世界の地質と資源

*安定大陸の地質
 世界的に見ると、大陸地域は盾状地やプラットフォームと呼ばれる、古い時代に形成された地質からなる地域の面積が広い。盾状地の岩石は花こう岩類を主体として、堆積岩や火山岩をはさみ、それらは変成岩になっていることが多い。盾状地は、かつては大陸衝突などの激しい地殻変動を経験し、その過程で作られた地質であるが、長期間の浸食によって比較的なだらかな地形になっている。盾状地の周囲には、それらの古い岩石を覆って古生代以降の地層が広く堆積し、低平な地形を示す、プラットフォームが広がっている。

*安定大陸の資源
 大陸地域をつくる盾状地やプラットフォームは、先カンブリア代に形成された地殻を主体としている。先カンブリア代前半の海洋では、海水中に大量にとけ込んでいた鉄イオンが酸素と結びついて海底に沈澱、堆積し、酸化鉄とチャートの互層からなる縞状鉄鉱が形成された。このような縞状鉄鉱層は鉄鉱石として大規模に採掘されている
 南アフリカでは金やウランの大規模な堆積鉱床が形成されているが、これも地球史前半の酸素の少ない地表環境の条件で形成されたものである。
 プラットフォームでは、その平坦な地形のために、過去の植物が地下に埋もれてできる石炭の大規模な鉱床が形成されている場所も多い。

*変動帯の地質
 プレートの沈み込み帯や、大陸内部のリフト帯など、現在地殻変動や火山活動が進行している場所を変動帯とよぶ。変動帯では地殻変動のために海底の地層が持ち上げられて露出していたり、火山活動によって新しい物質が地表に積み重ねられたりして、時代的に若い地層が分布する。また、地震や火山などの活動が盛んな地域でもある。
 変動帯では浸食が深部までおよんでいないこともあり、深成岩や変成岩の露出の割合は安定大陸に比べて低くなる。地形が急峻になるため、風化作用をあまり受けていない、粗粒な物質が河川を通じて周囲に供給され、地層を作っていることが多い。

*変動帯の資源
 火山活動に伴う熱水鉱床、鉱脈鉱床や海底熱水鉱床が多く、各種の金属の硫化物鉱床や金の鉱床が多い。また、海洋地殻物質や海洋底・海山の地層が付加されることで、層状マンガン鉱床や石灰岩も多い。大陸が分裂したところには、特に白亜紀から第三紀にかけて、石油鉱床が形成されているところも多い。

 −「理科年表ジュニア」第二版、丸善(2003)所収原稿を改変。


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 萩谷 宏 2003.3