フィジー共和国での自然体験実習(案)

2002.11.4 萩谷 宏

 

期間:20039月上旬の10日間

場所:フィジー共和国、ナンディ、ガリマーレ石灰岩周辺、及びマナ島。

(可能性としてはオプションでスバ、あるいはバヌアレブ島)

対象:原則として武蔵工業大学工学部・環境情報学部2,3年生の希望者

人員:引率者1名の場合、15名。初年度は最大でも20名程度にとどめる。

共催:未定、南太平洋大学(Univ. of South Pacific)及びフィジー政府Mineral Resource Departmentと交渉。

旅行代理店:東急観光(株)

現地コーディネート:ウイング・インベストメント(株)

大学側引率者:萩谷

実習講師候補:勝木俊雄氏(農水省森林総研、植物学)他数名打診中。

費用:学生1人あたり16-18万円見込み。(渡航費用、現地宿泊費、食費を含む)

   内訳:航空券9万円、宿泊費:4万円、食費、消耗品費、現地協力費3万円。(+外部講師料2万円)

目的:

 1)フィジーの自然観察:地形・地質・資源探査、陸上生態系、天体観測、気候、珊瑚礁、

 2)環境保全の実習:マングローブ林の植林、砂防、砂地緑化、

 3)土木実習:測量、道路建設、上下水道整備、橋梁設計、道路修繕、建設

 4)国際交流・民俗:カヴァの儀式、現地語の修得、農業、スポーツなどでの交流

 5)語学:英会話(フィジーは英連邦の一員、公用語は英語)

 6)メディア:映像記録実習、レポート作成

 

 

日程案

9/4(木)成田19:00発 FJ303 機内泊

9/5(金)ナンディ6:40着 ホテル(タノア想定)へ。休息。12:00昼食、15:00ミーティング。

      夕食まで自由行動。ホテル泊

9/6(土)8:00朝食、9:00講義 12:00昼食 13:00自然見学1 ホテル泊

9/7(日)自由行動(映像記録課題1、自然観察2、レポート書き)19:00夕食、ミーティング ホテル泊

9/8(月)8:00朝食 9:00移動 11:00タワタワンディまたはブナゴル カヴァの儀式。

      13:00 現地宿舎移動、自然観察、地形・地図確認。GPS実習。現地泊

9/9(火)測量実習/地質調査/道路整備 現地泊 天体観測。

9/10(水)地質調査/水道整備/道路修復 現地泊

9/11(木)護岸修復/農業実習/家畜の世話?/民俗調査 現地泊

9/12(金)国際支援事業の見学、環境保全実習 午後ナンディ経由で離島に移動 マナ島泊

9/13(土)珊瑚礁観察 オプション マナ島泊

9/14(日)自由行動 午後ナンディに移動 17:00ミーティング、19:00パーティー ホテル泊

9/15(月)チェックアウト 10:30ナンディ発FJ302 16:30成田着 解散

 

現地状況

 フィジー共和国:人口約80万人。ビチレブ島及びバヌアレブ島を中心に、数百の島から成る。首都スバ。フィジー人とインド人が48%を占める。政治的にはフィジー系が強く、経済の実権はインド系住民が握る。ラグビーが盛ん。宗教はカトリック(フィジアン)、ヒンズー教・イスラム教(インディアン)など。対日感情良好。治安は都市の一部を除き良好。主要産業は観光、サトウキビ農業、鉱業、軽工業、漁業。

 日本からは成田発の直行便が週3往復。距離7600kmで所要時間約8時間。時差は日本時間+3時間。道路は左側通行。通過はフィジードル。1F$=約55円。軽作業の日当がF$10-15程度。食事はフィジー系の集落ではタロ、ヤム、キャッサバなどの芋類、バナナを主として、米、小麦、野菜、鶏肉、魚など。インド系は伝統的インド料理を主体とする。

 政治状況は昨年の総選挙後安定。電力の供給は都市部と一周道路沿いにあるが、停電があり、やや不安定。都市部では携帯電話が使用可能。水道水は飲用に問題なし。道路、橋梁など社会資本は未発達。

 

メインの調査・実習地

 フィジー第二の大河・シンガトカ川の中流、河口から約20km上流の内陸部にある石灰岩の丘陵地帯。

動植物相、地質調査などのほか、ガリマーレ石灰岩の採石場開発にともなう道路設計、測量、建設、橋梁設計、道路修繕などの作業が想定される。地権者は8つの集落に分かれており、居留地と山に入るためには、このうちひとつの集落で祖霊に対する儀式(カヴァを飲む儀式)を最初に行うことが必要。

 

マナ島

 ママヌザ諸島の珊瑚礁の島で、日本の開発会社(葵リゾート)の所有するリゾートホテル。日本人スタッフ常駐で、観光客も日本人の利用が多い。珊瑚礁の生物相・生態系の観察などを想定。

 

コーディネート・スタッフ

 ウイング・インベストメント(株)は群馬県桐生市に根拠を持つ会社で、およそ10年にわたってフィジー共和国で投資活動の他、海岸清掃などのボランティア活動をしている。

 

実習全体について

*3月または8月に引率者の下見が必要。

*現地泊は、プレハブ程度の簡易宿舎の建設を想定。自炊、洗濯など家事もやらせる。買い出しも分担。

*ナンディの宿泊はタノア・インターナショナルを想定。マナ島は代替地の可能性あり。

*翌年以降は学生の経験者をアシスタント(リーダー)として配置。費用一部免除などを考慮。

*引率側に生物の専門家が必要。

USPとの共催、政府協力の取り付けを交渉。交流と共同学習の機会を作る。

*車の運転の問題。学生には運転させない(事故防止)。必要ならキャリアーを呼ぶ

*保険をかける。

 

ナンディでの実習

*グループに1台ずつ、現地用の携帯電話を持たせる。(山岳部では短波無線機携帯を考慮。)

*動画、静止画による自然、民俗の観察記録制作。

*映像記録はメインの目的ではないが、NHK他の取材も想定。業務用デジカメ(動画)を準備。

*レポート作成は早めに。当日ある程度書かせないと、記憶が薄れる。

ガリマーレ石灰岩の現場実習

*交通手段はレンタカー分乗を考えるが、特に内陸部の移動でキャリアーの利用も考慮する。

*現地事務所の設営の際に収容能力の確認。試掘の際に空き民家の借用で10名程度は実績あり。

*作業・実習は3人一組を想定。

*非常時対策、特に病院、診療所の確認が必要。

*女子の参加者に対し、引率者に女性が必要か。分宿のための事務所を考える。

*現地習慣として、すべての物資を共同で所有し、分け与えるのが美徳であるということになっているので、貴重品の扱い、現場への持ち込み物品の制限など注意が必要。ナンディの事務所かホテルに預ける。

*電気工事はやらせない。岩石切断、ドリル関係もさわらせない。

*農業実習、家畜の世話ができるように交渉の必要あり。

*アルコールの扱い。乾期なのでタバコの注意。学生の態度悪ければ強制送還。(まず心配なし)

*現地宿舎の設営、トイレの問題。

 

マナ島での実習

*珊瑚礁の観察の指導など。基本的にホテル側のアクティビティに依存。

*南半球の天体観測は視界の点からマナ島が好適か。

*レポートを現地にいるうちに書かせる。

 

単位の扱い

*交渉中。校外実習またはインターンシップの単位をあてることを想定している。最悪の場合、後期のゼミの単位として評価する。