地球史の長い時間をかけて、地球の大気を変えていきました。 Q 酸素に覆われた地球、その奇跡の星の出発点が、ここにあります。 Q そして、ここは「地球大紀行」のスタートとなった場所のひとつでもあります。 Q 放送から15年を経過して、いま、地球大紀行の原点に、わたしたちは立っています。 |
15年間の進歩と負の遺産 |
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大都市空撮 モニタ画面ダンプ2カット 宇宙遊泳と青い地球2カット 気温分布の画像など DNA模型CG 街の雑踏 ネオン、デパートなど 人波 トウモロコシ収穫 炎 溶鉱炉 氷河の崩壊2カット 砂漠化 焼畑 燃える木立 グランドキャニオン 海の波 森林 ガラパゴス2カット 噴火 桂林の鍾乳洞 オーキフェノーキー湿地帯 ヒマラヤ ピラミッド 壁画3カット 夕日のピラミッド |
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Q 20世紀最後の15年、情報化の波は、国の枠を越えて、世界に大きな変化をもたらしました。 Q コンピュータ・ネットワークを通じて、手軽に、高度な情報も入手できるようになりました。 Q リアルタイムで、地球の姿を宇宙空間から観察することもできます。 Q 計算機を使って、気候変動や気象現象の予測も可能になってきました。 Q 一方で、科学技術が産み出した新しい問題も現れてきています。 Q 21世紀を迎えた現在、物質的な豊かさを追求する文明のあり方は、進むべき方向を見直す時期に来ています。 Q 増え続ける人口、食料生産の限界、有限の資源。 世界的な温暖化、砂漠化や異常気象、森林減少といった環境の悪化。 大量消費社会の限界が明らかになっています。 Q わたしたちは、「地球大紀行」を通して、文明の背後に広がる、地球の精妙な自然システムと、その歴史をたどってきました。 Q 人類を産み出すまでの、生物進化のあゆみ、 地球内部の熱や太陽放射のエネルギーのはたらきと、 それらを水や、生物活動で変換し、つくりだされた化石燃料や金属資源、 そして陸上生物を支える大気中の酸素やオゾン層のなりたちをみてきました。 Q 文明の背後には、常に自然の大きな流れがあり、わたしたちは過去から現在にわたるさまざまな時間と空間で、その自然の恩恵を受けています。 |
便利さと効率化の代償 |
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高速道路 半導体チップ 都市 信号 スプレー オゾンオール連続変化 農薬散布 アマゾンの水銀たれながし 汚染袋 環境ホルモン(有機スズ瓶) イボニシ卵巣分析2カット バイガイ(食用ツブガイ)2カット 酸性雨で枯れた森林 木と根のアップ 潅漑用水 塩害の畑 焼き畑 枯れ木 作物の枯れた畑 |
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Q 科学技術の進歩による、便利さや豊かさと引き替えに、オゾン層の破壊や、地球温暖化などの問題が生じてきました。それは「地球大紀行」以後の15年間にますます深刻化しています。 Q オゾンホールは、北極や低緯度へも広がりを見せています。 Q 収量を増やし、病虫害を減らすための農薬や殺虫剤が、生態系を通じて人体に蓄積されました。 Q 無害なはずの化学物質が、環境ホルモンとして、生物に予想もしなかった影響を与え、自然界のバランスを崩しています。 Q 工場からの排煙が、酸性雨の原因となり、森林を枯らせました。 Q かんがいによる農地の拡大は、河川の流量を減らし、地下水位を低下させ、塩類の蓄積による不毛の土地を作りました。 Q 森林の伐採は土壌の流出を引き起こし、荒れ地を広げています。 Q より豊かな生活を目指し、効率化のために行った自然への働きかけが、かえって不毛の土地を増やし、人々の健康を脅かしています。 |
知ることとは |
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緑の畑 生き物3カット ゾウ シカ 熱帯魚 木漏れ日の太陽 風力発電の風車4カット 地球大紀行タイトルつなぎ ヘリコプター バリンジャー隕石孔 原始地球? ノースポール取材班4カット ヒマラヤのアンモナイト2カット 東海大画像センター4カット 車の列2カット 車と人、電光掲示板 ゴミの山、群がるカモメ3カット 家電売り場2カット ステーキ食う人々 スペースシャトルと地球 チャド湖4カット スーダン オレゴン アマゾン変化4カット 大都市夜景 |
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Q この15年の間にも、現代文明の負の遺産は大きくなっています。わたしたちがどのような地球を次の世代に手渡すのか、いま、意識と行動が問われています。 Q 人類の負の遺産は、簡単に解決できる問題はひとつもありません。 Q これから、長い時間をかけて、失われたバランスを取り戻す努力を続けなくてはいけません。 Q 同時に、新たな負の遺産を産み出さないために、わたしたち自身の姿勢を見つめ直すべきかもしれません。 Q 15年前の「地球大紀行」は、NHKの制作した自然科学番組の中で、グローバルな視点をはじめて中心に据えた企画でした。 Q わたしたちにとって、地球のあちこちを訪ねて、自然のつくりだした風景の中に、奇跡の星・地球の営みを読みとることは、驚異の連続でした。 Q しかし、それとともに、巨大な自然を目の前にして、わたしたちは地球について何を知っているのだろう、 私たちが見ることのできる世界は、精妙で巨大な地球システムの、ほんのごく一部でしかないのではないか、 ・・・という思いを持ちました。 Q いま、国境を越えた地球環境問題が、人類の解決すべき課題となっています。 Q 現代の地球環境問題の多くが、わたしたちが浅い理解ですませたり、あるいは、その場限りの問題解決ですませてきたところに、手に負えなくなった原因があります。 Q 氾濫する情報の中で、わたしたちは進むべき道を見失うという、あらたな危険に直面しているようにも思います。 Q 自然を理解した、征服したと思ったところに、そして、表面的な豊かさを優先し、追求してきたところに、落とし穴がありました。 それを繰り返して、負の遺産を増やしてきたのではないでしょうか。 Q わたしたちは、もっと地球のことを知らなくてはいけない。と同時に、わからないことを知らなくてはいけない。 Q いま、わたしたちに求められているのは、現在の豊かさを越えて、遠い未来をも見通す知恵と、決断なのかもしれません。 |
まとめ・未来へ |
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ハメリンプール・海と空 夕景 ストロマトライトの列 ストロマトライトアップ 水中のストロマトライト 空撮2カット 空へ |
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Q いま、この風景の中にいると、数千年の文明史を越えた、巨大な自然史の流れがあることを実感します。 Q 自然の中で、直接体験の中から、「知ること」のあり方を問い直すこと、 …あるいは、それが、地球と私たちの関わりを見直す、きっかけになるかもしれません。 Q そして、そのことが21世紀の我々ひとりひとりの、あらたな「地球大紀行」のはじまりとなることを期待して、お別れしたいと思います。 |